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上高地の裏山へ [ハイグレードハイキング]

この日はとても寒い朝だった。
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上高地の河童橋からは穂高連峰が目に付くのだが…。
誰も注目しない、右後にはひっそりと目立つ岩山が存在する。
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この六百山は登山道がない岩と薮のバリエーションで、以前は何度もガイドで残雪期に登っていた。
 
自分の中ではこの山の存在はすっかり忘れていたのだが、この山に登ってみたいというお客様のリクエストで、おそらく15年ぶりに登ることになった。
入山口も変わっていて、ルートも随分変わった印象を受けた。 
 
入山者が増えたのだろうか。
 
ピンクテープもあり、踏み跡もあるが、それなりに残雪と薮と脆い岩に慣れた登山者が対象とする山だろう。
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薮を掻き分けて、ガレ場を登ると背中には岳沢から広がる穂高連峰を望むことができる。
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急峻な雪渓を処理して、ガレ場や草付きを登る。
頂稜に取り付くと傾斜は一気に増して、転滑落は許されない。
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脆い岩場は緊張感を持って登りたい。写真はダメな例(笑)
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朝は寒かったので、岩からはツララ。
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ホールドにしたい岩は氷が張り付いて、難度は上がる。
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この辺りの岩が凍っていて、核心だった。
立木でビレイして引き上げる。
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山頂まで指呼の距離。
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霞沢岳が同程度に並ぶと。
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360度の展望が見渡せる六百山ピーク。
 
お客様はいつもと違う角度から見る穂高連峰、笠ヶ岳、焼岳、乗鞍岳…に大喜び!
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岳沢小屋が下に見えている。
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そして、こういう山は下降が危険であることは常なので慎重に事を進める。
 
沢に降りても、不安定な足場は続き、疲労は蓄積する。

ようやく、河童橋に降りたら、一気に別世界へ戻る。

「楽しかった」「また、登ってみたい」という声に、この山を春の定番メニューに再び加えるのも悪くないと思った。

久しぶりの六百山。

40歳代の体力、気力、技術が充実していた時には解らなかったこの山の魅力が、今の自分にはとても刺激になったガイド山行だった。

脆い岩、変化が激しい雪渓、びしょ濡れの草付き、凍り付いた岩…この先に何が待っているのだろう。
次々に現れる困難が楽しみで、クリアするたびに今日の山行が益々充実するのだ。 

晴れて暖かくコンディションが良い日ならば、また違う印象を持つのだろうが、山は登ってはならない日もあり、日々状況変化があるから、そこが魅力なのだろう。

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