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馬場島に春が来た [大好きなスキー]

この春のメインイベントとして皆様が楽しみにしていた立山川から馬場島へのスキー滑走。
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ところが、室堂は視界が真っ白。
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雷鳥沢へ向かって滑ったら、走るザラメは気持ち良かったが、足元しか見えず、リグループポイントでも誰がどこにいるのか見えず、ホイッスルを鳴らしながら無線機で誘導する始末。
雷鳥沢キャンプ場へ向かうと、おそらく落ちてから時間も経っていない、大規模なブロック崩壊した跡があった。
 
上が見えないので、安全地帯に逃げるまでは次が落ちてこないかと警戒が必要だった。
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残念ながら、23日の立山川へのドロップは選択できなかった。
降りてしまえばなんとかなるだろうという誘惑を断ち切るのは大変だったが、谷底をルートに取るには危険な日だった。
 
雪塊、雪庇の崩壊。
落石。
クラック。
湿雪雪崩。
考えたらキリがないリスクの数々を視界不良の中で管理できるはずもなく。
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雷鳥荘で作戦会議を開く。
夕方から視界が明るくなりそうだったが、馬場島荘へ降りねばならず。
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たくさんの雷鳥に挨拶しながら室堂へ帰る。
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天狗平に寄ってラーメン食べてからバスに乗る。
 
馬場島に到着して、東小糸谷出合から本流を見に行ったがかなり雪量が減っていた。
ここ毎日相当の融雪が進んだそうで、あのまま立山川を落としたら、かなり危険な状況になっただろうと推測できた。
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馬場島荘では焼肉パーティーと宴会。
 
翌日はブナクラ谷へ。

やっぱり、昨年より雪が少なく、オオブナクラ谷出合から本流が雪切して、デブリも堆積していた。
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面が綺麗なメローな斜面を繰り返した。
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かなり、不本意な二日間だったが笑顔で過ごせた。
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池田さんが元気で嬉しかったし、蕎麦も最高だった。
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馬場島にも春がやってきた。
今年の夏は馬場島から登る剱岳をたくさん企画している。
 
立山川を滑って降りることはできなかったが、 この日に知床観光船沈没事故を馬場島荘で知った。
運営会社、船長、甲板員の資質、キャリアに問題ありと報道されている。
 
私の仕事も、お客様の命を左右する判断を繰り返すことが日常なので、他山の石としたい。
 
自らが衰えたら、ガイドレベルを下げ、それでも叶わなければ、潔く引退すべき仕事だ。

春の立山へ [大好きなスキー]

4月15日に立山黒部アルペンルートがオープン。
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5日間を過ごしたが、コーンスノー、フィルムクラスト、アイスバーン、ストップスノーと春の雪変化を日々満喫。
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景色は素晴らしい。
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楽しい仲間たちも遊びに来てくれた。
 
これから11月30日の閉山まで、いろんなことがあるのだろう。
立山でどう活動するか気が重い。

遥かなる越後稜線 [越後]

巻機山といえば、積雪期は標高差1560mで総距離は13kmとなかなか体力を要する山だ。
 
山頂標高は2000mに僅かに届かないが、下界から自分の足で登る登山は充実させてくれる。
越後三山や谷川連峰に囲まれた遥かなる雪の稜線漫歩は素晴らしい。
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ここをスキーを使用せず、登山でガイドすることにした時、軽量速攻型の日帰り登山で時間を気にしながらのスタイルでは実に勿体ないと感じた。
 
この時期に巻機山を目指す登山者はおそらく99%が日帰りだろう。
山に浸かりたくて、敢えてテント泊とした。
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重荷を背負って、井戸の壁を登る。
午後の雪は昇温でグズグズ、ステップを切り直しながら登るので時間が掛かる。
 
「なんで、テント泊なんか選んだんだろうか」と自問自答しながら五合目を越えた。
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谷川連峰が見える絶景地点で幕を張る。
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綺麗に並んだブナ林の間から落ちる夕陽を眺めてワインを飲めば、やはり選択に間違いはなかったと思う。

翌日は背中も軽く、羽が生えたよう。
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谷川岳国境稜線をバックにグングン高度を上げる。
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前巻機山に到着すれば、ここからは天空の散歩道。
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巻機山の最高点は雪も切れて石積。
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八海山と越後駒ヶ岳。
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先週、山頂から滑った守門岳。
フィルムクラスト、スーパーザラメが最高の想い出だ。
 
平ヶ岳、武尊山、苗場山、燧ヶ岳、数えきれない山々に囲まれてランチを食べる。
 
下山は気温が上がり、踏み抜きに注意しながら。
重荷を背負っての井戸の壁下降は転倒したら止まらないので、ロープを使用して慎重に。
 
苦労があっても見返りは大きい山を堪能した二日間。
そして、越後の残雪期をガイドしたこの二週間はとても充実した時間だった。
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溢れる情報で楽に成果を求める風潮の昨今、自分達だけで考えた山を達成できるエリアとして魅力的だ。
来春は更に充実した企画を考えていきたい。

頸城展望台 [頸城]

平日の晴れ間に糸魚川の戸倉山へ。
除雪地点からスノーハイクを使って白池へ。
ようやく少し慣れてきた。
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白池はまだ半分くらい雪の中。
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それはそれで美しい。
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角間池はもっと雪に埋まっていた。
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戸倉山はまだまだ雪がたっぷりで、ここが豪雪地帯だと思い出させてくれる。
 
バックの雨飾山が迫力満点。
 
山頂はナイフリッジになっている。
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バックは白馬岳から雪倉岳、朝日岳、そして栂海新道が良く見える。
 
眼下にはシーサイドバレースキー場が良く見える。
下まで綺麗に雪がたっぷり残っていて、クローズがもったいないけど、そろそろスキー場スタッフの本業が忙しいらしい。
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左下は明星山P6南壁。
ここも毎シーズン、ガイドしていたが行かなくなって10年近くなるだろうか。
もう行くこともないだろう。
できない事は諦めも大切だし、新たな仕事を見いだすキッカケにもなる。
 
それにしても、戸倉山は貴重な頸城の展望台。
天気の良い日は、日本海から海谷山塊、栂海新道など360度の景色が楽しむことができる。
そろそろ、花も楽しみだ。

巨大な山塊 [大好きなスキー]

冬の守門岳は大雪庇が山頂稜線に作り上げられることが有名で、その大きさは東洋一とされるほど。
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今シーズンはあまりにも積雪量が増え過ぎて、早めに大雪庇は落ちてしまったようだが、それでも充分に迫力があった。
 
初日は、守門黒姫を目指す。
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この橋に積載した雪が壊れそうで、実にスリル満点。
お客様方は写真撮りながら喜んで渡っていたが、「写真なんかやめて、速く渡ってくれー」と。
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沢地形のアプローチで、この時期は左右からデブリだらけ。
気温がどんどん上がり、コロコロと雪塊が落ちてきて、狭い谷筋の通過が怖い。
リスクを避けて広くてメローな地形に目標を変更。
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春の山を滑るのは判断が難しいけど、それも魅力のひとつだろう。
少人数で存在するリスクを共有しなかがらガイドしなくてはならない。
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対岸に見える浅草岳周辺も滑りたい欲求を誘ってくる。
来シーズンだな。
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夜はホッピーで幸せに!
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翌日は快晴の守門大岳へ。
国道から眺める守門稜線は余りにも巨大で遥かに遠く、とても日帰りできるようには思えないスケール感。
 
4時間キッチリ真面目にハイクして山頂へ。
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フィルムクラストが形成されたメローな斜面を眺めながら歩く。
適度な風と気温、日射…。
良い時間帯に上がって来れた。
快適な滑走は保証されたようなものだ。
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東洋一の大雪庇を眺めながらランチしてからドロップ。
 
滑り出した瞬間から歓喜の声!
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写真を撮る時間がもったいないくらい気持良いスキーが続いた。
景色を眺めながら、ゆっくり滑っても山頂から1時間も掛からず無事に駐車スペースへ。
 
山は楽しい。
毎日、山に行けて素敵な仕事ですねと言われる。
楽しいことがあれば、同じくらいかそれ以上、シンドイことや哀しいこともある。

この二日間は赤岳での雪崩事故の状況を関係者から聞きながらの行動で、正直なところ山が怖くなって仕方なかった。
今まで八ヶ岳を中心に、沢山の遭難者を救助してきた周平さんが雪崩で亡くなったことは未だ信じられない。
しかし、山の事故とはいつもそういうものだ。
 
山へは常に覚悟を持って向かうべき。
自分は大丈夫なんて絶対ない。
明日は我が身。
 
自分の経験、知識、感性でヤバいと思ったら、いつでも逃げるし、その判断を信頼してくれる方と登ることが必要だと思う。
それでも、リスクは絶対なくならないのだ。
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亡くなる5日前、赤岳鉱泉の窓際でひとり朝食を食べていたら、「本郷さん、写真いいですかー?」と撮られたこの写真が最後になってしまった。
 
合掌