上高地の裏山へ [ハイグレードハイキング]
この日はとても寒い朝だった。
上高地の河童橋からは穂高連峰が目に付くのだが…。
誰も注目しない、右後にはひっそりと目立つ岩山が存在する。
脆い岩場は緊張感を持って登りたい。写真はダメな例(笑)
朝は寒かったので、岩からはツララ。
ホールドにしたい岩は氷が張り付いて、難度は上がる。
この辺りの岩が凍っていて、核心だった。
立木でビレイして引き上げる。
山頂まで指呼の距離。
霞沢岳が同程度に並ぶと。
360度の展望が見渡せる六百山ピーク。
お客様はいつもと違う角度から見る穂高連峰、笠ヶ岳、焼岳、乗鞍岳…に大喜び!
岳沢小屋が下に見えている。
そして、こういう山は下降が危険であることは常なので慎重に事を進める。
沢に降りても、不安定な足場は続き、疲労は蓄積する。
ようやく、河童橋に降りたら、一気に別世界へ戻る。
「楽しかった」「また、登ってみたい」という声に、この山を春の定番メニューに再び加えるのも悪くないと思った。
久しぶりの六百山。
40歳代の体力、気力、技術が充実していた時には解らなかったこの山の魅力が、今の自分にはとても刺激になったガイド山行だった。
脆い岩、変化が激しい雪渓、びしょ濡れの草付き、凍り付いた岩…この先に何が待っているのだろう。
次々に現れる困難が楽しみで、クリアするたびに今日の山行が益々充実するのだ。
晴れて暖かくコンディションが良い日ならば、また違う印象を持つのだろうが、山は登ってはならない日もあり、日々状況変化があるから、そこが魅力なのだろう。
2023-05-25 07:41
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