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静粛なる槍ヶ岳 [北アルプス]

今夏は剱岳ばかりではなく、槍穂高岳方面へも数度訪れることになる。
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通い慣れた剱岳は吹く風や空気感で天候予測もしやすいが、久しぶりのエリアはやはり勝手が違うので安全マージンは大きく取りたい。
 
新穂高からの入山は駐車場確保が核心だ。
 
しかし、新穂高からの入山は上高地の喧騒とはかけ離れ静粛だ。
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滝谷出合から眺める風景はとても懐かしい。
様々なルートを登らせてもらったし、ガイドとしても活動した。
岩の墓場と称される滝谷は、チンネの明るさと一ノ倉の陰湿さの両方を兼ね備えている気がする。
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宿泊する槍平小屋は沖田氏がオーナーで今年100周年を迎えた。
 
沖田氏には冬の赤岳鉱泉で、私がアイスクライミング鉱泉道場の講師をやっていた頃に手伝っていただいた。
 
やまきふチームとは偶然同宿となり、賑やかになった。
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カレーを主体にした夕食はとても美味しく、小屋内は清潔に保たれ、沖田氏の人柄を感じさせてくれる。
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翌朝は秋を迎える飛騨沢を涼しいうちに上がり、槍ヶ岳を目指す。
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渋滞を心配していたが、登山者は後続の一名だけで、気持ち良く登れた。
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無人の山頂へ。
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山頂に着いた瞬間にブロッケン。
 
凄い景色に皆様感動されていた。
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初めての槍ヶ岳。
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何度も槍ヶ岳に登っている人。
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槍ヶ岳に別れを告げて、南岳小屋を目指す。
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大喰岳でやまきふチームとすれ違ったので、ブドウをあげる。

お客様が持ってきてくれたブドウでナガノパープルというらしい。
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南岳の手前からパラパラと雨が降り出し、先を急ぐ。
雨具を使用する前に小屋に入れた。
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南岳小屋へ午前中に到着し、ランチにちゃんぽんを食べていたら、本降りの雨に変わった。
 
後から到着した登山者はずぶ濡れで、我々は幸運だった。
雨は強弱を繰り返しながら夜まで降り続く。
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稜線にある山小屋なのに、夕食も豪華で美味しかった。
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翌日は大キレットから穂高を縦走し、白出沢を降りる予定だったが、濡れた岩のリスクと穂高稜線の悪天候予想を考慮して、南岳新道を降りることにした。
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濡れた南岳新道はエスケープとしては適さず厳しい。
昨日のような突発的な雨が降れば、滝谷出合の渡渉も厳しくなるので、時間も気にしなくてはならない。
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進む予定だった穂高稜線は雲の中。
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槍平に降りたら滝谷は見えなくなった。
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滝谷出合の監視カメラを過ぎれば安心だ。
 
今回は予定の行動とはならなかったし、結果は雨具を着ることなく終わった。
判断が難しいガイドだったが、我々には濡れた岩に対応することが困難だと感じルートを変更することに決めた。

昨今、スマホを見ればあらゆる情報が入ってきて、わかったような気になり、自分にもできるような気になり、適切な判断ができない人が増えているように思う。
 
天気アプリで、15時に雨マークが付いたら、それを信じて疑わない行動を取ろうとする。
地図アプリで他登山者の足跡を鵜呑みにして、自分も同じように行けるような気になる。
 
その日の現場で自力判断して行動する経験を積み重ねることが大切だと思う。
晴れた時、雨で濡れた時、雪が付着した時、凍った時、あらゆる状況を経験して、今の自分に登れるルートかどうかを判断したい。

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