GWメモリアル剱岳 [剱立山]
4月後半は気管支炎が悪化して肺疾患に。
病院で検査して、コロナでもインフルでもなかったが…。
食事も座ってできず、寝たきりになってしまい、息は切れ身体に力が入らず、自分の身体じゃないみたい。
仕事は全てキャンセル。
関係各所にご迷惑をお掛けし申し訳なかった。
酒も飲めず、ラーメンも食べれず、お陰様ですっかり健康体に戻った。
しかし…。
4/29-5/1は待望の剱岳ガイドだったが、4/30だけが暴風雨予報で中止。
相談の結果、馬場島荘で2泊して、いろいろ楽しむことにした。
まずは剱を眺めながら、城ヶ平へ。
ぐるっと一周して。
名物の素麺を食べてから馬場島荘へ。
池田さん特製のTシャツが新発売となり、PR活動開始。
そして、4/30は予定通りの大雨で、馬場島荘停滞。
池田道場の蕎麦打ち教室開始。
池田さんはガイド時代から、悪天候の剱澤小屋停滞時も何かしらお客様を楽しませる努力を惜しまない人だったなぁと思い出した。
蕎麦打ち名人からいろいろ教わり、我々はなかなかできない貴重な体験をしたと思う。
なかなかハードな作業で、それなりの体力も必要だとわかった。
自分達で打った蕎麦も美味い。
夕方には雨も上がり、ブナクラ谷や立山川の増水具合を見に行くが、翌朝も渡渉は厳しそう。
翌日は昼から再び雷雨の可能性が高く、登れる山は限られた。
5/1は大熊山へ。
馬場島から少し離れた孤高の展望台からは、360度の眺望が素晴らしい。
我ながら素晴らしい選択だった。
増水リスクもなく、雪も繋がっていて楽しい雪上ハイク。
山頂からは剱立山、大日連峰、毛勝三山の眺めが凄い。
今まで登った山、登れなかった山、これから登る山を話しながら楽しい時は流れて行く。
下山して、クルマに乗ったら雨がパラパラ降り出した。
高い山では激しい雷雨となったそうな。
「こんにちワンワン」で三日間お世話になった馬場島荘を後にする。
夜は韓国からの友人が富山に来てくれたので、えび寿司へ。
私がまだクライマーだった頃、韓国へアイスクライミングやインスポンに通う度、自宅に泊まらせてもらい、多々一緒に登った仲。
もう、20数年来の付き合いになる。
そして、5/2は信濃大町へ移動。
針ノ木岳へ登りに来たが、この日に滑落死亡事故があり、いろいろ感じるものがあった。
このGWは滑落事故が多い。
春は雪面変化が激しく、自分の持つスキルで対応できるのか、経験が少ない登山者には判断が難しい。
暖かな無風快晴時には、判断も甘くなりがちだし、装備の選択ミスも目立つ。
登る時間帯の選択も重要要素だ。
得られる情報が多すぎて、自分の頭で整理できていない人も多いように思う。
5/3は、快晴の下、針ノ木雪渓からマヤクボ沢へ。
日陰狙いで、雪の状態が良く、順調にマヤクボノコルへ。
昨日、事故があったのはスバリ岳との間と聞いている。
確かに稜線は氷化した部分もあり、滑ったらアウトだ。
ロープを繋いで慎重に登った。
剱立山から眺める針ノ木岳はいつも目立っている。
そして、そこから眺める剱立山も素晴らしい眺めだ。
GWの喧騒もほど遠い、静かな北アルプスを楽しむことができた。
5/4は、いよいよ満を持して剱岳へ。
剱御前小舎へ午前中に上がり、剱岳と再会。
今シーズンはどうなるやら。
ご機嫌を伺いながら、慎重に登りたいと思う。
富山平野に光る田圃。
水を張った田圃に日本海へ沈む夕陽が当たる春の風物詩。
剱御前小舎に泊まる価値はそれだけでも充分だ。
同宿は旧知の国際ガイドと山岳Ⅱガイドばかりで、翌日同じく剱岳をガイドする良き仲間達だ。
5/5は朝4時に出発。
月夜に浮かぶ剱岳を見るたび、緊張感は増す。
何百回登っても、剱岳は緊張と期待を与えてくれる。
いつも試されているように感じる特別な岳だ。
平蔵谷は雪量充分で、安定している。
デブリと堕ちそうなブロックも例年通りだ。
平蔵ノコルからはヨコバイを上がり、山頂へ。
早月分岐から祠が見えた。
昨年春よりは雪は少ないが、例年通りだ。
緊張感から解き放たれたような涙の登頂。
おめでとう!
石坂ガイドから撮ってもらった。
剱岳は登ってからの帰路が核心。
緊張感を切らさぬよう、長いアップダウンを繰り返す。
平蔵谷を降り、剱御前小舎を目指す。
平蔵谷出合から剱沢の登り返しで、後から轟音が聞こえた。
源次郎尾根ルンゼルートからのブロック崩壊でかなり大きな規模だった。
出合付近に誰もいなかったのが、幸運だった。
春の深い谷は恐ろしい。
決して気を抜ける場所ではない。
そして、この日午後は能登半島地震があった。
雷鳥荘で温泉に入っている時、地震が起きたらしい。
私はシャンプー中で全く気づかなかった(笑)
5/6 朝、室堂から富山へ下山。
能登半島が良く見えた。
地震がこのまま治りますように!
5/6-7と悪天候になりそうで、私のGWガイドはこれで終わりだ。
ご参加いただいた皆様と素晴らしい時間を過ごすことができて感謝!
ちょっと休んだら、再び春スキーガイドが始まる。
黒部の奥底と東北のジャイアンツが待っている。
2023-05-06 04:37