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支度 [Guide]

真夏日の岐阜へ行って来た。
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芥見権現山

剱岳を目指す東海地区の方々への事前講習。
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アプローチシューズで登れる範囲のグレードを拾いながら、山頂まで繋ぐ。
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なにしろ、岐阜は暑いので、水分補給と休憩を取りながら。
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この標高なので、雪山に慣れた身にはシンドイ。
 
剱岳をガイドするに当たり、室堂で「はじめまして」は避けたいところ。
予め剱岳の事を知り、必要な備えを整えて登って欲しい山だと私は思っている。
 
昨年だけでも、剱岳ガイド中にお客様のシューズ崩壊が3件あった。
応急処置できないレベルだと帰るしかない。
場所によっては、レスキュー案件でもある。
なぜ、剱岳でシューズが壊れるのかも説明しておきたい。
  
初めてお会いする方から剱岳のガイドを予約された際には、事前講習の受講を勧めるようにしている。
 
◯◯社の鎖場講習を受けました
◯◯ガイドの講習を受けました

等、言われることが多いが、鎖場でカラビナの掛け替えなど必要としない。
もっと大切な備えを目の前で説明したいのだ。
 
このような事前講習を受けなくても、剱岳の一般登山道は、それなりの経験と体力があれば登れるのかもしれない。
 
YouTubeを見て、それを準備として満足する方々もいる。

それはそれで個人の考えは否定するつもりもないし、ほとんどの登山者はそうしているのだろう。
旅行社の団体ツアーに参加するのも良いだろう。
来る者拒まず的なガイドに依頼するのも一つ。
選択肢は多種多様だ。

しかし、私は事前に必要装備、岩場での行動、岩場での歩き方、基本的なクライミング技術、鎖の使い方などは説明しておきたいと思う。
岩場に慣れていない方は、岩場にいるだけで緊張とストレスで疲れてしまうのだ。

昔、とある登山ガイドさんからの紹介で、百名山最後が剱岳という方をガイドしたことがある。
体力、技術、経験、文句なしと聞いていたが、実際には岩場での基本が未熟で、疲れ果てバテてしまった。
どうしても百名山を達成したいとの想いは聞いていたので、ザックを2個背負って、ロープで引っ張って、なんとか山頂に着いた。
「百名山達成」の横断幕を持っていたので写真を撮って「おめでとうございます」と声を掛けた。
下山は更に大変で、膝に力が入らず、ロープにぶら下がって降り、肩を抱えて歩いた。
山小屋に戻り落ち着いてから、「百名山は達成したかもしれないけど、私は貴方が剱岳を登ったとは認めたくありません。必ず、もう一度自分の足で剱岳を登り直してください」と伝えた。
 
予め、剱岳を登るにあたっての必要な準備を伝えておけば、彼女に辛い思いをさせずに済んだし、笑顔で余裕持って剱岳を登り、百名山を達成できたのに!
百名山達成を辛い想い出になってしまったことが残念だった。
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今シーズンも剱岳に登って良い想い出を持って帰れるよう、最大限のお手伝いをしたいと思う。

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