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黒部川下ノ廊下 [剱立山]

黒部川下ノ廊下へ。

10月三連休最終日早朝、雨が降り続く信濃大町駅に集合。
 
タクシーで扇沢へ向かうが、お客様方は皆口数少なく俯き加減で、これからどのような状況になるか不安でいっぱいという雰囲気。
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黒部川の中流域に位置する下ノ廊下は降雨時には、難易度が格段に上がるのは言うまでもない。
 
でも、しかし…下ノ廊下ほど雨が似合う景色はないと思う。
 
ここをガイドすることは剱岳北方稜線や源次郎尾根などより、遥かに難しいと思っている。
ショートロープが使える場所がほぼなく、お客様との信頼関係がとても大切。
 
危険箇所では緊張感を持って確実に行動する、休憩できるポイントでは緊張を解して笑い楽しむ。
緊張のオン、オフを丁寧にコントロールしてあげるガイディングがマストだ。
 
であるから、ガイドはこのルートの隠された危険箇所とレストポイントを全て頭に叩き込み、喉が枯れるほど常にお客様へアテンションを継続しなければならない。
 
気を抜いてガイドしていたら、お客様はあまりの風景の美しさに夢心地になってしまい、自分の置かれた状況を忘れてしまうのだ。
それが下ノ廊下の恐ろさだ。
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土曜は登山者でごった返していた扇沢も、この日は登山者数名でガラガラ。
 
雪と雨の予報で、中止した登山者がほとんどだろう。
 
予想できるリスクと参加されたお客様を考えて、下ノ廊下をガイドできると判断した。
一名でも不安を感じるお客様がいたら、当然中止していただろうし、黒部川へ降りてみて、その場で行くべきではないと感じたら迷わず帰って来るつもりだった。
 
黒部ダムを出発しても、雨は降り続く。
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黒部の巨人「丸山東壁」
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黒部の魔神「オオタテガビン南東壁」
自分には登る実力がなくて、結局登れなかった悔しい壁。
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新越ノ滝を過ぎたら、ようやく雨が上がった。

阿曽原温泉から黒部ダムへ向かう登山者とのすれ違いが始まった。

そのうちの単独者が、別山谷出合で太腿までの渡渉だったと言う。
この程度の雨で、そんなことはあり得ないだろうと思ったが、その覚悟は持って向かった。
 
渡渉が危険だったら、黒部ダムへ帰ることになるだろう。
 
丸太橋はロープを使ってビレイしながら進み、時間は掛かっても仕方ないと慎重に行動した。
 
そして、別山谷出合へ着いたら、なるほど水量は予想以上に多かった。
 
赤布とフィックスが張ってあるルート部分は、深過ぎて軽い女性には危険なので、別な渡渉ポイントを落ち着いて探した。
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そして、ここしかないという絶好のポイントを見つけたので、側壁をクライムダウン、一名づつ岩をジャンプして足を濡らさず越えることができた。
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あとは、水に触れることなく、十字峡を目指すことができる。
  
白竜峡は水量が多過ぎて、判然としない。
  
十字峡広場でマッタリ休憩してから、本日のメインへ。
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十字峡はいつも通り、感動の美しさ。
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吊橋は高度感あって、剱沢の水量が大迫力。
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半月峡を過ぎたら、先は見えて来る。
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S字峡を過ぎたら、標高を下げて黒部川を渡る。
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東谷吊橋も高所恐怖症にはキツイ。
 
関電施設内、人見寮を通過して、権現峠への急登を終えると今宵の宿は近い。
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阿曽原温泉小屋はキャンセルが多かったようで、空いていてゆったりできた。
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夕食はカレーライスではないが、天ぷらがとても美味しい。
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そして、豚汁食べ放題が嬉しい。
 
翌朝はヘッドライトを付けて、雨の中を出発。
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折尾大滝で定番記念写真。
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阿曽原温泉小屋のお弁当は新米が美味しい。
 
雨が上がり、青空も覗きだした。
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黒部の怪人「奥鐘山西壁」が近くなってきた。
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大太鼓は高度感満点。
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志合谷トンネル内はびしょ濡れ。
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少し紅葉もあった。
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30kmの山旅は無事に終了した。
  
皆様、達成感満点だったことと思う。
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トロッコのお姉様はハロウィン仕様。
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これに乗って下界へ帰る。
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宇奈月温泉へ。
 
楽しいメンバーで忘れられない下ノ廊下が終わった。
たった二日間とは思えないほど、いろんなことがあった素晴らしい旅だった。
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地鉄に乗って、それぞれの家に帰宅する。
皆様、ご一緒していただき感謝します!

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