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剱岳北方稜線 [剱立山]

「剱岳北方稜線」なんとカッコいい響きだろうか。
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今回は剣山荘から剱岳本峰を経て北方稜線へ向かう。
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初日の入山は雨具を使用。
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剣山荘でリラックスタイム。
針山地獄Tシャツは売り切れです。
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翌朝、出発しようとしたら雨が降り出し、一度部屋で待機後に再出発。
時々パラパラと降る雨で岩場と鎖は滑る。
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剱岳でお参りしてから北方稜線へ。
 
長い付き合いのお客様2名様で、体力、技術、メンタル申し分ない。
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この2人なら濡れた北方稜線でも安心して歩くことができる。
雨が降る北方稜線は誰もいない。
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時々雨が止むと景色は素晴らしい。
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しかし、池ノ谷ガリーを降りる頃にはまた霧雨で視界は悪い。
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三ノ窓もチンネ、ジャンダルムがガスの中。
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発射台を登る。
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ようやく雨が止んだ。
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小窓ノコルには10時到着。
午前中には小屋に着くなと思ったら、小窓雪渓はとてもじゃないが通過できる状態ではない。
 
小窓から池ノ平山は10数年前に2回登り降りしたことがあるが、難易度が高いことは解っていた。
しかし、今回の2人なら大丈夫だろうと、池ノ平山を登ることにした。
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再び霧雨が降る中、悪い登攀と藪漕ぎの繰り返し。
時々現れる残置ロープは落ち果てて使えない。
浮石多数、部分的に逆層、脆い山肌、急傾斜…。
久しぶりの池ノ平山はかなり道が悪くなっていて、道とは言えない状態だ。
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今まで歩いて来た北方稜線のルートがハイウェイに思えるくらい厳しい。
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小窓から池ノ平山に登るだけで3時間掛かった。
 
某地図にこのルートが破線で載っているが、CTを信じたら遭難に繋がる。
池ノ平山を回ってもプラス1時間なんて単純に考えてはいけない。
相当悪場に慣れている人でなければ安全に通過すること自体が難しいだろう。
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仙人池ヒュッテまで頑張っての檜風呂は最高だ。
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この景色を観ることなく、シーズンは終われない。
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最終日、お見送りしていただいた。
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南仙人山に朝日が登る。
 
仙人新道を降りながら、昨日歩いた行程を振り返る。
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氷河剥き出しの小窓雪渓は通行不能と考えるべきだろう。
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三ノ窓。
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そして池ノ平山。
 
見た目だけは穏やかだ。
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真砂沢ロッジで美味しいコーヒーをいただき、ゆっくり寛がせていただいた。
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剱沢は長次郎谷出合と平蔵谷出合は雪渓に乗れるが、夏道を使用する。
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足場も作ってあり、感謝!
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平蔵谷出合も亀裂が多く、源次郎尾根取付きまでも距離ができていて、暗いうちは慣れた人でないとわからないだろう。
  
すっかり、剱岳周辺の秋は進んでしまった。
水量も以前の10月の様子だ。
 
翌日から剱岳北方稜線をもう一回転ガイドする予定だったが、中止した。
池ノ平山をアプローチとする北方稜線ガイドは現状あり得ないと考えた。
 
本来の北方稜線は剱岳から烏帽子、鋲ヶ岳までの長大な距離なのだが、ガイドルートとしては小窓雪渓を通過する短縮ルートが慣例となっている。
 
今回、久しぶりに小窓から池ノ平山へ登ってみて、現状では安全なルートではなく危険性が高いルートであると感じた。(今後通過する登山者が増えたり、整備が入って、ルートが安定する可能性はあるが)お客様に傷を付けるようなルートはプロの山岳ガイドとして取るべきではないというのが自分の考え方だ。
 
ガイドさん、それぞれの考え方があるので、どの考え方が正解かはわからないが、私のお客様には多少の傷やケガは承知の上で…なんて方はいないし、現状ではリスクが高すぎるルート選択だと思えるので、今シーズンの剱岳北方稜線ガイドは終了とする。

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