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立山閉山 [剱立山]

いよいよ立山閉山を迎える。
金曜から上がる予定だったが、富山側が運休で全員で土曜に扇沢アプローチとなる。

扇沢では多くのスキーガイド、滑り手と顔を合わせた。
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室堂に到着したら、文句なしの快晴。
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シーズンインのお客様方なのでハイクもゆっくりと、景色を眺めながら歩を進める。
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この日はどこを滑っても、最高のドライパウダーが楽しめた。
 
ものすごい数の滑り手がいたので、あっという間にギタギタになり、隙間パウダーを探しながら転々と位置を変える。
 
どこへ移動しても、全て最高だった。
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最終営業日の雷鳥荘に到着。
旭立太ガイドに撮影をお願いした。
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雷鳥荘、最後を飾る富山側の夕陽。
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夕食はカレーバイキング。
 
雷鳥荘にはいろいろ無理をお願いしたり、大変お世話になって感謝してもしきれない。
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翌日も期待高まる朝焼けから始まる。
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少しパック気味のパートもあるが、パウダーコンディションは継続していた。
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この週末は最高の二日間だったと言えるだろう。
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翌日も室堂勤務だったのだが、「えび寿司」へ行くために、扇沢に降りて一旦富山に戻る。
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氷見鰤が美味しい季節になった。
 
皆様富山へ来たら、是非とも「えび寿司」へ。
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最後の室堂勤務。
入山指導業務で様々な登山者と接することで、私自身も感じることがある。

他人がどこをどう登ったかと気にかける前に、自分になにができるかを気にかけた方が良いと思う。
気にすべき情報を間違えないようにしたいものだ。
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この日は雷鳥荘を始め、各山荘の小屋閉めスタッフが続々と降りて行く。
 
残る営業宿泊施設はホテル立山だけとなった。
 
この日を最後に富山側アルペンルートは大雪のため、道路通行止になった。
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そして、11/29はホテル立山最終宿泊日で扇沢から室堂へ上がる。
 
来ているガイドは、さすがのレジェンドばかり。
 
吹雪であまり滑れないかもしれないが、それでもお客様を満足させられる方々だ。
 
そして、私も立山が冬に閉ざされる様を見せてあげたいと思う。

絵に描いたような吹雪の中、少し歩いて、少し滑った。
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ホテル立山での宿泊は閉山前の贅沢。
 
外扉を一歩出たら、地獄のような吹雪で、中に入れば天国だ。
 
さすが、2450mにあるホテル立山では、扉ひとつで世界は大きく変わる。
 
これほど安全に吹雪を味わえる場もないであろう。(立山を良く知るガイド同行が前提であるが)
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最終日は昨日ほどではないが、やはり吹雪に変わりなく、行動時間が一時間過ぎたら危険であろう。
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山岳警備隊の看板も業務を終えて、全て真っ白綺麗になった。
 
これで立山閉山。
室堂の全てが閉鎖された。
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吹雪の中、扇沢へ下山する。
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いろいろ山荘にデポした全ての荷物を背負って下山。

クロニョンに出迎えていただく(笑)
 
4/15から11/30まで剱立山でのガイド業務が全て終わった。
 
私は2010年4月に東京から実家がある富山へ帰った。
その時、室堂に上がり山岳スキーを楽しむ人々を見ていろいろ考えた。
4/15から11/30までフルに剱立山で山岳ガイドとして生きるためにはスキーガイドのスキルは必須と考えた。
 
それからはプライベートな時間はほぼスキーに費やし一生懸命練習して、ようやく2015年からスキーガイドを業務として始めることにした。
 
今でも若い後輩ガイド達に教わりながら発展途上の身である。
 
4/15から10/30まで、国内屈指の降雪コンディションに恵まれた剱立山をお客様に楽しんでいただくために引き続き頑張って行きたい。
 
山岳におけるアクティビティの中で、お客様に「私の資格では、それはできないんです」とか「それは苦手なんです」とかは言いたくない。

だから、まだまだ学ばねばならないし、老いぼれてもいられない。
 
今日から師走。
本格的な積雪期ガイドが始まる。
スキー場も例年より、早くコンディションが整い、山にも雪が溜まって来た。

この冬も楽しくなりそうだ。

立山は冬へ [剱立山]

11月中旬となると最後の立山ガイド生活が始まる。

4月15日、立山黒部アルペンルートの全線オープンから7ヶ月。
 
春スキーガイドと剱岳残雪ガイドから始まり、夏の剱岳ガイド、秋はまたスキーガイドでシーズンを終える。
 
長いような短いような、シーズンクローズが近づくと寂しいものだ。
 
立山の始まりと終わりだけは見届けたくて4/15と11/30は、どんな天候でも必ず現場にいるようにしている。
 
2450mにある天空の別天地は富山の宝。
沢山のお客様に見ていただきたい。
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11/14から立山に上がる。
みくりが池はまだ凍っていないが、山は真っ白だ。
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新雪がたっぷり降って快晴の中、普通は行けない剱岳の絶景地へ。
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剱岳の存在は別格だ。
いつまでも変わらず、ここにあるだろう。
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この時期の立山では、いろんな仲間達と再会できて嬉しい。
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この頃はまだ雪は少ないが、素晴らしいロケーション。
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しかし、吹雪で予定通りの行動ができなかった日々もある。
 
こんな悪天候の日こそ、学ぶべることは多いはず。

結果だけを求めると近道したくなるが、うまく行かなかった時間を大切にする方は山から歓迎されるだろう。
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いつもお世話になっているキャラバンスキーチームの皆様もやって来た。
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みくりが池が凍り出すと、そろそろスキーコンディションも整って来る。
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同時に雪崩への警戒も怠ってはならない。
 
不慣れな方は、立山の地形を熟知したガイドを使って行動することを薦めたい。
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そして、いよいよその日がやって来る。
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場所を選べば、この時期としては奇跡的な沈降パウダーが楽しめた。
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その日を待っていれば、必ずいつか時はやって来る。
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立山閉山まで、あと6日。
訪れた皆様が笑顔で帰れるよう、あと少し頑張ろう。

この時期は、アルペンルート立山駅側は除雪が間に合わず運休となり富山に降りれないこともある。
 
私も家に帰れなくなり室堂に缶詰め。
運休からやっと富山に降りたら、今度は上がれないという。
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やはり、今日も運休。

仕方ない。
扇沢から上がることにしよう(涙)
 
富山と室堂はこの時期、近くて遠い場所なのだ。
 
2023年11月30日まであと少し。

黄金の廊下 [剱立山]

雪たっぷりの龍王岳から扇沢駅へ降りて、週末からの黒部川下ノ廊下に備える。
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週末の天気予報は両日とも雨だが、前日までのような発雷リスクは感じられない。
 
下ノ廊下ガイドの催行可否は、降雨はあまり大きな問題ではないと私は考えている。
 
もともと黒部川に沿った岩壁を辿るルートである性格上、濡れた岩の上をスムーズに歩けるお客様を参加基準としているので、雨が降って強いストレスを感じる方を対象とはしていない。
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「人間は必ず間違える」このことを繰り返し伝えて、番線へのハンドリング、スリップを防ぐ歩き方、写真撮影への注意点、危険箇所のチェックなど新越ノ滝通過までに全て再確認しながら行動する。
 
ここまで私が不安を感じるお客様が一名でもいたならば、黒部ダムへ躊躇なく帰る。
 
基本、下ノ廊下ガイドはリピーターのお客様を対象とし、ご本人の体力、技術、経験、特性を熟知して計画を立てるので、ガイドとしてやるべき仕事も想定内である。
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今回は紅葉がベストであることがわかっていたので、足元に対する注意が疎かにならないよう更に周知徹底する。
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新越ノ滝を過ぎたら、OFFだった緊張スイッチをONにする。
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別山谷で雨が強くなり、レインウェアを着用して、下ノ廊下の核心部を着実に行動する。
 
危険箇所は早く脱することが基本だが、この辺りはいくら時間が掛かっても良いと伝えている。
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十字峡はルートのハイライトであり、ここにしかない景色でもある。
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一生に一度は見て欲しい。
 
おそらく人生を彩る想い出の一コマとなることでしょう。
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黄金に染まる廊下を延々と歩く。
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仙人谷ダムの上部も綺麗だった。
雨に濡れて更に光る黄金の山々。
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歴史と浪漫が詰まった路。
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阿曽原温泉小屋に到着。
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富山の岳人を代表する御大と共にする温泉は最高だった。
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時間内食べ放題の名物カレーライス。
 
実は私が阿曽原温泉小屋に泊まる時は、空いている日が多く、カレーライスに当たるのはコロナ禍前以来だったので、懐かしい味が大変嬉しかった。
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秋はトロッコ列車が混むので、朝弁当にして、暗いうちに出発する。
 
阿曽原温泉小屋の弁当は派手さはないが、私が最も好きな山小屋弁当だ。
富山の新米と揚げ焼売が絶妙に合うのだ。
 
これを毎回必ず、折尾大滝を眺めながら食べる。
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折尾大滝前で同宿した原ガイドと。
 
彼も同時期に奥鐘山西壁や丸山東壁を登ってきた数少ない山岳ガイドだ。
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高さのある水平歩道を延々と歩く。
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欅平に到達。
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トロッコ列車に乗って、寒いに震えながら下界へ帰る。
 
今回は立山駅に置いてきたクルマを回収するためローカル線の旅は続く。
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乗り継ぎが悪く、宇奈月から立山駅へ3時間近く掛かった。
 
東京へ帰ったお客様がもう到着しても、まだ着かない。 
 
たまにはこういう時間も贅沢と思うことにしよう。
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最後のカボチャ電車で立山駅へ。
 
これも下ノ廊下という山旅の一部なのだ。

冬雷 [剱立山]

久しぶりに室堂へ上がった本日は、雷の可能性が高く、朝イチのアルペンルートで上がったので時間勝負。
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龍王岳東尾根の予定だが、間に合うか。
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岩には氷が張り付いたハードコンディション。
時間が掛かりそうな東尾根には向かわず、Ⅳ峰北面に向かう。
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雪面が硬くて、ピッケル&アイゼンワークの良いトレーニングにはなった。
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初冬の剱岳。
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とりあえず山頂に着いた。
 
下山は浄土山を回って降りた。
日本海から黒い変な雲が近づいてきて胸騒ぎがする。

室堂に降りて解散した後に雨が降り出した。

剱岳八ツ峰で凄まじい雷雨に遭って以来、雷恐怖症になり警戒心が強くなった。
 
冬雷は、夏より一発の威力が遥かにデカいので実に恐ろしい。

晩秋の富山最高峰へ [剱立山]

黒部奥山から降りて、翌日は天狗平へ上がる。
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天狗平を散歩しながら、冷たい晩秋の風を感じる。

先週の雪は随分溶けたが、雪氷に覆われた立山は美しく、もう冬の匂いがする。
 
やはり、ここは国内最高の別天地だ。
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夕方にはKING剱岳が顔を出してくれた。
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もうすぐ天狗平山荘もシーズン終了を迎えるが、兄貴は元気でなによりだ。
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久しぶりのペアルック。
自分の背中が小さく見えて嬉しい。
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手抜きなしの豪華な夕食。
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シャリキンホッピーが飲める山荘として是非方針継続して欲しい。
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翌朝は室堂から一ノ越を経て立山へ。
 
龍王岳東尾根も薄氷被り、一ノ越山荘ももう少しでクローズ。
今年もいろいろお世話になりました。
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三ノ越からは少しずつ硬い雪面が出て来る。
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夏は訪れることはない雄山へ。
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雄山神社峰本社から剱岳を眺める。
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ここから先は前爪付いたアイゼンが必要なコンディションだった。
 
スリップに備えてロープを繋ぐ。
写真ではトレッキングポールを使っているが、状況に応じて素早くピッケルに変えている。
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富山県最高峰であり、日本最北端の3000m峰。
 
この時期なのに、夏装備そのままの登山者がたくさんいて驚いた。
ピッケルはおろかトレッキングポールもアイゼンもなし、トレッキングポールを持っていても、先にゴムキャップを付けたまま。
チェーンスパイクを履いている登山者はまだ良い方だ。
 
その装備で、再凍結した硬い雪面を降りれる実力があるなら良いだろうが、とても雪山を経験したことがなさそうな人がほとんど。
 
奇声を発しながら威勢のいいリーダーっぽい男に連れられてきたグループは雄山ピストン予定だったらしいが、大汝山について来た。

多くの登山者が好天に誘われて先の稜線に進むのを見て、自分達もと思ったのだろうか。

怖くなった若い女性が硬い雪面にお尻をつきながら降りて来る姿を見ると、なぜそのような判断をするのか…恐ろしくて見ていられない。

数多くの登山者が付けたステップがあるから、何とか歩けるものの、気象が急変してステップが消えたら行動不能になる登山者がほとんどだろう。
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これを見た時はこんなこと書かなくてもと思ったが、立山稜線に少しの時間いただけで、書く人の気持ちがわからなくもないと思った。

黒部川下ノ廊下 [剱立山]

黒部川下ノ廊下へ。

10月三連休最終日早朝、雨が降り続く信濃大町駅に集合。
 
タクシーで扇沢へ向かうが、お客様方は皆口数少なく俯き加減で、これからどのような状況になるか不安でいっぱいという雰囲気。
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黒部川の中流域に位置する下ノ廊下は降雨時には、難易度が格段に上がるのは言うまでもない。
 
でも、しかし…下ノ廊下ほど雨が似合う景色はないと思う。
 
ここをガイドすることは剱岳北方稜線や源次郎尾根などより、遥かに難しいと思っている。
ショートロープが使える場所がほぼなく、お客様との信頼関係がとても大切。
 
危険箇所では緊張感を持って確実に行動する、休憩できるポイントでは緊張を解して笑い楽しむ。
緊張のオン、オフを丁寧にコントロールしてあげるガイディングがマストだ。
 
であるから、ガイドはこのルートの隠された危険箇所とレストポイントを全て頭に叩き込み、喉が枯れるほど常にお客様へアテンションを継続しなければならない。
 
気を抜いてガイドしていたら、お客様はあまりの風景の美しさに夢心地になってしまい、自分の置かれた状況を忘れてしまうのだ。
それが下ノ廊下の恐ろさだ。
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土曜は登山者でごった返していた扇沢も、この日は登山者数名でガラガラ。
 
雪と雨の予報で、中止した登山者がほとんどだろう。
 
予想できるリスクと参加されたお客様を考えて、下ノ廊下をガイドできると判断した。
一名でも不安を感じるお客様がいたら、当然中止していただろうし、黒部川へ降りてみて、その場で行くべきではないと感じたら迷わず帰って来るつもりだった。
 
黒部ダムを出発しても、雨は降り続く。
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黒部の巨人「丸山東壁」
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黒部の魔神「オオタテガビン南東壁」
自分には登る実力がなくて、結局登れなかった悔しい壁。
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新越ノ滝を過ぎたら、ようやく雨が上がった。

阿曽原温泉から黒部ダムへ向かう登山者とのすれ違いが始まった。

そのうちの単独者が、別山谷出合で太腿までの渡渉だったと言う。
この程度の雨で、そんなことはあり得ないだろうと思ったが、その覚悟は持って向かった。
 
渡渉が危険だったら、黒部ダムへ帰ることになるだろう。
 
丸太橋はロープを使ってビレイしながら進み、時間は掛かっても仕方ないと慎重に行動した。
 
そして、別山谷出合へ着いたら、なるほど水量は予想以上に多かった。
 
赤布とフィックスが張ってあるルート部分は、深過ぎて軽い女性には危険なので、別な渡渉ポイントを落ち着いて探した。
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そして、ここしかないという絶好のポイントを見つけたので、側壁をクライムダウン、一名づつ岩をジャンプして足を濡らさず越えることができた。
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あとは、水に触れることなく、十字峡を目指すことができる。
  
白竜峡は水量が多過ぎて、判然としない。
  
十字峡広場でマッタリ休憩してから、本日のメインへ。
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十字峡はいつも通り、感動の美しさ。
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吊橋は高度感あって、剱沢の水量が大迫力。
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半月峡を過ぎたら、先は見えて来る。
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S字峡を過ぎたら、標高を下げて黒部川を渡る。
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東谷吊橋も高所恐怖症にはキツイ。
 
関電施設内、人見寮を通過して、権現峠への急登を終えると今宵の宿は近い。
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阿曽原温泉小屋はキャンセルが多かったようで、空いていてゆったりできた。
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夕食はカレーライスではないが、天ぷらがとても美味しい。
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そして、豚汁食べ放題が嬉しい。
 
翌朝はヘッドライトを付けて、雨の中を出発。
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折尾大滝で定番記念写真。
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阿曽原温泉小屋のお弁当は新米が美味しい。
 
雨が上がり、青空も覗きだした。
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黒部の怪人「奥鐘山西壁」が近くなってきた。
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大太鼓は高度感満点。
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志合谷トンネル内はびしょ濡れ。
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少し紅葉もあった。
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30kmの山旅は無事に終了した。
  
皆様、達成感満点だったことと思う。
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トロッコのお姉様はハロウィン仕様。
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これに乗って下界へ帰る。
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宇奈月温泉へ。
 
楽しいメンバーで忘れられない下ノ廊下が終わった。
たった二日間とは思えないほど、いろんなことがあった素晴らしい旅だった。
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地鉄に乗って、それぞれの家に帰宅する。
皆様、ご一緒していただき感謝します!

剱岳は雪に覆われて [剱立山]

10/5から剱立山に降雪があった。
 
この時期に雪が降ることは普通なのだが、あまりに量が過ぎた。
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10月上旬にこれほど、立山で一気に多量ノ降雪があったことは、最近10年ではなかったと記憶している。

暑かった夏から秋を通り越して、一気に冬へ変わった。
 
剱岳に登ることは困難な故、中止連絡を入れたが、この時期に降った雪を体感するためにお客様と室堂へ向かった。
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掲示板の警告は当然ながら厳しい。
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アイゼンを使えるスキルを持った登山者でも、この時期の雪はアイゼンを受け付けにくいことは常識。

10/7-8でシーズン最後の剱岳ガイドだったが、諦めるしかなかった。
 
雷鳥荘へ宿を変更して、雪遊びを楽しむ。
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落ちた葉が綺麗だった。
 
そして、剱岳がよく見える場所から、シーズン終了の挨拶を。
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今回登れなかった方々を来シーズンは受け入れてくれるようにお願いした。
 
4月から登り続けた剱岳は、今年も様々な試練を与えてくれた。
そして、たくさんの笑顔と悔し涙も同時に与えてくれた。
 
「剱岳」
私にはかけがえのない存在であり、いつまでも正面から一対一で向き合っていきたい山である。
 
今年はまだ終わりじゃない!

仲秋の候 [剱立山]

あと僅かで、9月は終わる。
今週のガイドは全て中止となったので、私の夏シーズンは終わった。
 
とにかく暑かった今シーズン、ようやく涼しくなり、仕事もなくなり気が緩んだのか、一気に秋バテが来た。
 
季節の変わり目、皆様も体調崩されませんように!
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剱岳はそろそろ山小屋を閉める準備が始まり、今後の登山者も極少数となるので続々とアルバイトスタッフも下山していく。
 
毎年のことだが、賑やかだった夏の喧騒が遥か昔のようで寂しさを感じる時期だ。
今年の夏はコロナ禍の影響から脱して登山者が山へ殺到するはずだった。
 
しかし、期待していたほどではなかった。
自分自身のガイド業務は巡り合わせが悪かったのか、悪天候で中止や、様々な理由でガイドキャンセルが非常に多く、例年よりかなり活動できる日が少なく経済的にも精神的にも痛手なシーズンだった。
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でも、ひとつひとつの山行は深く想い出に残るものばかりで、お客様の顔も表情も一人ひとりはっきり思い出すことができる。
 
このようにガイド山行の間隔を開けて仕事をした方が良い歳になったのだろうし、自分の能力を有効に引き出せたように思う。
 
若い頃のように連日厳しいルートをガイドするパフォーマンスもなくなったし、連続したガイド日程では、どうしてもガイドクオリティは落ちるものだ。

下界に降りて休みを入れて、新鮮な気持ちで登山口からお客様と一緒に山へ向かい、ガイドルートを登って下山口まで一緒に帰るというのが、あるべき本来のガイドスタイルであろう。

山小屋集合山小屋解散は(お客様が希望する場合は別にして)お客様にメリットはない。
ガイドの勝手な都合だけだ。
  
剱沢雪渓の状態が良かった頃は、真砂沢ロッジで集合解散して、連日チンネやⅥ峰フェースなどをガイドしていたが、神様のような大先輩に酷く怒られた事がある。
「あのな。ガイドというものは、登山口でお客様を迎えて、下山するまで送り届けるのが仕事やぞ!」
ガイドとしての基本姿勢がなっていなかったし、自分は何様だったのかと過去を反省している。
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今シーズンは槍穂高へも数度ガイドに出かけた。
 
ここ数年は、剱岳ばかりガイドしていたので、ブランクもあったが、こちらのルートや岩質も思い出して段々と楽しくなってきた。
槍穂高には剱岳にはない魅力もあるし、槍穂高を登る中で新たな剱岳の魅力も感じることができた。
  
十数年ぶりに訪れた山小屋も私のことを覚えていてくれて嬉しかった。
 
来シーズンも積極的に槍穂高へ向かいたい。
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この本は1973年に北日本新聞社出版部より刊行された。
昭和48年初版の本ということは、私が11歳の頃で昭和の登山を読むことができた。
 
今では手に入れることは難しいが、富山の岳友が父から譲り受けたものらしく「自分が持っているよりも、本郷さんに持っていて欲しい」と2018年に戴いたものだ。
 
ジムニーJA11と100系ハイエースをこよなく愛する男で、私もジムニーJB23と200系ハイエースに乗っているのでメンテナンスや改造を手伝ったりしてくれた。
 
私の講演がある時は良く顔を出してくれていたし、たまに二人で飲みに行ったりもしていた。
よくSNSでやり取りしたりしていたが、最近反応がなくなり気にしていたところだった。
 
先週、剱岳早月尾根を下降中に富山の映像会社の社長とバッタリ会い、共通の友人である彼の訃報を知った。
 
社長も不審に思い、最近家族に連絡を取ったところ知ったという。

秋は失うものに思いを馳せる切ない季節だ。
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中秋の名月が過ぎると季節は一気に進む。
 
明日からは10月。
高い山では初冠雪となり、一気に冬へと加速していくだろう。

季節の変わり目は何かとセンチメンタルになりがちだが、晩秋、初冬のガイドスケジュールも決まってきて、素晴らしいお客様と素敵な場所で楽しい時間を過ごすことを楽しみにしている。

試練と憧れ [剱立山]

「試練と憧れ」

憧れる心に試練があり、試練を超えて其の道を歩き続けん
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この岳で命を失った岳人を偲び、これから登る人々の安全を祈願したこの碑を通る度、気が引き締まる思いだ。
 
初日は早月小屋までずっと雨。
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びしょ濡れになった身体を乾かせる山小屋の存在は大きい。
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冷えた身体に、豚汁が美味い。
 
早月小屋の豚汁は大好きだ。
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翌朝は快晴で、暗いうちに出発。
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2800m上にある崩壊地、来シーズンは違うルートを通ることになるだろう。
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山頂が近くなると風が冷たく、グリーンシーズンの終わりを感じる。
 
下界はいつまでも暑いが、山の夏は短い。
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山頂はカオス。
 
我々が着いた時はまだ落ち着いたタイミングらしく、少し前は20分待ちの行列ができていたらしい。
 
一生に一度の想い出作りなので、わからないでもないが、1人づつポーズを変えての撮影は時と場を考えたいものだ。
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もう一つの撮影ポイントも同じように混んでいる。
誰も堕ちないと良いのだがと、いつも心配になる。
このポイントの写真は、私もSNSで良く使っていたので、自責の念に駆られる。
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今回も親子の夢を叶えるお手伝いが出来て良かった。
 
剱岳初登頂を早月尾根からは素晴らしいことだ。
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賽銭箱が新しくなった。
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早月小屋に戻り、三代目佐伯堅太郎君とまどかちゃんにシーズン最後の挨拶をして下山。
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早月小屋、今度来る時は雪が被っているだろう。
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高齢のお母様が終始登降に時間が掛かってたのだが、娘さんはとても元気だった。
しかし、1500m地点から急に娘さんの膝が笑い出し、脚に力が入らなくなり、支えなければ、座り込んで立てなくなった。
 
初日に馬場島から松尾平へ向かう途中親子の歩き方を見て、「その歩き方では大腿四頭筋がダメージを受けて、降りる時には歩けなくなるよ」と山での歩き方の基本を説明しながら登ったのだが、長年培った歩き方は一日で治るはずもない。
 
お母様は凄い日数の山行をこなしているが、ベテランほど自己流の歩き方であることが多い。
私のリピーターのお客様でも、どうしても悪き癖を治せない人もいるし、身体に染み付いたものは、なかなか取ることは難しい。
 
早月尾根のような大きな標高差においては、歩き方は最も重要だ。
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ザックと腰をロープで支えなければ、膝カックンで立ち上がれない状態。
 
ザックを持って降りたり、本人を背負って降りた経験は過去にも数度あるが、それをやったら本人は深く傷付き、剱岳に嫌な想い出しか残らなくなるのだ。
 
本人も頑張りたいと言うので、どれだけ時間が掛かっても良いからと持久戦となった。
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ようやく馬場島に到着。
 
12時間30分の長い一日の行動が終わり、涙を流して喜んでいた。
人生最大の試練だったそうだ。
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今回習った歩き方を練習して、身体を鍛えて、今度は違うルートから再び剱岳を登る約束をした。
 
「快晴の中、憧れの剱岳を親子で登ることができたこと、一生の思い出になりました」と聞いて、今回も貴重なガイド経験を積ませていただいたのだと思った。
私の仕事はこの言葉に全てが救われる。
 
同行してくれたMさんも、サポートありがとうございました。

剱岳敗退記 [剱立山]

剱岳北方稜線に行って以来、他山域を登っていたので、もう10日も剱岳山頂を踏んでいない。
 
10日も剱岳から離れているとなんだか寂しい。
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黄色い絨毯の雷鳥坂を訪れたが、涼しくて気持ちいい。

9/20からは、しばらく各社悪天候予報で統一しているが、9/21早朝にチャンスありと思い、剱岳ガイドを催行した。
おそらく、雨は降らず、風は強いけど対応できるはずだと考えた。
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いつも一番速く染まる板屋楓は少し枯れ気味。
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その辺りには、太った雷鳥だらけ。
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良く食べてるから^_^
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剱岳は隠れているが、久しぶりの風景が懐かしい。
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剣山荘に着いたら、シャワー浴びて生ビールをいただく。
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今夏の剣山荘女性スタッフ達も、下山時期が近づき、この日でお別れになる皆様と一人づつ記念撮影をする。
 
毎夏のことだが、なぜ剣山荘には神対応ができる素晴らしい娘達が集まるのだろうか。
類は友を呼ぶということなのだろう。
 
剱岳という厳しい山の麓で日々癒しを与えてくれて、ありがとう♪
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翌朝は出発しようとしたら予想していない雨が降り出し、しばらく待機してから5時近くになって出発。
 
湿った温かい空気感に、気持ち悪さを感じる。
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一服剱からの前剱。
 
強風は覚悟していたが、濡れた岩に慣れていないお客様方だったのでスピードが上がらず、山頂を諦めて敗退することにした。
 
無理して登ってしまったら、下山時は地獄を見ることになるのは間違いないと説明した。
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灯が眩しい剣山荘に戻る。
 
室堂へ帰る途中の別山乗越では身体が持ち上がるほどの強風が吹く。
 
やはり、時間経過と共に状況は悪化した。
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雷鳥沢の黄色は更に進んだようだ。
 
残念ながら、来夏のリベンジを誓って立山駅で解散。
 
今シーズン初めての別山尾根敗退だった。
天気の読み間違えかもしれないけど、一瞬の登れるチャンスを掴んできた経験をうまく活かすことができなかった。
 
コンディションと力量が合わない中で無理することは良い結果には繋がらない。

山岳ガイドという仕事はつくづく簡単ではないと改めて感じる。