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裏剱と奥剱 [剱立山]

北方稜線を二回転する予定だったが、一回目の際に剱岳から北方稜線を小窓ノコルまで降りた所で、小窓雪渓を通過できず池ノ平山南峰を登った。
 
現状では、池ノ平山と小窓ノコル間をガイドルートとして使うのは危険だと感じたので、北方稜線の中止連絡を入れたら、お二人から裏剱だけでもというお話をいただき嬉しい限り。
 
素敵な方々を素敵な場所へご案内することにした。
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裏剱、奧剱、そして剱岳東面を眺める頂上を踏まない剱岳展望ガイドとした。
 
初日は室堂から剱沢を経て真砂沢ロッジへ。
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雷鳥坂を登っていたら、上から「本郷さ〜ん」と声がした。
昨夏の剣山荘スタッフと再会を楽しんだ。
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剱沢を降りると秋風が涼しい。
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いつも懐いてくる雷鳥も冬支度かな。
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少しずつ、赤いものも目立つようになってきた。
 
剱沢下降は、平蔵谷出合で一度雪渓に降りれるが、そろそろ亀裂が目立つようになってきた。
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夏道のスラブ帯には残置ロープと杭も設置されている。
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長次郎谷出合は右岸から左岸に雪渓を渡ることができる。
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真砂沢ロッジで乾杯。
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夕食を食べて早めに就寝。
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2日目の朝は四ノ沢で迎える。
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仙人新道から眺める小窓雪渓は2日前より更に細くなったようだ。
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モンローの唇も涎もない。
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しかし、ハイジの世界は気持ちいい。
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2日ぶりの山頂。
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剱岳北面の大展望。
小窓尾根の全景が見渡せる。
 
そして、北方稜線も池ノ谷ガリーから下のルートが見える。
 
来年夏にリベンジを約束して、日程も決めた。
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岩峰に立てば、富山湾と富山平野を見渡すことができる。
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仕事でなければ、昼寝したい場所。
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仙人池ヒュッテで檜風呂に入って気持ち良くなる。
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仙人池でラーメンを食べるなんて贅沢はなかなかできるもんじゃない。
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夕方にちらっと裏剱。
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夕食は「今まで山小屋で食べた中で一番美味しい」とのお客様の声に激しく同意!
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最終日は黒部ダムまで遠いので、暗いうちに早出。
 
見送っていただける仙人池ヒュッテスタッフに感謝しながら歩いていたら、仙人池ヒュッテの上に後光が刺す。
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仙人新道から眺める裏剱も素晴らしい。
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裏剱に別れを告げて、二股の橋を渡る。
この橋もあと3週間余りで撤去される。
まさに光陰流水だ。
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四ノ沢の鎖場を過ぎて、剱沢を渡ればハシゴ谷乗越に向かう。
 
剱岳の北面から東面に周り込む。
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背後には八ツ峰Ⅰ峰がデカい。
下にはマイナーピーク東面スラブ。
真砂沢ロッジの先代、佐伯成司さんの頃に整備に行った。
 
黒部別山にも2回、薮の時期に頑張って登ったが、また自然に戻ってしまっただろうか。
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ハシゴ谷乗越から内蔵助平を目指す。
そろそろ飽きて嫌になって来る頃、懐かしい文字と出逢う。
全然、「もう少し」じゃないんだけどな(笑)
 
北陸新幹線ができる前は東京から、いつもこの路で剱岳に通っていた。
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丸山東壁が近くなると、ロープやハシゴが出てくる。
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黒部の巨人「丸山東壁」中央壁
辛かった想い出や楽しかった想い出、パートナーが宙吊りになったこともあったし、眺めていると複雑だ。
 
なんか自分の思い出話みたいになってしまったが、いろいろお見せしたい場所が点在している今回のルート…素晴らしい路だ。
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ようやく、黒部ダムが見えてきた。
この登り返しも暑くて長い。
剱岳本峰を踏まなくても、展望だけでも充実した登山をたっぷり味合わせてくれた。
 
このルートは登山というより、秘境の山旅という雰囲気がピッタリだ。
別山尾根だけを登って剱岳を語ることの愚かさ、そして剱岳のデカさを知るためにも是非一度歩いて欲しい。
 
ご参加いただいたお二人に感謝しつつ、来夏の北方稜線を楽しみに待とう。

剱岳北方稜線 [剱立山]

「剱岳北方稜線」なんとカッコいい響きだろうか。
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今回は剣山荘から剱岳本峰を経て北方稜線へ向かう。
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初日の入山は雨具を使用。
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剣山荘でリラックスタイム。
針山地獄Tシャツは売り切れです。
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翌朝、出発しようとしたら雨が降り出し、一度部屋で待機後に再出発。
時々パラパラと降る雨で岩場と鎖は滑る。
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剱岳でお参りしてから北方稜線へ。
 
長い付き合いのお客様2名様で、体力、技術、メンタル申し分ない。
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この2人なら濡れた北方稜線でも安心して歩くことができる。
雨が降る北方稜線は誰もいない。
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時々雨が止むと景色は素晴らしい。
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しかし、池ノ谷ガリーを降りる頃にはまた霧雨で視界は悪い。
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三ノ窓もチンネ、ジャンダルムがガスの中。
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発射台を登る。
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ようやく雨が止んだ。
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小窓ノコルには10時到着。
午前中には小屋に着くなと思ったら、小窓雪渓はとてもじゃないが通過できる状態ではない。
 
小窓から池ノ平山は10数年前に2回登り降りしたことがあるが、難易度が高いことは解っていた。
しかし、今回の2人なら大丈夫だろうと、池ノ平山を登ることにした。
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再び霧雨が降る中、悪い登攀と藪漕ぎの繰り返し。
時々現れる残置ロープは落ち果てて使えない。
浮石多数、部分的に逆層、脆い山肌、急傾斜…。
久しぶりの池ノ平山はかなり道が悪くなっていて、道とは言えない状態だ。
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今まで歩いて来た北方稜線のルートがハイウェイに思えるくらい厳しい。
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小窓から池ノ平山に登るだけで3時間掛かった。
 
某地図にこのルートが破線で載っているが、CTを信じたら遭難に繋がる。
池ノ平山を回ってもプラス1時間なんて単純に考えてはいけない。
相当悪場に慣れている人でなければ安全に通過すること自体が難しいだろう。
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仙人池ヒュッテまで頑張っての檜風呂は最高だ。
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この景色を観ることなく、シーズンは終われない。
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最終日、お見送りしていただいた。
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南仙人山に朝日が登る。
 
仙人新道を降りながら、昨日歩いた行程を振り返る。
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氷河剥き出しの小窓雪渓は通行不能と考えるべきだろう。
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三ノ窓。
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そして池ノ平山。
 
見た目だけは穏やかだ。
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真砂沢ロッジで美味しいコーヒーをいただき、ゆっくり寛がせていただいた。
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剱沢は長次郎谷出合と平蔵谷出合は雪渓に乗れるが、夏道を使用する。
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足場も作ってあり、感謝!
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平蔵谷出合も亀裂が多く、源次郎尾根取付きまでも距離ができていて、暗いうちは慣れた人でないとわからないだろう。
  
すっかり、剱岳周辺の秋は進んでしまった。
水量も以前の10月の様子だ。
 
翌日から剱岳北方稜線をもう一回転ガイドする予定だったが、中止した。
池ノ平山をアプローチとする北方稜線ガイドは現状あり得ないと考えた。
 
本来の北方稜線は剱岳から烏帽子、鋲ヶ岳までの長大な距離なのだが、ガイドルートとしては小窓雪渓を通過する短縮ルートが慣例となっている。
 
今回、久しぶりに小窓から池ノ平山へ登ってみて、現状では安全なルートではなく危険性が高いルートであると感じた。(今後通過する登山者が増えたり、整備が入って、ルートが安定する可能性はあるが)お客様に傷を付けるようなルートはプロの山岳ガイドとして取るべきではないというのが自分の考え方だ。
 
ガイドさん、それぞれの考え方があるので、どの考え方が正解かはわからないが、私のお客様には多少の傷やケガは承知の上で…なんて方はいないし、現状ではリスクが高すぎるルート選択だと思えるので、今シーズンの剱岳北方稜線ガイドは終了とする。

やり残した宿題 [剱立山]

2023年夏 暑かった8月も今日で終わる。
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8年前の2016年は東京銀座で「剱岳への誘い」という机上講習会を月イチで開催していた。
 
私の話を熱心に細かくメモを取っている女性がいた。
講習終了後もたくさんの質問をしてきて、聞けば小学生と中学生を連れて剱岳に登るのが夢だという。
 
次の講習には子供達も連れて来た。

その後、Facebookで繋がり、2017年夏に親子で剱岳へチャレンジすると聞いた。
その入山時に室堂で親子3人とバッタリ会い、いろいろと注意点をアドバイスした。

しかし、後に雨のため剣山荘で敗退したと聞いた。
 
その後、もう一度トライしたが叶わず。

それから親子にも受験やら、コロナ禍があったりで夢を諦めたのかなぁと感じていた。
 
私はこの親子のことが何年経っても、ずっと頭に引っかかっていた。

今年8月に母から連絡があり、憧れの剱岳を憧れのガイドと登りたいと…。
 
大学生になった息子達とスケジュールを調整して夏休み最後に時間を作ることができた。
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久しぶりに再会した子供達は、すっかり大人になっていた。
 
剣山荘を暗いうちに出発。
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ついにやり残した宿題を終える時がやって来た。
 
成長し、元気な子供達に不安はない。
母をみんなで叱咤激励しながら登ると夜も明けてきた。
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後立山がオレンジに染まる時間帯。
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前剱の肩に出ると初めて巨大な剱岳本峰と対面する。
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これから登るルートが良く見える。
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前剱山頂から日の出を眺めながら、これから待っている試練への準備を行う。
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天候は文句なし。
涼しく快適な朝の時間帯に登降する。
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さぁ正念場。
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タテバイもクリア。
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遠くから富士山も応援してくれているようだ。
 
息子達は「なんで、日本海にある山から太平洋にある山が見えるんだ?」と不思議がっていた。
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ついに剱岳に到達。

しかし、剱岳の試練は下山にある。
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疲れ果てた身体を奮い立たせて頑張る。
 
登り以上の時間を掛けて、一歩一歩降る。

剣山荘に着いて握手!
カップ麺食べて、ゆっくり休んでから、雷鳥荘を目指す。
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以前は剣山荘までしか来れなかったが、ようやく剱岳に登ることができた。
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今日往復した長い道程。
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ここで剱岳とは暫しの別れ。
 
剱御前小舎を後にして、長い雷鳥沢を降りて、階段を登り返す。
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雷鳥荘に着いて、初めて母が涙を見せた。
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剣山荘を出発してから12時間近くが経ち、剱岳チャレンジの長い一日は終わった。
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夕焼けに彩られた立山も祝福してくれているようだ。

温泉に入って、乾杯して、雷鳥荘の一夜を過ごす。
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今朝、雷鳥荘で親子と別れた。
「一生モノの思い出になりました」と母から。
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帰宅して、息子達から貰ったギフトカードを開けたら手紙が添えてあった。
 
この親子が私を選んだことを考えたら、嬉しくて涙が止まらなかった。

今日まで山岳ガイドとして生きてきて良かったと心底思えた日だった。 
 
2023年8月31日

涼風剱岳 [剱立山]

台風の影響か北風が心地よい。
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一週間ぶりに対峙する剱岳。
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前剱で朝を迎える。
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ベストコンディションのタテバイを快適に登る。
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今回も無事に山頂までガイドできた。
 
3人、いろんな想いを持って剱岳を訪れている。
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今回もその想いに応えることができ、次に繋がる山行になった。
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剣山荘に帰り、仕事後の牛丼は美味い!

晩夏剱岳 [剱立山]

台風やらキャンセルやらで長くなった盆休み明け、10日ぶりに室堂へ上がる。
 
昼過ぎの雷鳥坂は風も入らず、残暑も厳しく、日影もなく、汗が止まらない。
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剱御前小舎でようやく涼風にあたり、久しぶりの剱岳と対面する。
 
珍しく剣山荘に、ガイドが数名いた。
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晴天が約束された別山尾根を上がる。
一服剱を過ぎたら、後立山の名峰群から朝が来る。
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久しぶりに多くの登山者がいた別山尾根は先行者からの落石に注意しながら登る必要あり。
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前剱の直下で、剱人の大先輩とお会いできて嬉しかった。
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前剱ノ門。
 
この時間だけの影絵。
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タテバイ。
 
緊張してたけど、大丈夫!
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秋晴の剱岳へ。
 
人が多いので滞在時間はほどほどに。
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下山は渋滞もなく、スムーズに降りることができた。
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平蔵ノ頭を越えると先も見えて来る。
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前剱で我々のブロッケンが一瞬見えた。
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剣山荘に帰り、手作りカレーライスと生ビールで乾杯!
 
ゆっくり、映画を見たり、読書したり、これからの登山の話をしたりして寛ぐ。
 
夕食時に落雷豪雨。
近くに落雷した時には、閃光と音が同時で久しぶりに驚いた。
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翌朝は池に寄り下山。
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雷鳥にも会えた。
 
オコジョにも会えたが、速すぎて写真は撮れない…いつも(汗)
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三田平で最後の記念撮影。
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剱岳を目指す2人の若きお客様との3日間が終了。
 
快晴の元、初めての剱岳登山をサポートできて良かった。
 
私をガイドとして選び、トレーニングを経て剱岳に訪れてくれたこと、心から感謝したい。

少なからずの時間と少なからずのガイド料を費やして参加してくれた皆様には、単に剱岳を案内して終わりではなく、登山技術や装備、山におけるリスクや判断、伴う行動など、私の知識と経験からできる限りのことをお伝えするようにしている。
 
どう感じ、どう受け取るかは、本人次第。
自身が必要と思うことを今後の登山に活かして欲しいし、関わった皆様が怪我なく、事故なく、いつまでも良き山を楽しんで欲しい。

そして縁があるなら、今後も一緒に登山を重ねて様々な想い出を作れたらなお嬉しい。

灼熱早月尾根 [剱立山]

今年の富山は暑い!
真夏の剱岳早月尾根にチャレンジ。
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標高760m馬場島は暑い!
さぁ、来たる試練に向かって頑張ろうー♪
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今年から新しい看板ができた。
熊に壊されませんように!
 
松尾平までは暑い…暑過ぎる。
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一服杉まで来ると少し涼しさを感じるが、ここからの急登は真夏には修行だ。
 
水分摂取、栄養補給、熱中症対策と注意すべきことは多い。
喉が乾いた、腹が減ったと欲望のままになんでもいいから飲み食いすれば良いのではなく、登山中の身体に負担を掛けない方法を模索して、量と質とタイミングを測らなければならない。

食べなければシャリバテすると講習で教わり、ひたすら必死に食べている方も目にするが、余計に疲れるだけだ。 たくさんの山行を自分で経験する中で、自分の身体に合った摂取方法を模索すべきだ。
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冷えた梨やマスカットは最高に美味かった。
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早月小屋は満室でテントもたくさん。
夏本番になり、登山者も増えて来たようだ。
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有名な奥田ガイドもいた。
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ここには知り合いがたくさん集まり、なんだか楽しい。
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水不足の中でも、美味しい夕食を提供してくれることには感謝しかない。

小屋の水を盗むとか、登山者である前に人として絶対やめて欲しい。
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無念ながら、翌朝は体調崩してしまった一名を残して、山頂へ向かう。
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チングルマはヒゲの時期となる。
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大日連山に写る影剱。
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富山平野に浮かぶ早月尾根。
 
2800崩落箇所は、いつ次の崩落があるかわからない状況。
降雨後は特に最大の注意が必要だ。
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別山尾根に合流したら、朝6時過ぎにも関わらず多くの登山者でいっぱい。
先週まで剱岳に登山者が少ないと心配していたのはなんだったのかと…。
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山頂写真撮影の行列も復活した。
我々も順番待ちして、さっさと3秒で2枚写した!
一生に一度しか来ない人々の気持ちはわからなくもないが、グループでの個人撮影は際限なく時間がかかるので少し考えて欲しい。
 
各個人のスマホで、前向いたり、後向いたり、看板上げたり、齧ったり…もうキリがない(笑)
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まずは剱岳に人が増えて良かったのだろう。
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こちらのお客様は4日前に別山尾根をガイドしたばかり。
今回は早月尾根から登る。
表と裏から剱岳を登り、同じ山でも全く趣が違うことに驚かれていた。
 
剱岳は登るルートにより、季節によりまたは気象条件により全く違う山に変身してしまうのも魅力だし、この山の恐ろしい点でもある。

たった一度、晴れた別山尾根に登っただけで、剱岳を語ることは無知以外の何物でもない。

是非、様々なルートと四季を変えて剱岳に訪れて欲しいものだ。
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いつもの事だけど、早月尾根の下降は長い。
この祠から急峻な地形を標高差2200m以上、一気に降りるのだ。
 
写真を撮る気にもならず、ひたすら一生懸命下降に集中する。
脚が攣り、膝に力が入らなくなる人も多い。
ダメージない山の歩き方を見直し、ペース配分を考えて、臨まなければこの標高差は簡単に下降できるものではない。
 
気温はどんどん上がって、身体中が汗でびしょ濡れに。
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「試練と憧れ」に到着すると何とも言えない充実感がある。
馬場島荘で汗を流して、美味しいスイカを食べながら池田さんと語り合う。
今シーズンの北アルプス北部は過去最多の遭難件数だが、この日の朝も別山尾根平蔵ノコルで事故があった。

事故が多い理由は色々考えられるが、やるべき下調べが本質からズレている方が多いと感じる。
気にする所はそこじゃないでしょうと…。

そして、自分が日々の山で見ている範囲で言えば、近年おしゃべり登山者が実に多くなったと思う。
危険箇所であろうがおしゃべりは止まらず、スマホで撮影しながら…ゲラゲラ笑いながら登り続け緊張感のかけらも感じられない。
 
周りの登山者にも迷惑だし、そんな状態では、山から発せられるサインなど感じ取れるはずも無い。
 
道を間違えるなんて当たり前だし、自分達の上にある落石多発箇所に他の登山者がいても、足元を見ているだけでどのような行動をしたら良いのか考える発想も浮かばない。 そんな緊張感がない登山者が北アルプス北部の急峻な山に臨んだら、結果は当然のように付いてくるであろうと思う。
 
登山に於ける撮影もリスクがある。
写真撮影する時は呼吸を止めるのが常なので、そのまますぐに動き出したら危険だ。

私のガイドでは、行動中は全て私が撮影して、山行終了後に共有している。
写真撮影したいお客様には、撮影ポイントで休憩時間を取っている。
 
行動しながら撮影したい方はガイドをお断りしている。
 
撮影しながら歩いていて、剱岳の稜線から堕ちた登山者を見てから、ずっとそうしている。

立秋を迎える剱岳 [剱立山]

8月6日は日本にとって特別な日。
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この日も剱岳へ向かう。
 
登山を楽しむことができる平和が未来永劫続くことを切に望む。
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午後になっても雨が降ることなく、剱岳は美男子的姿を見せてくれていた。
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剣山荘でシャワー浴びて、生ビールで乾杯!
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温かい夕食を食べて、たっぷり寝る。
だいたい19時30分を過ぎると小屋内は静かになり、ほとんどの人は寝ているようだ。
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翌朝は巨大な虹が掛かり綺麗な夜明けだった。
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今夏の剱岳別山尾根は渋滞もなく、快適に登ることができる。
そう言えば、近年は大人数のツアー登山が減ってありがたい。
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剱岳は全方位展望が良く、理想的な山頂だ。
 
しかし、看板が多すぎて…誰か整理していただけないだろうか。
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おやすみ時間に登ってきた剣山荘スタッフとも記念撮影。
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眺望に恵まれたこの日は景色を楽しみながら、ゆったりと下山。
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剣山荘に戻り、牛丼ランチを食べてから映画を見たりして、2泊目を楽しむ。
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最終日は秋空広がる立秋。
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また、10月に皆様と裏剱を楽しむ予定だ。
 
今日から山の日まで三日間休んで夏ガイドの後半戦に備える。
この夏は強制的に休みを取って、体調を整えガイド品質を下げないよう気をつけている。
 
そして下山後の食事も大切だ。
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美味しいものを食べると、心身共に疲れが取れる。
だから、下山後のえび寿司は大切だ!

天高く剱岳 [剱立山]

空の色、風の匂い、雲の形が秋を感じるようになって来た。
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ご縁ある4名のお客様を2名ガイドで剱岳へ。
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入山時には雷鳥沢で、富山の超人気寿司屋「えび寿司」の主人とバッタリ!
 
ポケットから梅しそ巻が出て来ていただく。
えび兄の太ももで温まった寿司は美味かった!
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剣山荘でシャワー浴びて、生ビールも美味かった!
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鹿島槍ヶ岳、五龍岳など後立山を眺めながら夕刻を楽しむ。
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翌朝も後立山の空が染まる。
今夏の剱岳は登山者少なく、空いていて順調に進む。
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皆様心配していたタテバイも問題なくクリア。
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頂稜に出たら祠が見えて来て、目に涙が浮かぶ。
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山頂は空いていたので、一名づつと記念写真を撮る。
この時ばかりは、アイドルになった気分(笑)
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下降は丁寧に行動する。
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前剱の下降前に大休止。
長い岩場の下降で脚に疲れが溜まってくる頃だ。
ここは本峰の眺めが良く、山渓の取材でも良く使う場所。 
前剱の転倒事故はほとんどがルートミス。
単に踏み跡やマークを追うだけでは不十分。
間違った踏み跡は、迷って行ったり来たりするので、余計に跡が濃くなる。
 
動く岩、不安定なザレ場、バランスが悪いムーブ箇所などを把握して、最適なラインを追えれば安心だ。
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一服剱まで降りたら、まずは安堵。
眼下に剣山荘が見えて、あとひと踏ん張り。
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到着して全員で握手。
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熱々の中華丼が美味しい。
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帰路は雷鳥親子と出会う。
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お客様の中でスケッチをされる方がいて鹿島槍ヶ岳に見惚れる私を描いていただいた。
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帰りに寄った天狗平からの剱岳。
これを短時間で描いてしまうって凄い才能だと思う。
 
4名のお客様にとっても喜んでいただいて、ガイド冥利に尽きる山行だった。
来年は早月尾根から剱岳へ登り、次は長次郎谷、北方稜線…と夢は尽きない。

剱岳展望の縦走路 [剱立山]

7月の終わりに剱岳展望の山へ。
 
本来なら剱岳バリエーションガイドの予定だったが、腰痛から左脚麻痺が酷くなったため、中止させていただいた。
いつか治って再びクライミングができるようにと思い描いていたが、なかなか思い通りにならない。
60歳を過ぎて、いつまでこの仕事ができるのかもわからない。
一日づつ、今日で終わりかもしれないと思って山を歩いている。
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ここは花咲く縦走路。
花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき。
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綺麗な花咲く稜線は心地よいが、肝心の剱岳はガスに包まれて見えない。
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奧大日岳へピストンする登山者が多く、ようやく夏山らしい雰囲気が感じられる。
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山頂からも剱岳は見えないので先を急ぐ。
雷が遠くからゴロゴロ始まり、時間の問題で雷雨となりそうだ。
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鎖場、岩場を越えて、ここから雨となる。
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なんとかうまくやりくりしていたが、7月になって初めて雨具を着た。
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中大日岳は走って通過。
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ほとんど濡れることなく、ギターとランプの小屋へ。
 
VIPルームに入ってから、土砂降りの雷雨が始まった。
途中で抜いてきた多くのパーティが心配だった。
花と景色が綺麗なので、ゆっくりお喋りしながら歩きたい気持ちはわかるけど、山は意地悪なのでそれを許さない時もあるのだ。
山が発するサインを見逃さないようにしたいものだ。
 
雷ほど恐ろしいものはない。
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夕食後はワインを飲みながら…
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杉田オーナーのギター演奏を聴く。
うまく言えないけど、生き方を説いた独特の演奏に深い感動をいただいた。
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そして翌朝は剱岳を眺めるために夜明け前の大日岳へ。
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山頂で日の出待ち。
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雷鳥さんも雛を見守っている。
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コバイケイソウと剱岳。
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日の出は突然一気に眩しい!
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大日小屋に別れを告げて大日平を目指す。
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ずっと涼しい山にいたいが、灼熱の下界を目指さねばならぬ。
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称名滝も水量少ないので迫力に欠ける。
下にいても濡れることなく、ただ暑いだけ。
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今回、暑さが予想されたので、立山駅売店で扇子を買おうとしたら1100円。
隣に座っていたドラえもん扇風機が800円。
 
なにかの縁と思い買ってみた。
 
試しに山で使ってみたら、超涼しい!
難点は手動で廻すので、面倒くさいけど…。
夏登山の友達になりそうだ。
友達いないので嬉しい。
  
いよいよ、もうすぐ8月夏本番!

剱岳の夏 [剱立山]

全国、厳しい暑さが続いているが、ここは朝寒いくらいだ。
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風も冷たくて、防寒着も必要だ。
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陽が昇り、後立山方面から明るくなる。
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岩が輝く時間帯は、ここが日本だとは俄かには信じられない。
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今回は男性2名のお客様をガイド。
 
梅雨明けして随分と経つのに、剱岳には登山者が少ない。
テントも少ない。
コロナ禍が落ち着いて、この夏は山に人が殺到する予定だったはず。
 
一昨年、昨年より登山者が少ないかもしれない。
 
理由はわかる気がする。
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剱岳は、難易度、達成感、展望…どれをとっても国内屈指を誇る。
一度、その素晴らしさを知ったら、また何度でも来たくなる山なのだが、その魅力が伝わっていないのだろうか。
 
これから8月を迎えて、沢山の登山者が剱岳を訪れることを期待したい。