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平成最後の剱岳 [剱立山]

今日は平成最後の日。
27日は悪天候で剱御前小屋まで上がれませんでした。
雷鳥沢キャンプ場から雷鳥沢を上がって行くと強烈な吹雪で足元しか見えず、しばらく風待ちしたり、ルートを変えてみたりしましたが、剱御前周辺の状況を予想すると戻ることにしました。
降りていると、単独の男性がルートロストし、右往左往していました。
顔面が真っ赤に腫れ上がって、外国の方に見えたので「日本人か?」と聞いたら日本人だったので付いてくるように促した。
翌朝、私達が登っていた左上で高齢男性が亡くなっていたことを知った。
雷鳥沢は何百回も登り降りして、地形を良く把握しているからこそ、今日は登ってはいけないと私は判断できたが、地図とか山岳雑誌だけを見て安易に考えてしまう方もいるかもしれない。
4月27日の悪天候で起きた各山岳地での低体温症事故事例を山岳雑誌でも大きく取り上げていただき教訓となると良いのだが。
28日は剱御前小屋に泊まり、別山頂上から剱岳を偵察。
昨日降った雪の状況を確認したかった。
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予定していた源次郎尾根はかなり不安定な状況に感じた。
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空には珍しいものが…。
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剱御前小屋の夕景は素晴らしい!
これだけ見に来る価値があります!

29日は別山尾根を往復することにして、一番で取り付いた。
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風で随分リセットされていたが、前日のトレースが残っていて、悔しいような、嬉しいような…。
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新雪が載った剱岳と周辺の山々は美しく、この場にいられることに感謝したい。

平成の時代は、山を中心にいろんなことがあったが、まさか山岳ガイドを職業にして20年以上も続くとは思いも寄らなかった。

令和の時代もできるところまでは頑張りたい。

4年前の今日 [海外クライミング]

昨夜は天狗平に泊めてもらって、諸先輩ガイドと楽しい時間を過ごさせていただきました。

そして、今日は予報通りの雨の中、室堂山へ登りソリ遊びをしました。
天気の良い時ばかりではなく、天気が悪い中でも山に登る事でたくさん得るものはあると思います。
様々な顔を持つ自然に向き合う事が、私は好きです。
4年前の今日、
2015年4月25日はネパール大震災でした。
私は現地で登山中でした。
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あと、10分ズレていたら大規模な雪崩の被害を浴びるところでした。
ルクラへの徒歩下山中に亡くなった現地の方々を埋葬する作業をいくつも見る中で、余震が続き、その度に動揺を隠せませんでした。
どうやったら、安全に早く全員で帰国できるかを考えたあの日々は今でも忘れられません。
あの地震は予知できるはずもなく、まさかでした。
人間の知識や経験など大自然の中ではとても小さなものだと改めて思いました。
登山は楽しくもあり、時に苦しくもありますが、痛い目に遭った日のことを忘れずにと改めて思います。

暑いぞ立山 [剱立山]

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スキーもひと段落。
ピッケル、アイゼンに替えて、今日まで四日連続して立山ガイドでした。
特に昨日の奥大日岳と今日の龍王岳東尾根は気温が高く日差しが強く、すっかり顔が焼けました!
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夕景も素晴らしく、日本海側の山にいる幸せを感じる日々です。
昨日午後は雄山から数本雪崩も出ました。
とにかく、雪が緩んでいるので、湿雪雪崩はもちろん、雪庇崩壊や転落にも注意が必要な時期です。
昨日の奥大日岳でも、堂々と雪庇の上にトレースが付いていて不安を感じました。
危ない個所は、トレースを付け直しましたが、丁寧に集中して行動したいものです。
週末は少々荒れそうな感じですが、いよいよ剱岳に入ります。
今シーズンの剱岳はどのようなご機嫌か?
楽しみでもあり、緊張感もありです。
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立山オープン [剱立山]

立山黒部アルペンルートが4月15日に全線開通しました!
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雪の大谷は16メートルと発表されました。
昨年に続き初日は高原バスが悪天のために運休となりましたが、本日16日は最高のスキーコンディションに恵まれました。
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多くのスキーヤー、スノーボーダー、登山者が室堂に集結し、活動しているのを見ると今シーズンも始まった感がある。
これから11月の閉山まで、たくさんのお客様と楽しみたいと思います!
4月10日の部分開通日から入山したが、今日まで厳冬期のような厳しいコンディションもあれば、春のような温暖なコンディションもあり、この時期の立山は難しい。
コンディションに恵まれたお客様もいれば、恵まれなかったお客様もいて、胃が痛いものだ。
自然の前ではガイドの力などは微々たるものだと思う。

ガイドレスの方は、冬山登山に対応できる装備、技術、体力、経験を持った方々だけが楽しめる領域であることを認識して欲しい。

今回も天狗平山荘にお世話になりました。
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喧騒の室堂から離れた場所にあるので、静かに寛ぎたい大人の宿である。 とにかく清潔感とホスピタリティが抜群で、何日過ごしてもリラックスできる。
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美人女将が作る料理は毎食の楽しみ。
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山でホッピーも飲める。
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アイスクリームも!
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ラーメンも!
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そして親父も!

今年も剱立山を楽しみましょう!
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私はいつでも待ってます。

立山シーズンオープン間近に [剱立山]

立山黒部アルペンルート全線開通は4月15日にだが、待ち切れず4月10日部分開通日に弥陀ヶ原へ。

吹雪の中、ホワイトアウトだが時々視界が開けるので現在地を確認しながら室堂へ。
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雪の大谷は何メートルかな?

知ってるけど、言わない。
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室堂もまだまだ除雪中。

昨日、今日と視界がクリアにならず、予定の行動はできなかったが得るものはあった。

暖冬とか雪少ないとか、いろいろ言われたシーズンだが、他人の情報なんてあてになりません。
是非自分の目で確かめに行くと良いです。

やはり、立山は富山の誇り。
素晴らしい場所です。
改めて感じました。

アルペンルートが開通しても、立山はまだまだ冬です。
充分気をつけて楽しみましょう!

指揮者 [国内クライミング]

今朝、また訃報があった。
著名な指揮者で、ソロクライマーの寺島康朗さん。
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私は富山に帰る前、日和田に近い場所に住んでいて講習や自分のトレーニングに良く通っていた。
寺島さんも頻繁にソロクライミングのトレーニングに来られていて、いつもザックを背負って黙々と登られていた。

最初は会っても挨拶程度だったが、徐々にお互い話すようになった。
彼もそうだが、私も自分の登って来たルートや記録を話す方ではないので、未だ彼がどんなクラミングをやってきたかはよく知らない。
自分の登ったルートや戴いた賞をさり気なく自慢する方が多い中で、とても好感が持てる方だったし、密かに尊敬できる方だった。
著名な指揮者であるということは人伝てに聞いていた。

私が富山へ帰った後も年に数回、日和田には行くことがあり、そのたびに会うことができた。

一昨年、寺島さんからFacebookを始めたので友達申請をしたいとメッセージが来て、お互いの活動を更に深く知ることとなり、やり取りも多くなった。

今日が59歳の誕生日ということでお祝いの言葉を送ろうと思ってFacebookを見たら信じられない書き込みを見て事故を知ることとなる。
しかも、日和田での墜落事故。

毎年四月はなぜだか訃報が多く、身を締め付けられる気持ちになってしまう。
寺島さんのご冥福をお祈りします。

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展望の山へ [北陸]

今日は天気予報がとても悪かったので、散々悩んだ挙句に七姫山へ
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鍬崎山の対岸にあり、大日連山や剱岳、毛勝方面などの展望が素晴らしい山。

稜線に出てからは臼越山方面にはトレースがあったが、七姫山方面はトレースなく気持ち良い稜線歩きを楽しめた。
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雪の状態はグズグズで、山頂直下はナイフリッジでピッケル&アイゼンに替え、下りはロープを使った。
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最後は急な雪壁を越えて、雪庇に注意して山頂へ。
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鍬崎山が目の前で、剱岳もうっすら見えた。

往復7時間超掛かったが、曇天無風で快適な登山を楽しむことができた。

人がいない、トレースがないというだけで雪山の魅力は倍増する。
お客様にも喜んでいただいて、良い週末でした。

えび寿司さん ありがとうございます!

新雪と戯れる [北陸]

四月に入り、新元号は「令和」に決まった。
そして、北陸は良い雪が降り続き。

そんな平日の早朝、吹雪が予想される日にふたりでラッセルしに入山。
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四月とは思えない新雪の量。
風と気温、日射や方位など様々な影響でおこる雪のクォリティ変化を感じながら、ひたすら黙々と登る。

ワイワイ登る山も良いが、誰もいない静かな山も良い。
自然の中に抱かれて、新雪にもがいていると人間の力の小ささを感じる。
とても贅沢な時間を過ごすことができた。

最近はラッセルを嫌う風潮を感じるが、結果より過程を大切に楽しみたいと思う。
新雪たっぷりの山を自身でルートを選んでラッセルする楽しさは登山の醍醐味だ。

場所によっては、ワッフ音がして、キレやすい状況もあり、その時の適正ルートの選択が困難だった。

この春の降り方は、注意が必要だ。
いよいよ来週からは立山に入ることになるが、慎重に行動したい。
雪の判断は自分の目と感覚で間違わないようにやらないと。

雪がある山は様々な課題を与えてくれる。

年度末を晴れで迎えて [Guide]

この週末は北陸の山へ行く予定だったが、大荒れ間違いなしとのことで。
日曜にピンポイントで北信州が晴れそう。

風や許される行動時間を考えて飯縄山へ。
降雪で白く化粧した山を楽しめた。
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周りの山々は雲に隠れて、この辺りだけが晴れているような。
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山はいろんな楽しみを与えてくれる。
胃が痛くなるような山もあれば、心身癒される山もあり。
今回はまさに後者。

平成最後の年度末。
今日は新元号が発表されるそうな。

私にとって平成の時代は25歳から56歳にあたり、少々強引に様々な経験をさせてもらった。

次の時代は、自分の身の丈にあった仕事をやりながら、生きている幸せに日々感謝しながら過ごしたい。