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この冬をどう過ごすか [八ヶ岳]

ここ数日は春の訪れを感じるような陽気だったが、この週末は一気に冬が戻って来るようで難しいガイド判断を迫られた。
 
予定では谷川岳北部稜線でのテント山行だったが、リスクが多すぎて、唯一行動できそうに思えたのは阿弥陀岳北稜だった。
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久しぶりの赤岳鉱泉へ。
 
土曜は南西風が強く吹いて定点地点から見る山は鉛色。
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北沢登山道の五番橋も積雪深はかなり増えていた。
この日は橋から転落した方もいたと聞いた。
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アイスキャンディで数本登る。
ここでは傾斜の緩い壁で、アイゼンの使い方や重心位置の確認、踵の位置関係を見直して欲しい。
それが翌日の行動に大きく影響する。
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翌日は予定通り、阿弥陀岳北稜へ。
このような気象条件で最も風の影響を受けにくいルート。
一瞬のチャンスで、山頂に到着することはできたが、北稜を降りるまでは全く気が抜けない。
 
幸いダメージが残るような低温や烈風に晒されることはなかったが、ギリギリの判断だったと思う。
 
このような数十年前に戻ったような冬山の状況をどう過ごすか。
近年、暖かく少ない積雪状況が続いて、登山者に雪山のイメージが誤解されてしまったように感じていた。
 
本来の雪山登山に必要な物は、余裕ある体力とスピード、アイゼン&ピッケルを正しく使える基本技術と歩行技術、適切な装備、折れない心、そして何より謙虚な姿勢であろう。
今シーズンはそのことを見直す良き機会となることだろう。
 
まだまだ雪山を楽しめるシーズンは続くが、烈風、強い寒気、深い積雪条件を経験できる恵まれた今シーズンをどう過ごすか、それぞれの登山人生に大きく影響することと思う。
登れた、登れないで一喜一憂するだけではなく、貴重な経験を積み重ねて行けるようなガイドを心掛けたいと思う。