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新年度のスタート [Guide]

3月末は年度末。
 
1998年4月に山岳ガイドとしての活動を始めた身としては、年度末はひとつの区切。(その当時は日本山岳ガイド連盟に認定を受けて土日祝日のみの活動からスタートした。専業となるまでには2年掛かったし、それなりに苦労した。)
 
あれから25年経つのか。
 
年度末最終週の平日、ロングトレイルな山が春には適している。
 
まずは笈ヶ岳へ。
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桜とデゴイチがある駅でお客様と集合。
テント泊のため、重荷を背負っての入山。
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すっかり、雪が無くなり薮だらけの堰堤を渡り、崖を登って対岸へ。
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800段あるらしい導水管脇の急登。
暑くて汗ダラダラ。
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薮を更に登り続けると大笠山が見えて来た。
しかし、雪がなく、薮が濃く、荷物も重くて、なかなかスピードが出ない。
 
山毛欅尾山の辺りでテントを張りたい。
 
しかし、あの懐かしい声と空気感が…。
尾根の向こうに熊のアタマが見えた。
 
いつも通り、普通に無視して通り過ぎようと思ったが、お客様方は怖がって逃げようとする。
向こうも動く気配がない。
 
私ひとりで通り過ぎても仕方ないので、逃げ帰ることにした。
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気が動転しているのと、敗退により気分も落ち込み、さらに荷が重いので、帰りの堰堤を渡る場所ではロープを付けて渡った。
ここで落ちたら怪我では済まないので。
気を取り直して、翌日はメジャーな取立山へ。
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白山の大展望が素晴らしい。
来冬に笈ヶ岳へリベンジ!

そして、次のガイドは…。
こちらも遥かに遠い初雪山へ。
これほど3月31日に相応しい山はあろうか。
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遠くに見える初雪山はあまりに遠過ぎて、見ないようにした方がいい。
あそこまで往復して、日帰りするとは俄かには信じられない。
 
鍋倉山あたりから雪はしっかりと出て来た。
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ブナ林が素晴らしいこの山をピストンするだけで充分すぎる雪山登山だ。
 
しかし、この日は通過点でしかない。
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大地から見る初雪山は絶望的な遠さ。
 
いつもは「もう充分!ここまででいいですー」と言うお客様方は何も言わない。
今回は天気も良いし、「ここまででいいですー」と言われても絶対認める気はなかったが。

2人の気が変わる前に、さっさと初雪山へ向かう。

藪漕ぎは2箇所あったが、雪稜は良く繋がっていた。
雪はズブズブで、全てトレースは付け直し。
なるべく、アップダウンがないように絶妙なラインで歩いたつもり。
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目標とする山は近づいたり離れたり。
しかし、着実に近づいてはいるように思う。
 
気温が上がり、さらにズブズブ。
3人とも自分と語り合い、黙々と一歩一歩進む。
長い間、数えきれないほど沢山の山を一緒に登ってきたので、何も言わなくていい。
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そしたら、いつかは必ず着くものだ。
気象観測用ポールが立った初雪山へ。
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昭文社の地図にある初雪山ピークは北方の別な場所にあるので、そこも踏んできた。
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二人とも70歳半ば。
この日だけは誉めてあげた。
「良く頑張った!」
 
登ったら帰らねばならない。
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日本海に沈む夕陽は山を美しく照らす。
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陽が落ち、真っ暗になる直前に下山。
雪のコンディションが悪かったので、12時間を超える行動時間だった。
 
2人は元気に新幹線に乗って東京へ帰って行った。
 
年度変わって、4月1日。
今夏、剱岳を目指すお二人と。
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富山で最もイワウチワが豊富な山へ。
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山頂へ続くナイフ?リッジ。
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負釣山は入善町の最高峰。
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昨日往復した初雪山が良く見える。
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お客様が山頂で作ってくれた苺カクテル。
暑い日には冷たくて美味しい。
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ずっと快晴が続いて融雪も進むが、慌てることはない。
雪はある所には必ずある。
知っている人は知っている。
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新たな年度が始まった。
立山開山まであと2週間だ!