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試練と憧れ [剱立山]

「試練と憧れ」

憧れる心に試練があり、試練を超えて其の道を歩き続けん
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この岳で命を失った岳人を偲び、これから登る人々の安全を祈願したこの碑を通る度、気が引き締まる思いだ。
 
初日は早月小屋までずっと雨。
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びしょ濡れになった身体を乾かせる山小屋の存在は大きい。
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冷えた身体に、豚汁が美味い。
 
早月小屋の豚汁は大好きだ。
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翌朝は快晴で、暗いうちに出発。
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2800m上にある崩壊地、来シーズンは違うルートを通ることになるだろう。
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山頂が近くなると風が冷たく、グリーンシーズンの終わりを感じる。
 
下界はいつまでも暑いが、山の夏は短い。
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山頂はカオス。
 
我々が着いた時はまだ落ち着いたタイミングらしく、少し前は20分待ちの行列ができていたらしい。
 
一生に一度の想い出作りなので、わからないでもないが、1人づつポーズを変えての撮影は時と場を考えたいものだ。
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もう一つの撮影ポイントも同じように混んでいる。
誰も堕ちないと良いのだがと、いつも心配になる。
このポイントの写真は、私もSNSで良く使っていたので、自責の念に駆られる。
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今回も親子の夢を叶えるお手伝いが出来て良かった。
 
剱岳初登頂を早月尾根からは素晴らしいことだ。
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賽銭箱が新しくなった。
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早月小屋に戻り、三代目佐伯堅太郎君とまどかちゃんにシーズン最後の挨拶をして下山。
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早月小屋、今度来る時は雪が被っているだろう。
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高齢のお母様が終始登降に時間が掛かってたのだが、娘さんはとても元気だった。
しかし、1500m地点から急に娘さんの膝が笑い出し、脚に力が入らなくなり、支えなければ、座り込んで立てなくなった。
 
初日に馬場島から松尾平へ向かう途中親子の歩き方を見て、「その歩き方では大腿四頭筋がダメージを受けて、降りる時には歩けなくなるよ」と山での歩き方の基本を説明しながら登ったのだが、長年培った歩き方は一日で治るはずもない。
 
お母様は凄い日数の山行をこなしているが、ベテランほど自己流の歩き方であることが多い。
私のリピーターのお客様でも、どうしても悪き癖を治せない人もいるし、身体に染み付いたものは、なかなか取ることは難しい。
 
早月尾根のような大きな標高差においては、歩き方は最も重要だ。
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ザックと腰をロープで支えなければ、膝カックンで立ち上がれない状態。
 
ザックを持って降りたり、本人を背負って降りた経験は過去にも数度あるが、それをやったら本人は深く傷付き、剱岳に嫌な想い出しか残らなくなるのだ。
 
本人も頑張りたいと言うので、どれだけ時間が掛かっても良いからと持久戦となった。
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ようやく馬場島に到着。
 
12時間30分の長い一日の行動が終わり、涙を流して喜んでいた。
人生最大の試練だったそうだ。
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今回習った歩き方を練習して、身体を鍛えて、今度は違うルートから再び剱岳を登る約束をした。
 
「快晴の中、憧れの剱岳を親子で登ることができたこと、一生の思い出になりました」と聞いて、今回も貴重なガイド経験を積ませていただいたのだと思った。
私の仕事はこの言葉に全てが救われる。
 
同行してくれたMさんも、サポートありがとうございました。

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