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黄金の廊下 [剱立山]

雪たっぷりの龍王岳から扇沢駅へ降りて、週末からの黒部川下ノ廊下に備える。
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週末の天気予報は両日とも雨だが、前日までのような発雷リスクは感じられない。
 
下ノ廊下ガイドの催行可否は、降雨はあまり大きな問題ではないと私は考えている。
 
もともと黒部川に沿った岩壁を辿るルートである性格上、濡れた岩の上をスムーズに歩けるお客様を参加基準としているので、雨が降って強いストレスを感じる方を対象とはしていない。
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「人間は必ず間違える」このことを繰り返し伝えて、番線へのハンドリング、スリップを防ぐ歩き方、写真撮影への注意点、危険箇所のチェックなど新越ノ滝通過までに全て再確認しながら行動する。
 
ここまで私が不安を感じるお客様が一名でもいたならば、黒部ダムへ躊躇なく帰る。
 
基本、下ノ廊下ガイドはリピーターのお客様を対象とし、ご本人の体力、技術、経験、特性を熟知して計画を立てるので、ガイドとしてやるべき仕事も想定内である。
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今回は紅葉がベストであることがわかっていたので、足元に対する注意が疎かにならないよう更に周知徹底する。
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新越ノ滝を過ぎたら、OFFだった緊張スイッチをONにする。
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別山谷で雨が強くなり、レインウェアを着用して、下ノ廊下の核心部を着実に行動する。
 
危険箇所は早く脱することが基本だが、この辺りはいくら時間が掛かっても良いと伝えている。
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十字峡はルートのハイライトであり、ここにしかない景色でもある。
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一生に一度は見て欲しい。
 
おそらく人生を彩る想い出の一コマとなることでしょう。
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黄金に染まる廊下を延々と歩く。
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仙人谷ダムの上部も綺麗だった。
雨に濡れて更に光る黄金の山々。
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歴史と浪漫が詰まった路。
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阿曽原温泉小屋に到着。
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富山の岳人を代表する御大と共にする温泉は最高だった。
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時間内食べ放題の名物カレーライス。
 
実は私が阿曽原温泉小屋に泊まる時は、空いている日が多く、カレーライスに当たるのはコロナ禍前以来だったので、懐かしい味が大変嬉しかった。
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秋はトロッコ列車が混むので、朝弁当にして、暗いうちに出発する。
 
阿曽原温泉小屋の弁当は派手さはないが、私が最も好きな山小屋弁当だ。
富山の新米と揚げ焼売が絶妙に合うのだ。
 
これを毎回必ず、折尾大滝を眺めながら食べる。
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折尾大滝前で同宿した原ガイドと。
 
彼も同時期に奥鐘山西壁や丸山東壁を登ってきた数少ない山岳ガイドだ。
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高さのある水平歩道を延々と歩く。
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欅平に到達。
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トロッコ列車に乗って、寒いに震えながら下界へ帰る。
 
今回は立山駅に置いてきたクルマを回収するためローカル線の旅は続く。
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乗り継ぎが悪く、宇奈月から立山駅へ3時間近く掛かった。
 
東京へ帰ったお客様がもう到着しても、まだ着かない。 
 
たまにはこういう時間も贅沢と思うことにしよう。
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最後のカボチャ電車で立山駅へ。
 
これも下ノ廊下という山旅の一部なのだ。

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