播隆上人の里山 [北陸]
私の誕生月である10月最終日は、槍ヶ岳開山の播隆上人生誕地へ。
旧大山町河内集落出身。
この地にある山へ。
ここは富山百山だが、もともと積雪期のみ歩かれていたマイナーピーク。
出だしはなかなかの急登。
秋の七草が良い雰囲気。
そして有名な長い長い導水管。
これを興醒めと見るか、興味深いと見るかは人それぞれ。
私は後者だ。
良い雰囲気。
ブナだらけの山頂で展望は木々の間から。
今回は馴染みのお客様と一緒。
剱岳は私と20数回登ったらしい。
帰りに碑に寄って挨拶させていただいた。
秋晴れの平日に良き登山。
山中ですれ違ったのは、4人グループのみ。
地元の方々で「本郷さん」と声を掛けていただいた。
なにかの本で知ってたとのこと。
「こんなマイナーな山へようこそ!」と。
リーダーが私のことを剱岳専門のガイドと紹介していらした。
そうか…。
そういう見られ方なんだな。
光栄だと感じる部分もあるが、少し穿った見方をしてみると…。
専門というのは、いろんな意味があると思う。
剱岳しかわからない山岳ガイドであったら実に情けないことだ。
所謂、剱バカにはなりたくない。
いろんな山を登って来た結果、剱岳が好きになるのと、それしか知らないのでは大きな違いだ。
私の場合は、剱岳に通い詰めるのは、夏のたった3ヶ月程度。
あとの9ヶ月は日本全国、時には海外まで出かけることになる。
常に楽しそうないろんなネタを探している。
そんな環境下で、やっぱり剱岳は素晴らしい、いろんな人に登って欲しいと思える事が私にとっては良いバランスなのだと思う。
2022-11-01 05:06
剱岳へのチャレンジ [北陸]
令和4年10月18日、無事に還暦を迎えました。
もっと、剱岳のことを事前に知って登っていただけたら、感動も深まるのにと勝手ながら思う。
だから、剱岳登山の準備段階からご一緒できることはガイドとしてとても嬉しいこと。
60年間で数多くの皆様に御世話になり、感謝の念に堪えません。
気持も新たに益々、山岳ガイド業に邁進したいと思います。
自分の価値観と責任において、より良いガイドを提供し続けます。
来夏、剱岳を登りたいという夢を実現するためにトレーニング山行を依頼された。
まずは岩場鎖場を体験していただく。
富山の方々なので、選んだ場所は鳶岩。
スリッピーな梯子坂を降りて、沢を渡渉する。
ここの沢水はとても綺麗だ。
ヌルヌルの「カニのヨコバイ」からロープを結ぶ。
鳶岩はホールド、スタンス豊富で登りやすい。
初めての岩場体験に適していると思う。
鎖場はとても長く、紅葉も綺麗で楽しい。
鳶岩の天辺に立っていただく。
眼下には大沼が美しい。
あとはこちらへ縦走。
秋晴の下、気持良く岩場鎖場を体験できたのではないだろうか。
剱岳に憧れて、登りたいけど、自信がなくて、事前に講習を受けたいという依頼は大歓迎。
剱岳のこと…事前のトレーニングや適した装備、ルート状況、気象条件などをお伝えして、しっかり準備して望んでいただきたい。
夏の剱岳別山尾根ガイド依頼の多くは、事前にメールのやり取りで登山実績を伺ってお客様の体力・技術・経験を計り、同じようなレベルのお客様を組み合わせてガイドスケジュールを作成し、登ってしまえば残念ながら、それで関係性は終わり。(まるでスタンプラリーのお手伝いのようで少し寂しいというのが私の本音)
もっと、剱岳のことを事前に知って登っていただけたら、感動も深まるのにと勝手ながら思う。
だから、剱岳登山の準備段階からご一緒できることはガイドとしてとても嬉しいこと。
YouTubeやテレビに出てくる情報は、一本橋やタテバイ、ヨコバイなどが危険箇所としてクローズアップされるが、ホントの危険は別な箇所にあるのではないだろうか。
山は正しく恐れたいものだ。
来夏の剱岳ガイドの予約もたくさん入って来た。
60歳になっても、益々成長して頑張らないと!
2022-10-20 17:35
五箇山の盟主 [北陸]
晴れたり、いきなり局地的な雨が降ったり、最近の富山の気象も落ち着きがない。
やっと、晴れそうな本日は、人形山と三ヶ辻山の連続登頂へ。
ところがこの日の早朝、東海北陸道が通行止で、庄川を経つって五箇山へ。
なんだかんだで、一時間ロスト(涙)
核心部は林道。
車高があって、小回りが効くクルマが適している。
幅のあるクルマが入るとスレ違いが難しいだろう。
登山口は平日だというのに、クルマ多数。
さすが、富山有数の人気の山。
そして、新日本百名山だ(笑)
登山道は、山開きの直後で整備もバッチリ!
小一時間登ったら、ベンチがある休憩ポイント。
可愛い花が点在。
第二休憩所はスルーしたが…。
ここには富山県最大と称されるドウダンツツジがある。
また、咲いている時期にも訪れたいものだ。
宮屋敷跡に飛び出て、一気に展望が広がる。
ここは白山宮の社があった聖地。
人形山はまだ遠い。
名前の由来となった雪型はハッキリしない。
三ヶ辻山はピラミッド型でカッコいい。
時々残雪を踏むパートもあるが、アイゼンを使用するまでもなかった。(このあたりは自分の判断で…)
鞍部へ降り、また梯子坂を登り返すと絶景のJP。
左は三ヶ辻山、右は人形山。
人形山の山頂は2ヶ所ある。
白山方面に開けた山頂は大展望台。
四日前にはあの山頂にいたのだ。
いいね。
分岐点に戻り、三ヶ辻山へ。
こちらはあまり整備されていなくて、出だしは少々ワイルド。
こちらが利賀村最高峰。
しかし、稜線上に黒い雲が近づき、気温が低下して来たので、山頂タッチで急いで下山開始。
JPまで戻ったら、かなりの御高齢グループが湯を沸かして、ラーメンだかウドンだかを作ってまったりしていた。
この後、人形山に向かうようで、「ドリップコーヒーでも沸かそうか?」などと話が聞こえたので、リーダーらしき方に「これから雷雨が来るかもしれないので、急がれた方がいいですよ」と伝えた。
「そうですか。じゃ、もうやめて降りよう!」と応じてくれた。
この時期は、局地的な天候の急変に注意が必要だ。
稜線上の雷は恐ろしい!
2022-06-09 18:54
霊峰白山 [北陸]
市ノ瀬から別当出合まで5.5kmの舗装道路をテクテク歩くのシンドイなぁと憂鬱だったのだが、6/3 15時に開通のサプライズニュースが入った。
この残雪期、立山、富士山とご案内してきて、日本三霊山最後の「白山」へ。
別当出合ビバークの予定だったが道路開通したので、贅沢に金沢前泊へ変更。
まさかの百万石祭りと重なり、金沢は盛り上がっていた。
竹中直人も来てるし。
まずは北陸一番と称される味噌ラーメンへご案内。
完成度高い一杯。
そして兼六園をご案内。
久しぶりの餡ころは美味かった!
夕食は人気居酒屋「喜はな」へ。
地酒も美味いが、翌日のために早めの就寝。
石川県旅行応援事業で富山県民は宿泊費割引とクーポン。
そして更に高級な鰻重をもらった。
朝ご飯にしよう!
鰻重を深夜2時に食べるのはちょっと辛かったが…。
まだ暗い3時に金沢を出発。
雨が降っていたが、陽が出れば止むだろうという感じ。
予定通り雨も止んで、別当出合から入山。
ニリンソウやサンカヨウだらけの気持良い登山道。
タカネザクラと青い空が心地よい。
甚之助避難小屋下から弥陀ヶ原までは、ほぼ雪道を辿る。
バックは別山。
荒島岳も見えた。
まだまだ滑れますね!
白山では珍しい無風の山頂。
まだ雪があり、火山湖はドラゴンアイにはならず。
雪があると下山も楽しい。
別当出合の鳥居は雪崩で上半分がなくなっていた。
最後はこちらで〆。
えび兄、いつもありがとうございます♪
開通直後の白山は、登山者で賑わっていた。
最近あまり、人が多い山域に入っていなかったので、様々な登山者に感じることがあった。
単独行は危険なので、グループ登山が推奨されてるが、見ているとすぐにバラバラ行動になるグループが目立つ。
グループ内にアイゼン歩行が不慣れな人がいると、その人は置いて行かれる。
使っているトレッキングポールの先にはキャップが付いたまま。
さすがに言おうかと思ったが、逆ギレされそうな雰囲気だったので辞めた。
山アプリを利用している方も多かった。
「道が違う」とアプリに叱られて、トレースとの差異に戸惑っている方もいた。
雪道の歩行進路は、アプリを参考程度にして現場にいる自分が判断しなければ適切な選択ができない。
盲目的にトレースを追うのも問題あり。
お天気アプリを利用して、何時に雨が降ると自慢げに話しているのを聞いていて、逆になったらどうするのかと心配になってくる。
アプリのマークを完全に信用して、その情報をグループ内で共有させるのは危ないと思う。
いきなり雷とかありがちな話で。
お天気アプリは参考程度にして、天気図などを頭に入れて現場で判断できる能力を鍛えないと。
ピッケル、アイゼン、トレッキングポールの使い方を見ていても、おそらく使用方法を基本から習っていない方が多いのは一目瞭然。
あるいは、指導者が間違って教えているのか。
最近はガイドもプロも急激に増えたので、誰を信用するかの判断も必要になったことは悲しいことだ。
などなど、インスタント文化なのかは知らないが、大切なことを簡略化して結果だけを求める風潮を感じるのは私だけだろうか。
いろんな楽しみ方があると言われれば、それまでで否定する気もないが。
最近、山の遭難や事故を見聞きすることがとても多いので、ちょっと気になった。
2022-06-06 08:32
大野富士 [北陸]
北陸の小京都、福井県大野市にある荒島岳(別名 大野富士)へ行ってきた。
今回はトレーニングで重荷を背負って来た。
トトロの木…どうしたんだ。
餅ヶ壁でロープを付けたが、トレースばっちりで雪も安定していたが、視界は悪くなり風が強い。
荒島岳らしいと言える条件だ。
前荒島から風がどんどん強くなり、飛ばされないよう耐風姿勢を繰り返して、ギリギリ山頂へ。
昨年、初めて剱岳をガイドしたお客様。
今年は様々なバリエーションルートに挑戦するため、毎回テーマを持ってチャレンジしてくれている。
今回は風に対する対処を学んだことだろう。
安全圏に降りてロープを解いたら鱒寿司が美味い。
今回も充実した登山ができた。
2022-03-30 18:12
大寒登山 [北陸]
大寒の日は、井波の八乙女山へ。
井波風という地方風を八乙女による風鎮儀式が行われていたことが由来らしい。
登山口からワカンでスタート。
誰もいない静かな森の中をひたすら登ると穏やかな気持になれる。
ずっと降り続く雪も落ち着いて、井波の街並が見えてきた。
年末に一緒に登った牛岳が見える。
一昨年、一緒に登った金剛堂山もうっすら姿を見せた。
山頂下は腰ラッセルになり、少し消耗した。
饅頭と鱒寿司を食べてから下山開始。
東屋はこれくらい埋まっている。
今冬は雪が多いとみんな言うが、これが本来であり、近年の雪山が優しすぎたのだ。
何はともあれ、今冬は楽しめそうだ。
呉西へ来ると食べたくなるラーメン。
いつも並んでいる超人気店も他にお客さんはおらず、こんな経験は初めてだった。
大寒に相応しく冷えた身体に沁みた一杯だった。
2022-01-20 21:12
冬至の山 [北陸]
12月22日
一年で最も日の出から日の入りが短い日。短い昼をたっぷり楽しんできた。
この週末にまとまった雪が降って、その後は気温が上がり、北陸の雪は重い。
そんな中で、丑年の〆に牛岳を登ろうとなった。
案の定、雪は重くワカンに纏わりつき、一歩一歩も重い。
「まだですか…」
疲れた…ご様子で。
しかし、二人とも古希を過ぎても元気だなあー。
登山口から一生懸命ずっとラッセルして三時間半掛かった。
展望ないけど大満足。
これで、今年98回目のガイドが終わり。
たくさんのお客様とたくさんの山を歩くことができて、終わってみれば充実した年でした。
力不足で全ての方の期待に応えることはできなかったけど、精一杯やりきりました。
2021年の仕事もあと少し。
参加者の皆様を笑顔にできるよう頑張ります!
2021-12-23 07:03
冬の始まり [北陸]
波乱の2021年も師走となり、時が過ぎるのは早い。
富山百山ガイドで本来なら違う山をご案内する予定だったが、前夜からの大雪で林道クルマ入れず、こちらに変更。
こちらも雪たっぷりで、冬の始まりを感じる山だった。
新雪ラッセルは楽しい。
ちょっとワカンが欲しいところもあった。
山頂からは日本海が目前。
剱立山も見えるが、あちらは吹雪のようだ。
風も強かったので身体が冷えて、早々に下山。
黒部そば屋へ。
「究極の蕎麦」の看板が以前から気になり初めて入店。
田舎蕎麦と更科蕎麦が両方味わえる二色蕎麦を食べたが美味かった。
そして夜は親方とこちらへ。
冬になって富山の味も本領発揮。
皆様、是非ご一緒しましょう♪
2021-12-03 09:09
雪の里山を訪れる [北陸]
11月29日は快晴の負釣山へ行ってきた。
富山百山にも選ばれた入善の名山。
後立山の眺めが素晴らしい。
高い山に登る登山も良いが、高い山を眺める登山も楽しい。
誰とも競うことなく、ただ登り降ることが楽しいのだ。
人には疲れない登山も必要だ。
足元はチェーンスパイクだが、湿雪には団子になりやすく、岩に当たると壊れることもあるので、そこを理解して使用しなければならない。
初めて履いてみたこのシューズ。
登っている時は普通だったが、下山時には超快適。
ダウンヒルシューズとサブタイトルを付けたいくらい。
膝腰痛の登山者には効果がありそう。
注)個人の感想です
2021-11-30 19:25
天敵 [北陸]
七夕の日。
大雨も朝には止んで、晴れ間が出た。
しかし、午後にはまた降り出すような感じなので、行程短い富山百山「袴腰山」へ。
ダートの林道はジムニーが良い。
ジムニーは3台乗り継いだが、このクルマがないと私の仕事に制限が生じる。
ちょっと登ると山小屋がある。
のんびりしようと思い、初めて中へ入ったら、なかなか綺麗な小屋でこれならいつか泊まりたいなぁと。
窓を見たら、大蛇がこちらを見ていた。
ダッシュで逃げた。
天敵現れて意気消沈。
このまま帰りたかったが、そうも行かず。
私と蛇とのエピソードは数限りない。
いつか、本にまとめてみたいくらい。
蛇がいる窓の横をダッシュで走り、登山再開。
このパッとしないのが山頂。
でも、南展望台には立派なヤグラがある。
ここからの景色は360度最高のはずだが、ミストたっぷりであまり見えず。
ここはトンボだらけ。
癒されるなー!
同じ生き物でも蛇とは大違い。
帰りも、あの大蛇がいる窓の横を通る恐怖でいっぱい。
ダッシュで駆け抜けて、なんとか生還。
クルマに乗って、たいらスキー場まで降りたら雨が降り出した。
2021-07-08 16:55