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涙の焼山北面台地 [頸城]

平日の暖かな陽気の中を焼山へ。
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糸魚川市と妙高市の境にある活火山で、火打山と妙高山とあわせて頚城三山と呼ばれる。
そして秘境である海谷山塊と接する人の雰囲気を感じないエリアだ。

笹倉温泉から入山し、延々とジグザクが続く林道をシールハイク。 朝は雪面硬く、クトーを利用しながら登る。 今回は雪山はバリバリだが山スキー初心者の方が参加していたので、山頂まで行けずとも賽河原辺りから滑りたいと考えていた。 とにかく、焼山北面台地の雄大な景色の中を滑らせてあげたいと。
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しかし、なかなか辛かったようで、いろいろなイベント満載だった。
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鉾ヶ岳と飛行機雲。
高さが増すにつれて、広がる景色に感動。
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昼闇山、高松山、焼山、火打…と囲まれた広大なる台地。
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暖かな陽気の中、どこまでも歩いていたい。
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春は服も荷も軽く、視界が効いて、雪面もわかりやすく、陽も長く…長時間楽しめるので、山スキーに慣れるには最良のコンディション。
 
しかし、そろそろ時間が来た。
お客様にも限界点が来た。
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台地の真ん中から滑る。
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ザラメが良い感じだが、地形と樹が怖くて苦労していた。
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でも、無事に帰って来た。
 
登ってる時も滑ってる時も涙目状態で、できない自分に悔しさを滲ませていたが、降りて来たら「楽しかったー」と。
こちらが泣きそうになった。
 
9時間以上の行動時間になったが、3人とも忘れられない山行になりそうだ。
 
来シーズンは焼山頂上へ向かうことを約束して。
 
さぁ、あと10日、いよいよ立山が始まる!

春の怪峰へ [頸城]

私が勝手に「怪峰」と呼んでいる鉾ヶ岳。
93A5FDD4-6BAD-4DF0-A235-C898DF38CF4F.jpeg昨年4月初旬の鉾ヶ岳

鉾ヶ岳は、糸魚川の能生という日本海間近の豪雪地帯にある。
その雪の降り方は半端ではなく、隣接のシャルマン火打スキー場ゲレンデトップは今年ハイシーズン6mオーバーだ。
 
私は毎年数回、冬季、残雪期にガイドさせていただいている。
まず、誰とも会うことはない。
 
冬季はひたすら、急傾斜のラッセルを強いられるが、春は薮とザラメの急斜面で、ブロック崩壊、雪庇崩壊、クラックへの転落などに気をつけながら、ライン取りに工夫が必要な玄人向けの山だ。
 
ルートはいろいろあるのだが、今回は珍しく早川ルートを選んだ。
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笹倉温泉に前泊した。
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笹倉温泉は実に素晴らしい。
 
翌朝も温泉に入ってから出発。
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予想通り、急に融雪が進み下部には雪がなく、夏道が出ていた。
夏道といっても、まだ整備は入っていないので、初めて行ったらGPSに頼らないと道がわからないだろう。
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花の宝庫でもある。
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峠を越えると、いよいよ雪が出てくる。
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ザラメと薮のミックストラバースは高さもあり、滑落は許されないので、ロープ確保しながら確実に登る。
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頂上付近になると、日本海、栂池新道、白馬稜線、そしてなんと言っても海谷山塊の景色が素晴らしい。
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このお二人とも随分長くお付き合いいただいているが、10年越の鉾ヶ岳登頂だそうで、凄く喜んでいた。
 
ヒマラヤ、アンデス、アルプスなど様々な海外の高峰にもご一緒したが、高齢になっても、頑張って山を続けていただけることには何より嬉しい。
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素晴らしい景色を眺めながら、次は何処へ登ろうかと話しながら下降する。
 
山高きが故に貴からず、樹あるをもって貴しとなす。
 
海谷山塊は、そういう山の宝庫だ。

頸城展望台 [頸城]

平日の晴れ間に糸魚川の戸倉山へ。
除雪地点からスノーハイクを使って白池へ。
ようやく少し慣れてきた。
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白池はまだ半分くらい雪の中。
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それはそれで美しい。
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角間池はもっと雪に埋まっていた。
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戸倉山はまだまだ雪がたっぷりで、ここが豪雪地帯だと思い出させてくれる。
 
バックの雨飾山が迫力満点。
 
山頂はナイフリッジになっている。
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バックは白馬岳から雪倉岳、朝日岳、そして栂海新道が良く見える。
 
眼下にはシーサイドバレースキー場が良く見える。
下まで綺麗に雪がたっぷり残っていて、クローズがもったいないけど、そろそろスキー場スタッフの本業が忙しいらしい。
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左下は明星山P6南壁。
ここも毎シーズン、ガイドしていたが行かなくなって10年近くなるだろうか。
もう行くこともないだろう。
できない事は諦めも大切だし、新たな仕事を見いだすキッカケにもなる。
 
それにしても、戸倉山は貴重な頸城の展望台。
天気の良い日は、日本海から海谷山塊、栂海新道など360度の景色が楽しむことができる。
そろそろ、花も楽しみだ。

大雪警報の週末は [頸城]

金曜夜から災害級の大雪が降るとされていた週末。
予定は鉾ヶ岳だったが、これだけ報道で脅され続けるとお客様も不安だろうと、中止でも良いよと伝えたが、お任せしますと嬉しい言葉。
 
自分でどう調べても、それほど酷い雪が降るとは考えられなかったが、土曜朝に最終決定することにして、変更オプションを5パターンくらい用意しておいた。
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土曜朝はこんなもの。
いつ本降りになるかと待っていたが、青空も見えだした。

なので、予定通りに糸魚川前泊。
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作戦会議という名の寿司三昧。
結局、土曜夜も大して降らず。
 
しかし、翌朝は西風がもの凄く強くて東側登山口へ移動。
吹雪で山は見えず、行動できそうにないので、オプションのひとつである放山へ転身。
 
パトロールに登山届を提出しに寄ったら、「どうせ、山頂には届かないでしょ」みたいな感じで…。
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薮は濃く、思ったほど積雪量は多くない。
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ワカン履いて、だいたい膝下。
吹き溜まりで股くらい。
 
尾根上は風が強いが行動には支障なく、ラッセルを楽しむ。
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快調にラッセル回して、2時間で山頂へ。
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景色もなにも見えないが、妙な満足感がある。
トレースがない、誰もいない、風の音しかしない山は実に楽しいのだ。
山の価値は自分で決めるもの。
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なにか変な動物がいた。
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シャルマン山頂に戻って、楽しみにしていたカニ丼。
今シーズンは何回食べれるかな。
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豪雪シャルマンで新雪降ったら滑らないわけには行かないー!

そのあとはスキー開始。
一度で二度美味しいシャルマン。
 
午後から冷えて板が良く走る。
ラッセル登山&スキー、そして寿司&カニ。
お客様も大満足の週末だった、はず…。

「下山の道路が通行止になりました。迂回路はありませんのでスキー場でそのまま待機してください」と場内アナウンス。

マジかー?
 
2012年に雪崩で通行止めになり、スキー場で缶詰になった時のことを思いだした。

どうやって帰るんですかー?とお客様。

ヘリで食料投下してくれるから心配するな!と自分。
 
人生はまさかの連続だ。
 
結局、クルマの単独事故で一時間ほどで降りれるようになった。
事故のクルマは黒焦げになっていたが、大丈夫だったのだろうか…。

海谷西端の山へ [頸城]

海川と根知川に挟まれた海谷山塊にある西端の山へ。
特に西南の山腹は断崖絶壁でここに登山道があることは俄には信じられない。
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今回も土曜日が大雨。日曜日も未明まで雨が断続的に降って、泥は覚悟した。
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下部はびしょ濡れになりながら、蜘蛛の巣をかき分ける。
深いガスで視界は効かないが、風が吹いてくれて気持ち良い。
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ロープやハシゴがいろいろ。
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濡れているので慎重に!
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すくみのテラスだが、視界が悪くて、高度感なし(笑)
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びしょ濡れの山頂は視界皆無。

滑り台のような泥下山を無事に終えて安堵。
ご参加いただいたお客様もワイルド体験は楽しかったようで良かった。
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この冬にも来たのだが、急な降雪でバンドへのトラバースがヤバすぎて敗退しました。
また冬にも訪れ、リベンジしたいです。
 
海谷山塊は、他に素晴らしいルートがたくさんあります。
私にとって大切にしたい山域でもあります。

新緑に浸る [頸城]

糸魚川の戸倉山へ行って来ました。
 
あまり、時間が掛からず、疲れない、展望が良い山とのご希望だったので、私の「やわやわガイドリスト」からこの山を提案しました。
(注 やわやわ とは、富山弁でゆっくりという意味ですが、ほぼ同じ意味で鉄道用語でもあるらしいです)
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白池に新緑の山が綺麗に映ります。
 
花も綺麗にたくさん咲いてました。
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サンカヨウですね(笑)
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角間池、誰もおらず静かで、癒されます。
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常連のお客様で海谷山塊を幾度もご一緒させていただいた方なので、周りに見える雨飾山、鋸岳、鬼ヶ面山、頸城駒ヶ岳などの懐かしい思い出話を聞きながら登りました。
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ご一緒したネパールの山々、剱岳のバリエーションなどより、海谷のルートの方がずっと怖くて思い出に残ると申しておりました。
人が行かない山、情報があまりない山は面白いけど怖さはあります。
 
でも、私は海谷山塊の雰囲気は好きだし、お客様をガイドしていて楽しい場所です。
派手さはなく、玄人好みの山が多いです。
昔は、明星山P6南壁を年2回ペースでガイドしていただけでしたが、海谷や頸城に目を向けたら、凄い場所がたくさんありました。
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糸魚川は特色あるラーメン屋や食堂もあって下山後の食も楽しみです。
富山からも行きやすいし、北陸新幹線で東京からも行きやすいですね。
末長く通いたい地域です。
もう5月も終わり。
今日から6月です。
日本の山々は四季折々を感じさせてくれるのが素晴らしいと思います。
特に夏になる前は、まだ雪も楽しめるし、新緑も楽しめるし、そろそろ沢登りもできそうです。
梅雨の晴れ間は、登山に最高の時期です。
 
自由に動けるようになるまでは、もう少し時間が必要ですが、そろそろ出口がぼんやりと見えて来たような気がします。
引き続き、気をつけて良い山を楽しみましょう!

大雪警戒 [頸城]

大雪報道の中、週末は鹿島槍ヶ岳の予定だったが、さすがにリスクを感じて中止も考えた。
でも、雪に触れてラッセルしてみたいと嬉しい考えの方々と能生の怪峰へ。
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登山口へ行くまでも大変だった。
 
最終除雪地点から登山口までラッセル2時間。
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雪崩柵を初めて見たそうです。

この山は昔から部落へ雪崩被害を与えて来た。

登山口で積雪深180cm。
ピットチェックして、ヤバそうなのでギリギリのラインまで登って下山した。
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大雪警戒ニュースが流される中で、登山を辞めるもよし、経験値を上げに行くもよし。
どちらも有でしょう。
私は雪に触れたい方だ。
 
大した経験値もない山岳ガイドが、ちょっと齧った雪崩学習情報を基に危機感を煽るSNS投稿に気持悪さを感じる。

海と谷 [頸城]

週末は頸城の山へ。
天気予報は最悪だったが、晴天の山ばかり登ってても得るものは限られるので、吹雪かれに行くのも良い。
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登山口は強い雨だったが、標高を上げると雪に変わる。
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当然、風も強くなるが、冬山らしくてなんだか嬉しい。
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そして核心のトラバースに入る。
 
ここら辺は、カネコロンができる場所。
日本海に近い、こんな標高が低い場所に150mの大氷瀑ができるのだ。
いつか登りたいと思っているうちに歳を重ねて、チャンスは無くなった。
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吹雪の中にいるとワクワクしてくるのは何故か。
トラバースを続けるうちに雷鳴が近づいてきて、これ以上はヤバいと撤退を始めた。
 
この海谷山塊は奥が深く、非常に魅力的な山域で様々な思い出がある。
行ってみれば、海と谷の意味を感じる場所でもある。

能生の怪峰 [頸城]

昨日は4月になって初めての仕事、鉾ヶ岳ガイドでした。
日本海に近い豪雪地帯にある山。
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人が入った気配はなく、下部は激しい藪漕ぎを伴い、上部は不安定な雪壁と雪庇の処理をクリアする必要がある。
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山頂からは火打、海谷山塊、栂海新道、360度の大展望を楽しむ。
9時間掛かって、久しぶりに充実した登山ができた。

考えてみれば、コロナで2月中旬から仕事が減り始め、最近はまともに雪山を歩いていないので今朝は心地良い筋肉痛。

今回のガイドは、深く悩みながらリスクを考えながら、クルマで登山口まで安全に来られる方と日帰りで行った。

発信力がある方々から繰り返される何がなんでも登山は許さないという同調圧力を感じながらも、そんな中で許される行動は何かを自分の責任において考えた。

山小屋の営業も厳しい環境の中、今まで通りの三密は不可能で経営が更に困難になると予測されるが、なんとか関わる人全員の知恵で運営できるよう願いたい。

緊急事態宣言が発せられた都府県の登山者は、更なる厳しい自粛状況になり、周りの人を感染させないための行動が求められる。
緊急事態宣言解除の際、我慢を解き放たれた登山者達の反動リスクも怖い。
あまり極端過ぎる自粛に走り過ぎて自分を見失うことがないよう、息抜きも大切にして欲しいと思うな。