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真砂沢ロッジ訪問ツアー [剱立山]

真夏の定番イベント「真砂沢ロッジ訪問ツアー」
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これ以上ない天候にも恵まれて、本年も無事終了!
 
真砂沢ロッジをサポートする企業の皆様をガイドする重要ミッション。
毎年参加メンバーは変わるが、登山未経験者が大多数。
剱立山を良く知るガイド3名で、日本屈指の大雪渓である剱沢を登降する。
 
前泊は天狗平山荘。
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賢輔さんも元気そうでなにより!
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まずは一年振りの再会を祝して、天狗クラフトビールで乾杯!
 
近所を散策して、高度に身体を慣らす。
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豪華な夕食をいただき、明日からに備えて早めに就寝。
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寝る前には、プリン食べないと!
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ラジオ体操してから朝食。
スイカが嬉しい!
 
天狗バスで早朝の室堂へ。
賢輔さんの「みんな、無事に帰って来るんだよー」といつもの言葉をいただき気合いを入れる!
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逆光が眩し過ぎる。
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まだ観光客が動いていない無人の室堂を出発。
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初めてのみくりが池に皆様感動。
 
気温が上がる前に雷鳥沢を登る。
約2時間の急登に耐えると重厚感溢れる剱岳が現れる。
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三田平からの剱岳は実にバランスが良い。
そして今夏は残雪が少なくて、お花がとても綺麗だ。
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剱沢野営管理所前のベンチで天狗弁当を食べる。
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Mちゃんから氷が入った麦茶をいただき、生き返る!
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剱岳を目前にこれほど贅沢なランチはあろうか。
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そしていよいよ、剱沢雪渓へ下降開始。
皆様、緊張感満点で歩き出すが、すぐに注意点を守り安定して降り始めた。
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源次郎尾根平蔵谷側崩壊で見るも無惨な平蔵谷。
 
中谷ルートは2回登らせてもらったが、想い出に残る素晴らしいクライミングルートだった。
何物も永遠ではないと言うことだ。

今春も3回この谷を通過したが、谷を辿るルートの恐ろしさを痛感する。
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源次郎尾根ルンゼルート下には、再び動きそうな巨大落石がある。
 
長次郎谷出合が近くなると、嫌な凹みがあるのでルート選択は慎重に。
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秋のような長次郎谷。
 
南無ノ滝までは雪渓が繋がっている。
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真砂沢ロッジが見えてきた。
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坂本心平オーナーと再会。
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坂本さんの人柄が感じられる心温まる夕食。

お風呂に入って、皆様と飲みながらお話しできて嬉しかった。
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楽しい一夜を過ごして、涼しい時間を狙って早朝出発。
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雪渓が硬い時間は登りやすい。
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北方稜線に朝日が当たり美しい。
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順調に黒百合ノ滝へ。
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今回はあまりに順調なので、絶景の池にも立ち寄る。
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最後は、みくりが池温泉に入って全てが無事終了。
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今回の困難なガイドを手伝ってくれた雷鳥荘スタッフは素晴らしかった。
彼らがいなければ、全く違う結果になっていたことだろう。
 
参加者からは「一生の想い出になりそうです」という言葉をいただき、ガイドとしてとても嬉しく思う。

立山、剱岳、剱沢雪渓は、私には日常的な景色だが、初めてこの風景を目にした方々はいったいどんな感動を得るのだろうか。
常にそういう目線でガイドをせねばならぬ。
俺様的なガイドは誰から見ても不快なものだ。
 
そして、何名から参加者から「剱岳に登ってみたい」という声をいただいたことは、まさに我が意を得たり!
 
剱岳登頂職人としての道を命果てるまで続けられたら幸せだ。
私が本当に苦しかった時に救ってくれた方への恩返しが終わるまで…。

剱岳 漸く梅雨明け [剱立山]

いつも元気な仲良し3人組の願い叶って、漸く北陸地方が梅雨明け宣言。
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剱御前小舎に上がったら「剱人」の著者がいた。
  
お互い良く会うなーと、近況報告してから剣山荘へ向かう。
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雪渓は剣山荘スタッフが雪切してくれているので、剱岳へ向かうレベルの登山者ならアイゼンは要らないだろう。
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雷鳥が雛を連れて歩いている姿は癒される。
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シャワー浴びてからの生ビールは最高!
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初日から楽しく盛り上がってた!
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快晴が約束された日はゆっくりスタート。
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岩は乾きベストなコンディション。
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初めての剱岳をフォトポイント紹介しながら、快適に登る。
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影剱が見える日はラッキーとしか言いようがない。
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タテバイは定点観測地点。
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山頂下でまたも星野秀樹とすれ違う。
縁がある人とは何度も会うものだ。
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これぞベストな夏剱!
 
この日を目標にして頑張ってきたから、剱岳も微笑んでくれた。
私も感無量だ!
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下山も気を緩めず緊張感を持って行動できた。
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剣山荘に帰り、生ビール&カレーランチ。
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手作りカレーライスは具沢山で美味しい。
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広くて清潔な剣山荘はノンストレス。
この山荘に2泊して剱岳に臨むプランは初めてのお客様にはベストだろうと思う。
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帰路はこちらに寄り、剱岳を登った感慨に浸る。
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野営管理所に寄って、ラブリー大城先生と記念撮影。
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私も一緒に!
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全てのコンディションに恵まれた剱岳ガイドだった。
今回の剱岳登山が3人の新しいステップになることを祈る。
これから剱岳に於ける様々なルートを歩き、その素晴らしさと広大さ、終わりなき数々の課題を味わって欲しい。
 
今回はそのファーストステップだ。
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溢れる雑多な情報はある時にはミスリードとなる。
登山の基本は正しく歩くこと。
今はそれが軽視されすぎてはいないだろうか。
 
近年、剱岳別山尾根を歩く中で感じることは、石を落とさず歩くことができる登山者がいかに少ないか…怖さを感じるくらいだ。
一般道最難関と言われるルートでこれでは、他の山域では想像に難くない。
 
参加していただいているお客様には、疲れず、膝腰を痛めず、簡単には転倒しないスムーズな歩き方をお伝えして行きたい。

夏剱スタート [剱立山]

最悪の天気予報で中止すべきか…ギリギリまで悩んだが充分登れるチャンスありと剱岳へ向かった。
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春には3回登らせてもらったが、今夏は初めて。
いつだって緊張感を与えてくれる岳。
一般ルートだって、山岳ガイドの立場としては一切気は抜けない。
 
姿を見たくても剱岳は恥ずかしがり屋でもあるので、簡単には山頂を見せてくれない。
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コバイケイソウが夏を感じさせてくれる。
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山岳警備隊に挨拶してから剣山荘へ。
この間の雪は驚くほど少なく、ここ数日で無くなるだろう。  
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剣山荘の新しいスタッフは今夏も良い子ばかり。

シャワーを浴びて、生ビール飲んでまったりする。

翌朝は雨が降っていないが、時間勝負。
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10時くらいから天候は悪化するとみて、4時スタート。

南風が強かったが、少しずつ西風に変わって、前剱を越えてからガスは切れてきた。
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岩は乾き快適。
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無人のタテバイを越えると先は見えた。
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待望の剱岳山頂へ。
 
お客様方は某山荘の元山岳ガイドIKDさんから紹介のお客様で、数年前に悪天候で前剱敗退だったそうな。
そして、IKDガイドは山岳ガイドを引退してしまったので、私に「あとは頼む」と引き継がれた。
それからコロナ禍ブランクがあり、昨年ようやくリベンジに来ていただいたが、雨で山小屋敗退。
 
今年は海の日直後の平日で盤石のスケジュールを組んだのだが、天気予報は絶望的。

しかし、見事にひっくり返すことができた。
 
またも、剱岳に守られたと思う登頂だった。
 
皆様、感激で涙ぐんでいた…。
なんか嬉しい!
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下山時も何度も何度も剱岳を振り返る。
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剣山荘に帰ったら、皆様記念Tシャツを買われたので、小さく私のサインを入れてあげた。
 
予定通り、10時過ぎたら雨が降り出し、午後からは猛烈な風雨が始まった。
 
天井が抜けたような凄まじい雨だった。
 
しかし、朝には雨は上がり、快適な下山。
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快適な2泊をお世話になった剣山荘オーナーの友明氏と一緒に。
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帰路は、剱岳が姿を見せてくれて「また来いよ」と言ってくれているようだった。
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何度も振り返る3名様。

「本郷さん、夢を叶えてくれて、ありがとう!」と何回御礼を言われただろうか。

元々、同じ会社の仲間で今はそれぞれの余生を楽しんでいて、なんかいいなぁと思った。
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剱御前小屋へ向かうお花畑へ向かう道は綺麗に整備されていた。
 
剣山荘の私より黒いスタッフの力作である階段は昨日の大雨にも持ち堪えてくれた。
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たくさんの花にも癒されて、楽しい3日間。

結局、一度も雨具を着ることなく室堂へ帰ることができた。
 
来夏は、仙人池へお連れしたいと思う。

雨との駆け引き [剱立山]

大雨警戒と連日ニュースで脅かされた週末。
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久しぶりに大日小屋へ宿泊し、連山縦走して称名滝へ降りる剱岳展望旅を楽しみに予定していた。
行動する時間を考慮しながら、なんとか行けるかなと思っていた。

しかし、出発前のミーティングで、室堂に上がることを諦めて馬場島荘へ。
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池田さんの蕎麦を食べながら様子見。
馬場島荘も宿泊客はゼロだそう。
 
有志で馬場島から伊折橋までランニングしてからの滝巡り。
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笠取滝は立派だ。
 
まま子滝は歩道崩落して通行止め。
私だけ代表して滝まで様子を見て来たが、かなり危ない状態なので、クライマー以外は絶対通行は止めるべき。
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夜はえび寿司へ。
急遽行ったので満席だったが、特別席をご用意していただいた。
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空いて来たらカウンターに移動して、ラストスパート♪
 
皆様、大満足!
 
翌日も雨が降ったり止んだりで隙間を縫って来拝山へ。
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低山だと気を抜いて歩いていると痛い目に遭うのが山の怖さ。
海外の高峰、剱岳バリエーション、冬剱を多数経験している方でも、枝に頭をぶつけて流血するのだ。
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山頂はサウナ状態!
 
遠くに見える大日岳方面は、称名滝は見えているが大日岳は黒い雲の中だが、行けば何とかなったかなぁと思う。
 
リスクマネジメントと良く言うが、リスクを乗り越える行為が登山であり、あらゆる経験を積み重ねる事で登山者はリスクをコントロールできるようになるわけだ。
 
今回の参加者は冬山も海外の高峰も多数経験している方々だったので、夏本番を迎える前の身体慣らしに風雨の大日縦走をやっておけば良かったかなぁと少し後悔した。
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翌日はお客様、入れ替わり。
沢デビューのおふたり。
一ノ谷の予定だが、不安定な気象状況で昼頃に雷雨が来そうな感じ。
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初めての沢登りが一ノ谷なんて最高だ。
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標高2000mを超える高度での綺麗なナメが延々と続く。
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悪場もなく、ただ気持ちいい。
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赤木沢を思い出す赤い色も眩しい。
 
しかし、案の定急速に気温がガクンと下がり、雷鳴が聞こえて来た。
激しい雨が降り続き、一気に水量も増えたが、落ち着いてやるべきことをやって先を急ぐ。
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この滝を越えてしまえば、安全圏に入る。
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土砂降りの雨に耐えて、アルペンルートの道路に出た!
 
出たら雨も止んだ。
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サンダーバードで買ったタラコおにぎりはビシャビシャだけど美味かった。
 
初めての沢登りで、さぞかし恐怖体験だったとは思うが、楽しかったと言ってもらえて良かった。

雨の日に登る山はリスクは増大するが、得られるリターンも大きい。
しかし、自身の能力とのバランスを見誤ってはならない。
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帰路の称名滝とハンノキ滝は行きて観た時とは別モノだった。

初夏を迎えた龍王岳 [剱立山]

梅雨晴れ継続する中で、6月初めてとなる立山へ。
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岩稜トレーニングで龍王岳東尾根へ。
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さすが立山はまだまだ雪に覆われて、滑ろうと思えば、いくらでもLINEは見出せる。
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今回は新月ということで夜空を眺めたくて、一ノ越山荘泊。
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ここから眺める日本海へ沈む夕陽は素晴らしい。
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こちらはお客様が撮影した夜景。
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珍しく朝ご飯を食べてゆっくり出発。
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雪も緩んでアイゼン不要。
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初夏の乾いた岩はフリクションもバッチリで気持ち良い。

後立山や槍穂高などを眺めながら、快適な岩稜トレーニング。
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お客様が3名なので、確実性の高い確保を行いながら山頂へ。
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剱岳へ行く前に、龍王岳東尾根を登っておく意味をお話して〆とする。
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初夏の花と雷鳥の出演も楽しめて良い二日間だった。
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下山したら、えび寿司へ。
 
せっかく富山に来たならば、美味い寿司と酒を味わいながらの反省会は外せない。
 
今日は夏至。
北半球で一番昼が長く、夜が短い日。
本格的な夏が始まる前に、適度な梅雨休み入れるつもりだが、なかなか雨が降りそうもない。

鬼雨のち馬場島へ [剱立山]

関東甲信越で降り続いた鬼雨で、冠水被害を受けたお客様もいて、週末の山予定は流動的に。
 
道路や鉄道など交通網が乱れて、馬場島荘に夕刻集合となった。
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馬場島荘は現在、池田さんひとりで頑張っているので、私もお手伝い。
 
馬場島荘では女性スタッフ急募してます。
剱岳山麓で働いてみたい方は、是非お問合せください。
 
夕食はお酒を飲みながらのスキヤキでとても美味しかった!
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夜限定のおろしそばも相変わらず美味い。
 
翌朝は、大雨後なので渡渉がないクズバ山へ。
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花が綺麗過ぎて、お喋りが止まらない。
 
黙って、綺麗だなぁと眺めれば良いのに…(笑)
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白樺と早乙女岳。
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山頂は見たことがない凄い人数。
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剱岳は恥ずかしがり屋なので、たくさんの人々に見つめられると隠れてしまう。
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馬場島荘Tシャツ揃い踏み。
こちらは2500円で販売しておりますので、お早めにどうぞ!
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下山途中で剱岳が全容を見せてくれた。
新緑に浮かぶ剱岳も素晴らしい!
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剱岳早月尾根登山口には新しい看板が設置されていた。
6/1剱岳山開きにお披露目となったのだ。
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下山後の楽しみは池田名人の手打蕎麦。
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今回も馬場島荘でたくさん楽しませていただいた。
ここへ来ると日頃忙しいお客様方も童心に戻って癒されるようだ。
 
近年は剱岳早月尾根を日帰り往復される方々も多いが、たまには早月小屋や馬場島荘に宿泊すると山から様々な贈り物がいただけるかもしれない。
速く通り過ぎてしまったら見過ごしてしまうものがあるはずだから、ゆっくり歩く時間も良いものだと思う。

剱岳残雪行 [剱立山]

5月も半ばを過ぎると街は初夏を思わせる陽気だが、剱立山はまだまだ豊富な雪を楽しむことができる。
 
剱御前小舎を3時30分に出発すると、雪は硬いし、風は冷たく、過ぎ去し冬を思い出させてくれる。
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三田平まで降りて来ると、夜明け前の剱岳が輪郭を現す。
 
剱沢雪渓は果てしなく長くて、平蔵谷出合まで降りると、踏む雪が緩みだす。
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今シーズン春は標高2200mを下回ると残雪量は極端に少なくなり、それより上は昨年並という感じがする。
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長次郎谷出合は例年の6月中旬という雰囲気だが、登るにつれて豊富な残雪量を感じた。
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熊ノ岩は左側のゴルジュから充分通過できる。
源次郎尾根側へも多数のトレースがあり、最近はこちらの方が早く山頂に立てるので人気がある。
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ⅤⅥノコルからは滑走トレースもあった。
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長次郎ノコルへ向かう左俣はクレバスもなく、クラックひとつないハイウェイのような素晴らしいコンディションだった。

しかし、雪の状態は時間単位で変化するもの。
通過する時間帯をどう選択するかで難易度は全く変わる。
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長次郎ノコルからは安定した雪壁を越える。
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部分的に出てくる岩場は浮いている岩に注意しながら丁寧に登る。
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頂稜に乗れば素晴らしい風景が広がる。
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山頂は二週間前に比べると随分雪は減ったがまだまだ白い。
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平蔵谷には安定したトレースがあり快適に降りることができた。
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しかし、源次郎Ⅰ峰中谷ルートのトラバースポイントの上に引っ掛かっている巨大なブロックがいつ落ちるかヒヤヒヤものだ。
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まさに「岩と雪の殿堂」

剱澤小屋上から今日周回したトレースを眺めながら、昼くらいに剱御前小舎へ戻る。
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雷鳥荘前で世界の佐々木大輔氏と。
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雷鳥荘の温泉一番乗りで汗を流す。
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雷鳥が活発になる季節。
 
夏の喧騒が始まる前の静かな剱岳を楽しみたい方は、これからの時期は狙い目だ。
残雪に埋め尽くされた谷を繋いでの剱岳登山はリスク管理が必要だが、終えた後の充実感もまた格別だ。

そして、今シーズンの剱沢上部は雪面が綺麗で、残雪量が豊富。
板を仕舞うにはあまりにも惜し過ぎる。
 
近年の梅雨は天候に恵まれることが多く、まだまだ雪を楽しみたいものだ!

GWメモリアル剱岳 [剱立山]

4月後半は気管支炎が悪化して肺疾患に。

病院で検査して、コロナでもインフルでもなかったが…。

食事も座ってできず、寝たきりになってしまい、息は切れ身体に力が入らず、自分の身体じゃないみたい。

仕事は全てキャンセル。
 
関係各所にご迷惑をお掛けし申し訳なかった。
 
酒も飲めず、ラーメンも食べれず、お陰様ですっかり健康体に戻った。

しかし…。
 
4/29-5/1は待望の剱岳ガイドだったが、4/30だけが暴風雨予報で中止。
 
相談の結果、馬場島荘で2泊して、いろいろ楽しむことにした。

まずは剱を眺めながら、城ヶ平へ。
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ぐるっと一周して。
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花の家も見学。
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大岩山で四十四ヶ所霊場巡り。
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名物の素麺を食べてから馬場島荘へ。
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池田さん特製のTシャツが新発売となり、PR活動開始。
 
そして、4/30は予定通りの大雨で、馬場島荘停滞。
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池田道場の蕎麦打ち教室開始。
 
池田さんはガイド時代から、悪天候の剱澤小屋停滞時も何かしらお客様を楽しませる努力を惜しまない人だったなぁと思い出した。
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蕎麦打ち名人からいろいろ教わり、我々はなかなかできない貴重な体験をしたと思う。
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なかなかハードな作業で、それなりの体力も必要だとわかった。
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自分達で打った蕎麦も美味い。
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夕方には雨も上がり、ブナクラ谷や立山川の増水具合を見に行くが、翌朝も渡渉は厳しそう。

翌日は昼から再び雷雨の可能性が高く、登れる山は限られた。
 
5/1は大熊山へ。

馬場島から少し離れた孤高の展望台からは、360度の眺望が素晴らしい。
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我ながら素晴らしい選択だった。
増水リスクもなく、雪も繋がっていて楽しい雪上ハイク。
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山頂からは剱立山、大日連峰、毛勝三山の眺めが凄い。
 
今まで登った山、登れなかった山、これから登る山を話しながら楽しい時は流れて行く。
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下山して、クルマに乗ったら雨がパラパラ降り出した。
 
高い山では激しい雷雨となったそうな。
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「こんにちワンワン」で三日間お世話になった馬場島荘を後にする。
 
夜は韓国からの友人が富山に来てくれたので、えび寿司へ。
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私がまだクライマーだった頃、韓国へアイスクライミングやインスポンに通う度、自宅に泊まらせてもらい、多々一緒に登った仲。
もう、20数年来の付き合いになる。

そして、5/2は信濃大町へ移動。
針ノ木岳へ登りに来たが、この日に滑落死亡事故があり、いろいろ感じるものがあった。
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このGWは滑落事故が多い。
 
春は雪面変化が激しく、自分の持つスキルで対応できるのか、経験が少ない登山者には判断が難しい。
 
暖かな無風快晴時には、判断も甘くなりがちだし、装備の選択ミスも目立つ。
 
登る時間帯の選択も重要要素だ。

得られる情報が多すぎて、自分の頭で整理できていない人も多いように思う。
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5/3は、快晴の下、針ノ木雪渓からマヤクボ沢へ。
日陰狙いで、雪の状態が良く、順調にマヤクボノコルへ。
 
昨日、事故があったのはスバリ岳との間と聞いている。
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確かに稜線は氷化した部分もあり、滑ったらアウトだ。
 
ロープを繋いで慎重に登った。
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剱立山から眺める針ノ木岳はいつも目立っている。

そして、そこから眺める剱立山も素晴らしい眺めだ。
 
GWの喧騒もほど遠い、静かな北アルプスを楽しむことができた。

5/4は、いよいよ満を持して剱岳へ。
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剱御前小舎へ午前中に上がり、剱岳と再会。

今シーズンはどうなるやら。

ご機嫌を伺いながら、慎重に登りたいと思う。
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富山平野に光る田圃。

水を張った田圃に日本海へ沈む夕陽が当たる春の風物詩。
 
剱御前小舎に泊まる価値はそれだけでも充分だ。

同宿は旧知の国際ガイドと山岳Ⅱガイドばかりで、翌日同じく剱岳をガイドする良き仲間達だ。

5/5は朝4時に出発。
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月夜に浮かぶ剱岳を見るたび、緊張感は増す。
 
何百回登っても、剱岳は緊張と期待を与えてくれる。
 
いつも試されているように感じる特別な岳だ。
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平蔵谷は雪量充分で、安定している。
デブリと堕ちそうなブロックも例年通りだ。
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平蔵ノコルからはヨコバイを上がり、山頂へ。
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早月分岐から祠が見えた。

昨年春よりは雪は少ないが、例年通りだ。
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緊張感から解き放たれたような涙の登頂。
 
おめでとう!
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石坂ガイドから撮ってもらった。
 
剱岳は登ってからの帰路が核心。 

緊張感を切らさぬよう、長いアップダウンを繰り返す。

平蔵谷を降り、剱御前小舎を目指す。

平蔵谷出合から剱沢の登り返しで、後から轟音が聞こえた。
源次郎尾根ルンゼルートからのブロック崩壊でかなり大きな規模だった。
出合付近に誰もいなかったのが、幸運だった。
 
春の深い谷は恐ろしい。
決して気を抜ける場所ではない。
 
そして、この日午後は能登半島地震があった。
雷鳥荘で温泉に入っている時、地震が起きたらしい。
私はシャンプー中で全く気づかなかった(笑)
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5/6 朝、室堂から富山へ下山。
能登半島が良く見えた。
 
地震がこのまま治りますように!
 
5/6-7と悪天候になりそうで、私のGWガイドはこれで終わりだ。
 
ご参加いただいた皆様と素晴らしい時間を過ごすことができて感謝!

ちょっと休んだら、再び春スキーガイドが始まる。
黒部の奥底と東北のジャイアンツが待っている。

立山の幕開け [剱立山]

立山黒部アルペンルートが2023年4月15日に全線開通。
 
11月30日のクローズ時に滑ってから、4ヶ月半ぶりの再開。
曜日に関係なく、4月15日がオープン日と決まっていて、今年は土曜日にあたり大混雑が予想された。
 
そして海外からの観光客はコロナ前以上に殺到しそうだ。
 
しかし、悪天候予報のおかげでチケット予約はキャンセルがたくさん出てスムーズに上山できた。
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まずは無事に参加者全員、室堂に集合。
 
そして、4月15日は母の命日。
しかし、立山黒部アルペンルート開通日なので、毎年お墓参りに行く事ができないが許してもらえるだろう。
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一瞬視界が開けて、まずは立山オープン一本目を無事に滑ることができた。
 
この日に滑れることは皆さん、格別の思いだろう。
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16日も午前中は素晴らしいパウダーを2本味わうことができた。
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下山して、えび寿司で乾杯!
正月ですから…。
 
17日は、悪天候視界不良が確実だったのでガイド中止。
天狗平山荘で、山関係の社長さん達と懇親会。
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18日は朝イチのパウダーを快適に滑るも、2本目に山崎カールへ行こうとしたら、カール内は視界不良が予想されたので室堂へ戻る。
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そして、えび寿司で再び打ち上げ。
 
19日は、素晴らしいザラメが形成されていたが、この日は登山のガイド。
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雷鳥荘から見る奧大日岳の夕景は素晴らしかった。
 
20日は、その奧大日岳ガイドの予定だったが、急激な昇温リスクを考えて、国見岳へ。
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雪がある時期しか登れない国見岳から見る剱岳は均整がとれバランスが良い。
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剱岳も少し雪化粧したようだ。
21日は室堂で入山指導勤務。
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外国の方がゴミ箱と間違えているので困る。
 
22日は再びスキーガイド。
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気温が下がりカチカチだったので、雪が緩んだタイミングでザラメを楽しむ。
立山の夕方は気持ちいい。
 
23日も硬くて困った。
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一ノ越山荘の前は寒いのに沢山の人。
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寒くて我慢できず、ドロップ。
 
24日はお客様入れ替わり。
この日からスキーヤー、登山者は一気に減った。
朝はカリカリで滑れる面を探す。
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雪が緩むのを待って滑る。
 
25日は午前中に大走りへ。
昼前にはザラメ化して、誰もいない貸切の立山を楽しむ。
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午後からは降雪が始まり、これから再び積雪量は増えるかもしれない。
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春は雪の状況変化が楽しい。
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それにしても今春は雷鳥をよく見る。
毎日、見てるとさすがに飽きてくる。
 
4月15日から毎日、室堂にいるので疲れが出たのか気管支炎が酷くなり、本日下山して病院へ行くことに。
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高原バスで隣に座っていた台湾の女性が、あまりに私の咳が酷いので、喉飴をたくさんくれた。
 
薬飲んで、たっぷり寝て、明日から復活したいがどうだろうか。
 
これから、11月30日までの長いガイドを考えたら、少し休んだ方がいいかもしれない。

朝日さす夕日輝く鍬崎山 [剱立山]

今日は富山で28.1度の夏日になったそうな!
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オープン間近の立山を拝みに鍬崎山へ行っていたので、涼しかった。
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あわすのスキー場からスタート。
 
今シーズン、残念ながら一度も滑る事なく終わってしまった。

実は一度行ったのだが、駐車場が満杯で入れず、雷鳥バレーへ転進したことはあった。
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貯水池の上まで雪はなく、大品山の下からは雪があった。
 
なかなか風が強くて、気持ち良かった。
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独標下の鎖は半分くらい雪に埋もれていたので、全部掘り起こしておきました。
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ここを越えたら山頂だ。
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360度の大展望台に到着。
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剱岳がオニギリのように見える。

毛勝三山、剱岳、立山、大日連山、薬師岳、黒部五郎岳…ここは富山にあるほとんどの山が見渡せる別天地。
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今週末からは立山オープン。
アルペンルートの除雪状況も見える。
 
今回も埋蔵金は見つからなかったが、根気よく探そうと思う^_^