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剱岳北方稜線 [剱立山]

剱岳北方稜線は、数々の針峰を眺めながら、穏やかな裏剱へ向かう長大なルートだ。
 
体力はもちろん、登山総合力を問われる「雪と岩の殿堂」の意味を知るロングルート。
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このルートの経験者同行が必須で、視界が悪い日は入山を避けたい。(これは晴れた日の山頂からの北方稜線と後立山)

今回は、敢えて馬場島からの入山。
標高差2240mの早月尾根からのアプローチで剱岳のデカさを感じて欲しかった。
残念ながら、台風一過とはならずまたも雨具を着て入山。
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サウナ状態で、下着まで全身ずぶ濡れになって早月小屋へ。
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このような状況では、まさに山小屋はオアシスそのもの。
 
濡れたウェアを全て乾かし、夕食までビール飲みながら団欒を楽しむ。
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富山で有名な山大好きドクターも同宿。
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美味しい夕食をいただいて、スタッフの皆様と楽しい一夜を過ごさせていただいた。
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夕刻には少し焼けたが、雨は断続的に続いた。
天気予報は快晴のようだが、そうはならないかもしれない。
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翌朝は月明かりの中、出発。
富山の灯りをバックにひたすら登る。
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周りが明るくなっても、剱岳山頂には笠が掛かったまま。
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山頂には物凄く多くの登山者がいて驚いた。
看板を掲げて記念撮影する列が並んでいたので、入れ替わりのタイミングで、祠を素早く撮影したら、「この後に並んでから撮影してください」と怒られた(笑)
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早くこの喧騒から離れたくて四等三角点で記念撮影してから、早々に山頂を後にした。
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北方稜線を進んだら、静けさは戻って山に集中できると思ったら、後ろからゲラゲラ笑いながら、ワーワーキャーキャーとグループが追って来た。
北方稜線を見学に来たんだろうと思ったら、来るらしい。
 
視界悪いので、すぐに諦めて戻るだろうと考えてたら、山頂にいたクライアント四人を連れたガイドらしきパーティだった。
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長次郎ノ頭で一気に引き離したが、遠くからワーワーキャーキャーは続いた。
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北方稜線を楽しみにして来られたお客様にも申し訳なく、集中力を切らさぬよう注意した。
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池ノ谷乗越へ下降する頃には声も遥か遠くなり周囲は落ち着きを取り戻した。
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池ノ谷ガリーの下降は、長雨の影響か、いつも以上に悪かった。
視界悪い中、間隔を空けて慎重に降りた。(実際は写真以上に視界は悪かった)
幸い騒いでいるパーティはかなり引き離すことができた。
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一瞬、小窓王と発射台を確認。
ジャンダルムからは、道も安定した。
何も見えない三ノ窓で、再びロープを結び、発射台を登った。
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小窓王基部から振り返ったら、後続パーティが別な騒ぎ方をして五人固まっている様子がガスの隙間から見えた。
事故を起こしただろうことは容易に想像できた。
一応、ガイドが付いているので、我々は先へ向かう。
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いつも最後まで残る雪渓箇所は、切れたばかりのようで、容易に通過できた。
あとはのどかな牧歌的な道を辿り、小窓ノコルへ。
 
富山県警ヘリ「つるぎ」が先程の事故者をピックアップしているようだ。
詳細は後で聞いたが…。
別山尾根でバカ騒ぎしている登山者は良く見るが、この北方稜線では初めて見た。
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小窓雪渓は氷河だ。大正から昭和初期に採掘されたモリブデン鉱山跡も存在する。
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ピッケル、アイゼンを使って、踏み抜きに注意しながら氷河を降りて、鉱山道へ上がる。
 
幾多の死亡事故が発生したポイントをロープを付けて慎重に登る。
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昼過ぎに池ノ平小屋に着いたら、スタッフの皆様が外で楽しそうにランチを食べていた。
新しい小屋番さんは、初めて会話したが良い人そうだった。
今度、泊まってみよう。
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仙人池ヒュッテに到着。
ビール片手に裏剱を楽しむ。
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そして、桧風呂に入って疲れを癒す。
この夜は中秋の名月。
八ツ峰に浮かぶ月明かりを部屋から楽しむことができた。
 
いつもは、阿曽原温泉を経て欅平へ降りるのだが、諸事情により翌日は室堂へ登り返す。
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黒部ダム下山も考えていたが、橋が土台から流され、この雪渓も渡れない。
 
真砂沢ロッジで坂本心平さんから、温かいお茶をいただいた。
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剱沢雪渓はそろそろ注意が必要だ。
長い登り返しを経て、ようやく都会へ帰って来た。

正午に室堂へ到着して、馬場島荘へクルマを回収に向かう。
営業時間はとっくに過ぎているのに、池田さんが蕎麦を食べさせてくれた。
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馬場島荘はまさに「剱岳の登山基地」
 
あっと言う間の三日間。
ご一緒させていただいたお客様二人に感謝。
 
北方稜線のガイドは何回経験しても、お客様にとっても、私にとっても大切な人生の宝物として想い出が強く残る。
登山総合力を鍛えてチャレンジすべきこのルート、剱岳の奥深さを多くの登山者に感じて欲しい。

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