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穂高 冬の洗礼 [北アルプス]

10月18日に還暦+1歳となり心機一転、初めての週末山行を迎える。
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ガイド予定は横尾本谷左俣〜北穂池〜北穂東稜。
昨年は同時期に横尾本谷右俣〜黄金平〜天狗池で穂高の晩秋を満喫できた。

今秋も、紅葉のトンネルを歩いて、標高上げたら新雪を纏った槍穂高稜線を満喫するという予定を組んで、参加者の皆様と楽しみにしていた。

寒冷前線の東進に影響されて、山行前日から穂高稜線は積雪量が増し、プラン催行は現地判断ということになる。
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10月に雪が降る事は、普通の事だが今秋は降り方が激しくないか。
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冷たい雨が降る上高地を出発。
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寒いけど紅葉は綺麗だ。
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横尾山荘で一番風呂に入ってから楽しいお誕生日会。
 
立山ではもう滑っている人がいるとか、槍ヶ岳山荘下の吹き溜まりでは積雪深50〜100cmとか情報が入る。
 
しかし、こんな情報はなくても、上高地から横尾を歩く中で、山が発してくれる空気感でこの時期としては尋常じゃない雪の匂いは感じている。

我々が進むべき谷筋ルートはリスクが高まり北穂東稜に上がる部分で泳ぐようなラッセルになるだろう。
お客様を説得して、北穂高岳へ上がる事を第一とするプランに変えていただく。
 
冬になりきっていない時期の降雪が如何に危険か、過去事故例から学んできたし、自分自身も何度も痛い目に遭って来た。
 
雪から数ヶ月離れていると、頭も身体も冬に対応できていないので、取るべき行動は慎重であるべきだ。
それを理解できていないが故に起こる事故が減ることを望む。
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翌朝、横尾山荘から見た前穂北尾根方面は美し過ぎた。
ネパール、中米、南米で良く見た景色にも重なる。
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屏風岩右岩壁の向こうから黄金色に輝く北穂高岳が見えて来た。
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東面は雪と岩のミックスが美しい。
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涸沢小屋からの前穂高北尾根は穂高を代表する画のひとつ。
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馴染みの小屋番から「北穂高小屋からの連絡で、南稜は使わず、北穂沢を上がってくれとの事ですが、判断は本郷さんにお任せします」と。
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分岐で南稜にトレースを確認したが、迷わず北穂沢を直登する。
 
陽があたり、雪は重くて深い。
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北穂高岳山頂からの風景は3000mオーバーの凄味を感じる。
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眼下に前穂高北尾根。
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大迫力の滝谷。
 
ドーム中央稜は数度ガイドしたが、やはり滝谷は下からメインの岩稜をガイドしたいものだと思いつつ、時を逃してしまった。
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ここ、北穂高小屋でもお誕生日をお祝いしてもらった。
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3100mオーバーにあるこの小屋は食事、ホスピタリティが抜群で運営努力を地道に継続している事を強く感じる。
 
槍穂高稜線にはこのような小屋が点在し、心強さを感じると共に甘えてはいけないとも思う。
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下山の朝を迎える。
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奥穂高岳からジャンダルムは雪が付くと迫力が違う。
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槍ヶ岳方面も10月とは思えない厳冬期仕様。
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ウインドパックされた北穂沢をロープを繋いで慎重に下降。
 
特に最上部はミスを許さない急傾斜だ。
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雪が緩み安定してくると、素晴らしい景色の涸沢カールへの下降に笑顔も戻る。
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涸沢小屋で究極のコーヒーをいただく。
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ここ十数年は剱岳ガイドに比重を置いて活動し、長く御暇したにも関わらず、昔と変わらずもてなしてくれる涸沢小屋に感謝。
 
もともと、槍穂高の北尾根や周辺岩壁、滝谷、屏風岩、北鎌尾根をガイドする機会が多かったので、ここはかつてのホームだ。
 
来年夏、槍穂高のガイドへたくさん予約をいただき再訪を楽しみにしている。
 
やはり、岩があり、雪がある風景が大好きだ。
またひとつ歳は重ねたが、まだまだその場に身を置きたいと思う。
 
記憶力や分析能力を刺激して脳の血流を活性化し、有酸素運動で老化を防ぐ作戦だが、いろんな場所を訪れることは更に良い効果なのだろうなと感じる。