槍穂の秘境「黄金平」へ

槍と穂高の東面に位置する横尾本谷から右俣。通称「黄金平」から氷河公園への静粛な山旅。

沢を渡渉、高巻き、ヘツリ、など自分でルートを選びながらの登山ほど楽しいものはない。

他人の足跡を単に追いかける登山、スマホを手にアプリの軌跡を追いかける登山とは一線を画し、現場で判断を積み重ねながら登るバリエーションルートは登山本来の楽しみが味わえ、登山力を鍛えてくれる。

初日に上高地で集合。

観光客が多いが、登山者は少ない。

外国人比率はかなり高めに感じた。

少しずつ、コロナ禍以前に戻って来ているのだろうか。

イロハモミジでしょうか…。

綺麗だった。

横尾山荘泊はかなり久しぶり。

山田社長とは同世代。

晩秋でもあり、山荘は空いていて、ゆっくりお風呂に入って寛がせていただいた。

翌朝は屏風岩を眺めながら、横尾本谷を進む。

中央壁から右岩壁を過ぎた頃に明るくなってきた。

屏風岩を登る人から眺める人に変わったが、時の流れには従うのみ。

本谷橋を過ぎた頃には、雨が降り出し、標高の高い場所は雪がチラついている模様。

しかし、すぐに雨は止んでくれるだろう。

本谷は涸沢と分かれ、更に右俣へ。

岩を登ったり、渡渉したり、踏み跡を辿ったり、高巻いたり、ヘツったり、ロープを出したり、選択肢は豊富だ。

時々映える赤に癒される。

そして、屏風最低コルと同じ高さまで来ると黄金平はいきなり現れる。

曇天のおかげで光に乏しく、輝く黄金ではないが、これはこれで美しい。

横尾尾根の終了点が見えて来た。

さて、どこから上がろうか。

今回のメンバーの力量、天候、風、時間、草の濡れ具合、ガレの様子、落石のリスク…様々な視点から判断することがバリエーションでは必要。

人の足跡を単に追いかけてはならない。

背景は前穂北尾根と北穂高岳。

　

雨で草がかなり濡れていたので、コルに近いトラバースラインは取らずに、岩場の凹角ラインを登り、稜線に抜けた。

抜けた瞬間に、雲間から槍が顔を出してくれた。

時間が早いので南岳へとも考えたが、風が冷たいので、氷河公園へ。

天狗池は風もあり、槍も雲に隠れがちで逆さ槍は判然とせず。

　

槍沢を降りだしたら、ようやく単独登山者とすれ違う。

日曜なのに、10月下旬ともなると大人気エリアも静粛で贅沢だ。

昼過ぎに槍沢ロッジに着いたので、ラーメンを頼んだ。

熱々の和風醤油ラーメンは、冷えた身体を温めるには充分過ぎる。

　

槍沢ロッジも空いていて、昼寝して、お風呂に入って、夕食後には。

　

美味しいワインで乾杯。

ゆっくり爆睡。

　

山小屋でゆっくり朝食をいただくのは、今シーズン初めてかも。

　

明るくなってから見た、上部の山々は真っ白。

随分と雪が積もったようだ。

昨日、真っ黒だった屏風岩東壁も白く化粧をしていた。

青白ハング帯には全く雪は付着しておらず、その傾斜の強さを物語っている。

横尾から上高地への退屈な道も雪の匂いがすると楽しい。

　

しかし、寒い。

こんなに寒いのに、お客様が徳澤園で

名物コーヒーソフトを買ってくれた（笑）

上高地へ戻り、楽しかった三日間は無事終了。

　

静粛な穂高をたっぷりと楽しむことができた。

晩秋には、敢えて山頂を踏まない山行も良いものだ。

　

今日は剱立山も雪がたっぷり降ったようだ。

天狗様から送られてきたLINEには驚いた！

一気に冬バージョンのスイッチが入った。