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夏剱スタート [剱立山]

最悪の天気予報で中止すべきか…ギリギリまで悩んだが充分登れるチャンスありと剱岳へ向かった。
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春には3回登らせてもらったが、今夏は初めて。
いつだって緊張感を与えてくれる岳。
一般ルートだって、山岳ガイドの立場としては一切気は抜けない。
 
姿を見たくても剱岳は恥ずかしがり屋でもあるので、簡単には山頂を見せてくれない。
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コバイケイソウが夏を感じさせてくれる。
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山岳警備隊に挨拶してから剣山荘へ。
この間の雪は驚くほど少なく、ここ数日で無くなるだろう。  
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剣山荘の新しいスタッフは今夏も良い子ばかり。

シャワーを浴びて、生ビール飲んでまったりする。

翌朝は雨が降っていないが、時間勝負。
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10時くらいから天候は悪化するとみて、4時スタート。

南風が強かったが、少しずつ西風に変わって、前剱を越えてからガスは切れてきた。
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岩は乾き快適。
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無人のタテバイを越えると先は見えた。
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待望の剱岳山頂へ。
 
お客様方は某山荘の元山岳ガイドIKDさんから紹介のお客様で、数年前に悪天候で前剱敗退だったそうな。
そして、IKDガイドは山岳ガイドを引退してしまったので、私に「あとは頼む」と引き継がれた。
それからコロナ禍ブランクがあり、昨年ようやくリベンジに来ていただいたが、雨で山小屋敗退。
 
今年は海の日直後の平日で盤石のスケジュールを組んだのだが、天気予報は絶望的。

しかし、見事にひっくり返すことができた。
 
またも、剱岳に守られたと思う登頂だった。
 
皆様、感激で涙ぐんでいた…。
なんか嬉しい!
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下山時も何度も何度も剱岳を振り返る。
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剣山荘に帰ったら、皆様記念Tシャツを買われたので、小さく私のサインを入れてあげた。
 
予定通り、10時過ぎたら雨が降り出し、午後からは猛烈な風雨が始まった。
 
天井が抜けたような凄まじい雨だった。
 
しかし、朝には雨は上がり、快適な下山。
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快適な2泊をお世話になった剣山荘オーナーの友明氏と一緒に。
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帰路は、剱岳が姿を見せてくれて「また来いよ」と言ってくれているようだった。
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何度も振り返る3名様。

「本郷さん、夢を叶えてくれて、ありがとう!」と何回御礼を言われただろうか。

元々、同じ会社の仲間で今はそれぞれの余生を楽しんでいて、なんかいいなぁと思った。
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剱御前小屋へ向かうお花畑へ向かう道は綺麗に整備されていた。
 
剣山荘の私より黒いスタッフの力作である階段は昨日の大雨にも持ち堪えてくれた。
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たくさんの花にも癒されて、楽しい3日間。

結局、一度も雨具を着ることなく室堂へ帰ることができた。
 
来夏は、仙人池へお連れしたいと思う。

夏はまだか [北アルプス]

岳沢小屋からジャンダルム往復一泊二日のガイド。
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昨夏、雨の剱岳をガイドした方々。
今夏は次のステップ、ジャンダルムにチャレンジということで遠方からいらしていただいた。

なかなかスッキリしない感じの天気予報だったが、なんとか登れるだろうと。
 
上高地から岳沢小屋までは快適な道。
よく整備されている。
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知り合い医師とブランコに乗る。
 
翌朝は4時に出発。
コブ沢からの崩壊地点は下の方からバンドを見つけてクリア。
 
深い霧の中、道に迷った先行単独者がいて、「付いて行っていいですか?」というので、どうぞと。

しかし、いつの間にかいなくなってしまった。
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天狗沢は視界悪いと、気味が悪い。
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天狗ノコルに出たら西風が強く、低体温症の危惧。
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岩はびしょ濡れで、とてもじゃないが、引き返すしかない。
 
申し訳ないが、ここで敗退。
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岳沢小屋へ帰る。

皆様は翌日、奥穂へ行くということで私はここでお別れ。
 
また、ジャンダルムは秋にリベンジしましょうということで!
 
敗退はガイドとしては、とても無念なことだけど、敗退理由を理解していただき、また一緒にチャレンジを約束されたことは誠にガイド冥利に尽きるのだ。
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お土産に大好きな広島つけ麺をいただいた。
辛くて美味いんだよね、これが!

この日は前穂で2件の滑落死亡事故があったと聞いた。
近くにいた者としては胸が締め付けられる思いだ。
事故は当事者しかわからないことが必ずあるので、傍観者が責めたり、避難したりすることは良くない。
それだけはやめましょう!

頑張った結果だから仕方ない。
ご冥福をお祈りします。