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年の瀬を迎えて [八ヶ岳]

富山からの剱立山はまだまだ冬の景色ではない。
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なかなか雪が降らない年の瀬だが、ご挨拶程度の降雪がある日も。
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平日の大雪予報で山には誰もいないので、終始ラッセルしたが、ドライパウダーなのでなんの苦労もない。
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ご高齢になられても、自分を高めたいと思って参加される方へは、できる限り大切なことを誠心誠意伝えたいものだ。
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良く冷えた日。
寒暖差が激しく体調管理が難しい。
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しばらく滑っていないので、翌朝は仕事前に冷えたパウダーをいただく。
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白駒荘で「チーム安全登山」の忘年会。
私は雪山講習を担当する。
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島枯山、茶臼山を経て、白駒荘へ。
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ヤマレコ、ヤマテン、やまきふ共済会からなる「チーム安全登山」は特色ある経営者の集まりで、いつも価値ある時間を共有させていただいている。
 
だいたい記憶なくなるまで飲んで、翌日なにも覚えていないのがとても残念だが。
それでも人生が楽しいから仕方ない。
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皆様、多数のご参加ありがとうございました。
また、来年も白駒荘で催行が決定しております。
  
年末最後のスキーガイド。
 
プライベートで日本海側のスキー場で滑ったら、質量ともに悪くなかった。
降雪ある日に妙高で少しは山に入れるかなぁと思ったが、全く量が足りていなかった。
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残念ながら、ゲレンデ回しになったが、地形も出ているし、草も生えてるし、まだまだ雪が少ない。
恥ずかしながら、ジャガイモに板を取られ、ビンディングが解放して硬い雪面に吹っ飛んだ。

ちょっとダメージがあったが、完全に自分の不注意だった。
こういう時は続きがあるので、これからを慎重に過ごしたい。

明日から年末最後のガイドに向かう。

雪乞い [八ヶ岳]

爺ヶ岳東尾根へテント泊のはずが、初日が本格的な雨なので車中泊して、早朝に取り付く。
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暗い中、出だしの急登に挑むが、雪がない落ち葉だらけの斜面は滑る。
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登れば登るほど藪漕ぎで雪も現れない。
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登頂には時間もなくなり、敗退することにした。
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下山して、ロープワーク講習をやって終了。
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冬季ルートに雪がないのは虚しい。
まさか、この時期に雨とは。
 
そして、今度は蓼科山の予定。
登山口の標高は雪になると踏んでいたのだが、哀しくも土砂降り。
 
しばらく、クルマで様子を見るも、雨は変わらず八子ヶ峰へ。
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何も見えず(涙)
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本峰では更に風雨激しく、眺望なし。
ぐるっと回って、すずらん峠から登山口へ。
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ここの蕎麦は美味かった!
 
そして、週末を迎えて赤岳鉱泉へシーズンイン。
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ところがまさかの雨、またしても!
ジョーゴ沢でも行こうかと思っていたが、行って来たガイド情報によると、氷は落ちてしまったそうで…。
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部屋で真面目にロープワーク講習を再び。
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夕食はステーキを食べて、四代目お勧め鉱泉クラフトビールをいただく。
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この夜はマムートナイトを初体験。
笹倉ガイドの講習は、コンパクトな時間の中で知るべき大切な内容がまとまっていて、イラストも素晴らしい。
受講者の印象に深く残るイベントで啓蒙活動として是非継続していただきたいと思った。

翌朝は予報ほどではなかったが、強い寒気と風の中、赤岳を目指す。
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文三郎か地蔵尾根かで迷ったのだが、視界がクリアな文三郎を選んだ。
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前日までの降雨で階段は丸出しで、氷と岩とドライアウトした新雪がミックスして歩き辛い。
 
雪が少なく乾燥したフリーズドライな状態で凍傷には注意が必要な環境。
 
中岳分岐から先は危ない強風で、登頂はできるだろうが、向い風が当たる下山で誰かが凍傷になる可能性が高いため、赤岳主稜取付下で敗退した。
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一名、頬に赤みが見えたので、この環境から早く脱するべきと樹林帯に逃げた。
 
凍傷受傷はガイドの責任が大きく、管理と注意が常に必要だ。
特に顔面と足先は自己意識が乏しくなりがちだ。
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下山したらJ&Nへ。
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うま〜い。
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全てが、うま〜い。
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翌日からも赤岳鉱泉へ上がる予定だったがガイド中止した。
富山へ向かってクルマを走らせたら、安房トンネルを越えて平湯から雪国に変わっていた。
 
この後の寒気に期待して、雪山、アイスクライミング、スキーが楽しめるコンディションが整って欲しいと切に願う。

初冬西穂独標 [北アルプス]

西穂山荘に宿泊して、西穂独標を往復するコースは雪山に身体を慣らすには適度なコースだ。
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マテリアルチェックをしながら、滑らない歩き方を身体に染み込ませることが重要な時期。
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ロープウェイを降りて、西穂稜線を眺めると、もう少し雪が欲しいところだ。
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西穂山荘に着いてから、ピッケルの使用方法、アイゼンを有効に使う歩き方を講習する。
今回は雪山入門者がお客様なので、雪山における幹となる技術だけを短時間で覚えていただく。
余計な技術を教えて、混乱を招くより、大切なことシンプルに伝えたい。
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寒い夜は少し暖まりましょう。
 
翌朝はピッケルが無くなり、出発が遅れる。
焼岳2という一番奥の個室に宿泊し、部屋前の荷物置場に貴重品以外を置いておいた。
 
いろいろな場所を探してみたが、見つからず埒があかないので、私はノーピッケルで登ることにした。
 
一番奥の個室なので、誰かが間違えて持って行くことはあり得ず、状況的に考えて盗難としか考えられない。
ザックの中に入れて、一番のロープウェイで降りたのだろうか。
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朝日が綺麗な美しい場所で、何とも哀しい出来事だ。
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雪は少ないが、快晴微風。
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独標は誰もおらず。
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この先はまた次回の楽しみにしよう。
 
小屋へ帰り、ピッケルがなくなったことを伝えた。
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petzlサミットエボ52、オレンジの非常に目立つピッケルだ。
もう部屋の清掃も終わったそうで、小屋の方も探してくれたが出てこず、紛失届を提出し、警察にも遺失届を出した。
 
今まで、私もお客様も山小屋でどれだけ登山道具を盗まれたことだろう。
荷物置場に置くルールになっている小屋でも、布団に入れて寝るしか防衛策はないだろう。

山小屋に盗人が同宿していると思うと気持ち悪くて仕方ない。

雪消えの山 [八ヶ岳]

しばらく降雪なく、すっかり雪が消えた八島湿原。
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20年以上のお付き合いになるご夫妻と鷲ヶ峰へ。
病後からのリハビリハイクで選んだのがここ。

雪上ハイクの予定だったが雪がすっかりなくなった。
しかし、北アルプスの展望は素晴らしい。
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アルパインクライミングが好きで、昔はチンネ、東面スラブ、滝谷などへガイドさせていただいたが、お互い歳を重ねても、このようなお付き合いができることに深く感謝したい。
 
「ここから見える景色、ほとんど本郷さんと一緒だったね」とご夫妻でつぶやいていらしたことが印象的な一日だった。

師走のはじまり [戸隠]

11月30日、立山黒部アルペンルートがクローズになると、富山県内でのガイドは減り、県外での仕事が多くなる。
 
今冬は雪の付き始めが早く、スキー場のコンディションも上々だ。

整備されたゲレンデを気持ち良く滑れて最高の師走の始まり。
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まずは白馬五竜からスタート。
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白馬各スキー場が一気に開いたので、分散したのかリフト待ちはほとんどなく、たくさん滑り込むことができた。
 
この時期はとにかく数を滑らないと!
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もう少し太い板を持ってくれば良かった。
 
五竜、47の空いているコースを休みなく滑り続けた。
 
そして、黒姫山へ雪山入門ガイド。
 
しかし、とても入門というレベルではなく、激しい降雪でトレースはすぐになくなる。
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先行パーティ達が敗退してくる中、我々だけは膝から股のラッセルを頑張る。
 
樹林帯主体でリスクの低い黒姫山なので、吹雪をたっぷり楽しんで欲しかった。
 
とにかく、この時期にパウダーラッセルできる事は皆様には素晴らしい体験となるので、暗くなっても絶対登る事にした。
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山頂に着いても、吹雪で何も見えず、下山時もトレースはリセットされて、ルートを失わないようにラッセルを続けて、予定通りのヘッデン下山。
 
そして、翌日はお客様は入れ替わって、戸隠山へ。
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昨年の12月同時期にも戸隠山をガイドしたが、その時は膝ラッセルくらいで、軽く山頂往復できた。
しかし、今回は深くてなかなか進まない。
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鎖場も埋まって、記憶を辿りながらラッセルするも、岩に雪が付き始めた時期は不安定でリスクは高い。
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気温も上がり出し、チリ雪崩も始まったので、長屋トラバース地点からラッペル敗退することにした。
 
粘れば山頂までギリギリ行ける時間だったが、厳冬期になった戸隠ではあまり無理できない。
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また、雪が締まった時期にリベンジしていただきたい!
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戸隠蕎麦を食べて反省会。
 
翌日からは富士山ガイドの予定だったが、諸事情により中止。
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野沢温泉スキー場で滑り込み。
 
スキーコンディションが良い時期を逃さずに滑り込まなければならない。
いつ暖冬傾向に変わるかわからないし…。
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板がめちゃくちゃ走って気持ち良かった。
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今冬も快調なシーズンイン。
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久しぶりに富山へ帰ったら剱立山が美しかった。
 
このまま雪がたっぷり楽しめるシーズンであって欲しいが、どうだろうか。
 
次の寒波を期待しつつ、チャンスを逃さず、お客様に雪を楽しんでいただけるよう、今冬も頑張って行こう!
 
そろそろ、アイスクライミングもシーズンインだ。
 
忘年会などやってる暇もなく、師走は何かと忙しい(笑)

立山閉山 [剱立山]

いよいよ立山閉山を迎える。
金曜から上がる予定だったが、富山側が運休で全員で土曜に扇沢アプローチとなる。

扇沢では多くのスキーガイド、滑り手と顔を合わせた。
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室堂に到着したら、文句なしの快晴。
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シーズンインのお客様方なのでハイクもゆっくりと、景色を眺めながら歩を進める。
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この日はどこを滑っても、最高のドライパウダーが楽しめた。
 
ものすごい数の滑り手がいたので、あっという間にギタギタになり、隙間パウダーを探しながら転々と位置を変える。
 
どこへ移動しても、全て最高だった。
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最終営業日の雷鳥荘に到着。
旭立太ガイドに撮影をお願いした。
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雷鳥荘、最後を飾る富山側の夕陽。
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夕食はカレーバイキング。
 
雷鳥荘にはいろいろ無理をお願いしたり、大変お世話になって感謝してもしきれない。
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翌日も期待高まる朝焼けから始まる。
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少しパック気味のパートもあるが、パウダーコンディションは継続していた。
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この週末は最高の二日間だったと言えるだろう。
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翌日も室堂勤務だったのだが、「えび寿司」へ行くために、扇沢に降りて一旦富山に戻る。
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氷見鰤が美味しい季節になった。
 
皆様富山へ来たら、是非とも「えび寿司」へ。
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最後の室堂勤務。
入山指導業務で様々な登山者と接することで、私自身も感じることがある。

他人がどこをどう登ったかと気にかける前に、自分になにができるかを気にかけた方が良いと思う。
気にすべき情報を間違えないようにしたいものだ。
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この日は雷鳥荘を始め、各山荘の小屋閉めスタッフが続々と降りて行く。
 
残る営業宿泊施設はホテル立山だけとなった。
 
この日を最後に富山側アルペンルートは大雪のため、道路通行止になった。
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そして、11/29はホテル立山最終宿泊日で扇沢から室堂へ上がる。
 
来ているガイドは、さすがのレジェンドばかり。
 
吹雪であまり滑れないかもしれないが、それでもお客様を満足させられる方々だ。
 
そして、私も立山が冬に閉ざされる様を見せてあげたいと思う。

絵に描いたような吹雪の中、少し歩いて、少し滑った。
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ホテル立山での宿泊は閉山前の贅沢。
 
外扉を一歩出たら、地獄のような吹雪で、中に入れば天国だ。
 
さすが、2450mにあるホテル立山では、扉ひとつで世界は大きく変わる。
 
これほど安全に吹雪を味わえる場もないであろう。(立山を良く知るガイド同行が前提であるが)
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最終日は昨日ほどではないが、やはり吹雪に変わりなく、行動時間が一時間過ぎたら危険であろう。
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山岳警備隊の看板も業務を終えて、全て真っ白綺麗になった。
 
これで立山閉山。
室堂の全てが閉鎖された。
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吹雪の中、扇沢へ下山する。
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いろいろ山荘にデポした全ての荷物を背負って下山。

クロニョンに出迎えていただく(笑)
 
4/15から11/30まで剱立山でのガイド業務が全て終わった。
 
私は2010年4月に東京から実家がある富山へ帰った。
その時、室堂に上がり山岳スキーを楽しむ人々を見ていろいろ考えた。
4/15から11/30までフルに剱立山で山岳ガイドとして生きるためにはスキーガイドのスキルは必須と考えた。
 
それからはプライベートな時間はほぼスキーに費やし一生懸命練習して、ようやく2015年からスキーガイドを業務として始めることにした。
 
今でも若い後輩ガイド達に教わりながら発展途上の身である。
 
4/15から10/30まで、国内屈指の降雪コンディションに恵まれた剱立山をお客様に楽しんでいただくために引き続き頑張って行きたい。
 
山岳におけるアクティビティの中で、お客様に「私の資格では、それはできないんです」とか「それは苦手なんです」とかは言いたくない。

だから、まだまだ学ばねばならないし、老いぼれてもいられない。
 
今日から師走。
本格的な積雪期ガイドが始まる。
スキー場も例年より、早くコンディションが整い、山にも雪が溜まって来た。

この冬も楽しくなりそうだ。

立山は冬へ [剱立山]

11月中旬となると最後の立山ガイド生活が始まる。

4月15日、立山黒部アルペンルートの全線オープンから7ヶ月。
 
春スキーガイドと剱岳残雪ガイドから始まり、夏の剱岳ガイド、秋はまたスキーガイドでシーズンを終える。
 
長いような短いような、シーズンクローズが近づくと寂しいものだ。
 
立山の始まりと終わりだけは見届けたくて4/15と11/30は、どんな天候でも必ず現場にいるようにしている。
 
2450mにある天空の別天地は富山の宝。
沢山のお客様に見ていただきたい。
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11/14から立山に上がる。
みくりが池はまだ凍っていないが、山は真っ白だ。
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新雪がたっぷり降って快晴の中、普通は行けない剱岳の絶景地へ。
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剱岳の存在は別格だ。
いつまでも変わらず、ここにあるだろう。
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この時期の立山では、いろんな仲間達と再会できて嬉しい。
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この頃はまだ雪は少ないが、素晴らしいロケーション。
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しかし、吹雪で予定通りの行動ができなかった日々もある。
 
こんな悪天候の日こそ、学ぶべることは多いはず。

結果だけを求めると近道したくなるが、うまく行かなかった時間を大切にする方は山から歓迎されるだろう。
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いつもお世話になっているキャラバンスキーチームの皆様もやって来た。
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みくりが池が凍り出すと、そろそろスキーコンディションも整って来る。
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同時に雪崩への警戒も怠ってはならない。
 
不慣れな方は、立山の地形を熟知したガイドを使って行動することを薦めたい。
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そして、いよいよその日がやって来る。
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場所を選べば、この時期としては奇跡的な沈降パウダーが楽しめた。
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その日を待っていれば、必ずいつか時はやって来る。
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立山閉山まで、あと6日。
訪れた皆様が笑顔で帰れるよう、あと少し頑張ろう。

この時期は、アルペンルート立山駅側は除雪が間に合わず運休となり富山に降りれないこともある。
 
私も家に帰れなくなり室堂に缶詰め。
運休からやっと富山に降りたら、今度は上がれないという。
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やはり、今日も運休。

仕方ない。
扇沢から上がることにしよう(涙)
 
富山と室堂はこの時期、近くて遠い場所なのだ。
 
2023年11月30日まであと少し。

真田の里へ [ハイグレードハイキング]

この週末は海谷周辺ガイドの予定だったが、日本海側は気圧の谷の通過で絶望的な天候になりそう。
 
転進先は無難な妙義エリアも考えたが、定番過ぎてあまりにも芸がなく、海谷山塊の代案としては場違いだ。

なので薮岩求めて信州上田へ。
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岩薮好きな登山者が楽しめる山が数多くある上田は新幹線の停車駅でもあり、東京からのアクセスも良い。
 
西の妙義とも言われるが、趣は違う気がする。
 
上田は独鈷山が有名だが、この山にも様々な特徴的な登路がある。
まずはバリエーション入門的な帰望峰から竜王山を経て独鈷山へ。
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沢を跨いで、枯葉ラッセルして苔蒸した岩稜を行く。
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上田の街並みが眼下に見える稜は気持ち良いが寒風がきついアクセント。
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楽しいチムニーから這い上がったりして、アップダウンを繰り返す。
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帰望峰。

ラッペルしてコルに降りて、また登ると。
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竜王山。
 
泥道を下降して、また登ると。
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上田を代表する独鈷山に。
 
夜は…。
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なんとなく惹かれて入ってしまった。
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戦国時代のヒーローを真田幸村をコロッケにしたらしい。

次は猿飛佐助が修行したとされる角間渓谷へ。
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3歩上がって2歩退がる的なズルズルの足場を騙し騙し登ると鬼ヶ城。
 
ここにはなぜか立派な鎖場がある。
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鬼ノ塔。
 
ここはトラロープはあるが、なんとなく嫌な予感がして、スタカットで登った。
 
鬼ノ戸渡のトラロープはフィックス先が支点から外れていた。
何も考えずに荷重したらフリーフォールだ。
 
残置されたロープは絶対疑わなければならない。
 
我々は時間は掛かっても、ラッペルして安全圏に脱出した。
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通過してから看板があったが、先に言ってくれという感じ(笑)
 
その後、ジャンクションピークを超えて、またズルズルの急斜面を上がる。
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薮を超えて雲雀峰に到着。
 
周囲の山々には雪が載っている。
この辺りはまだまだ先に繋げられるスリリングな山が多く、今後も研究してみたいところだ。
 
参加されるお客様方には、この先に何が待っているのだろうというドキドキ感をたくさん楽しんでいただきたい。
そのためには、ガイドする側が足跡を追いかけるだけじゃなくて、常に開拓精神を持たねばならぬと思う。
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下山後は、美味しい信州新そばを食す。
これは「幸村」という名前の3人前の量だが、予想より多くてお客様に手伝ってもらった。
 
上田を出て、上越に入ったら土砂降りの冷たい雨が続く。
冬の足跡が近づいて来た。

日本海側の山は、このまま季節は冬に移り変わるだろう。
今冬もたっぷり雪を楽しめるような気がする。
 
さて、そろそろ冬の準備をしよう!

御前ヶ遊窟の旬 [越後]

会越国境山郡にある御前ヶ遊窟へ通い出してもう何年になるだろうか。
春夏秋冬ここに来てみて、ベストシーズンはいつなのかを模索してみたら、間違いなく今が旬と思う。
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白い岩肌と黄金の紅葉は、来る者全てを圧倒する。
泥々の悪いアプローチを乗り換えて、ようやくこの景色に出会えることが素晴らしい。
 
あのアプローチが無ければ、このドラマは完成しない。
 
今回は3回連続して、御前ヶ遊窟を周回ガイドした。

今秋は特にアプローチの状態が悪く、連日神経が擦り減ることになった。
足場の悪いハイトラバースが連続するので、単純にロープを使う形式的なガイディングは通用しない。
悪場慣れしている信頼できるお客様とだけで来るべき場所だ。
 
水が少ない日は沢をアプローチしても良い。
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1回目。
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2回目。
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3回目。
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毎日コンディションが異なるので、ルートも変えて快適さを楽しんでいる。
 
古いリングボルトやナチュラルプロテクションも利用しながら、スラブを自由に楽しむことができる。
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ただし、進むべき場所を間違えるとハマるのがスラブの怖いところだし、御前ヶ遊窟の全体像を良く理解した上で取り付かないと、単にフィックスと鎖と踏み跡を追う面白味のないことになってしまう。
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いきなり現れる巨大な洞窟はロマン溢れる穴。

今回、私のブログを見て来たという方々が2組もいたので驚いた。

御前ヶ遊窟は有名だが、御神楽岳や前ヶ岳など会越国境山郡は岩薮好きには堪らなく楽しい場所だ。
 
この辺りを開拓した越後の岳人達に敬意を表する。
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宿泊ベースは新潟で、食を楽しむことも大切。
クルマで一時間半くらいなので、毎日通っても苦にならない。

御前ヶ遊窟の前日は、メジャーなハイキングコースの角田山で登山の基本を講習。
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今夏、剱岳をガイドしたお客様が、自分の登山を歩き方から見直したいということで催行した。
 
長い登山経験を積んできた方が、そのような気持を持つことに対して、私も自分を可視化し、更により良い知識と経験を身に付けなければならねと学ばせていただいた。
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そして、更にその前日はここを訪れた。
 
この壁を登りに来たのではなく、前日に遭難した懇意の若者の足跡を探すために1人で来た。
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静かで誰もおらず、ここで事故があったことすら信じられなかった。

ここは自分が30歳前半に初めて登りに来て以来、いろいろなルートを登って、ガイドとしても数々使わせていただいた巨大な石灰岩の岩場。
 
最後にガイドしたのは2013年だっただろうか、あれ以来ここを訪れることもなかったし、二度と来ることはないと思っていた。
 
昔は営業していたお土産屋さんの脇から踏み跡を降ると忘れられないことを思い出した。

もう30年近く前に、この壁を無事に登って展望台がある駐車場へ意気揚々と戻ってきた。

高齢の女性が一人で立っていて、「あなたのお母さんが、こんな所を登っているのを見たら泣くよ」と泣きながら声を掛けて来て、「罰当たりなことはやめなさい」「命を大切にしなさい」「こんなこと辞めなさい」と次々と言われて、返す言葉もなかった。
 
それまでも、一ノ倉を登って駐車場に降りて来ると観光客に声を掛けられることは何度もあったが、これほど真剣に訴えられたことは初めてで、いろいろ考えさせられた。
 
自分がやっていることは、世間からはそう見られるのだと。
 
この出来事は、自分の登山人生に大きく影響を与えたことは間違いなく、やりたい放題で何も考えず突き進んでいたそれまでのことを見直すキッカケともなった。
 
でも、自分はまだ山を登っている。
何度ももうやめようと思ったことはあるが、未だ続けている。

その後、山岳ガイドとしての人生を歩み、山を通じて皆様に楽しみと幸せを与えることを願っているが、今回のように明日が来なかった若者のことを思うと苦しくて仕方ないし、どうしたら良いのかもわからない。
 
まだまだ修行が足りていない。

黄金の廊下 [剱立山]

雪たっぷりの龍王岳から扇沢駅へ降りて、週末からの黒部川下ノ廊下に備える。
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週末の天気予報は両日とも雨だが、前日までのような発雷リスクは感じられない。
 
下ノ廊下ガイドの催行可否は、降雨はあまり大きな問題ではないと私は考えている。
 
もともと黒部川に沿った岩壁を辿るルートである性格上、濡れた岩の上をスムーズに歩けるお客様を参加基準としているので、雨が降って強いストレスを感じる方を対象とはしていない。
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「人間は必ず間違える」このことを繰り返し伝えて、番線へのハンドリング、スリップを防ぐ歩き方、写真撮影への注意点、危険箇所のチェックなど新越ノ滝通過までに全て再確認しながら行動する。
 
ここまで私が不安を感じるお客様が一名でもいたならば、黒部ダムへ躊躇なく帰る。
 
基本、下ノ廊下ガイドはリピーターのお客様を対象とし、ご本人の体力、技術、経験、特性を熟知して計画を立てるので、ガイドとしてやるべき仕事も想定内である。
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今回は紅葉がベストであることがわかっていたので、足元に対する注意が疎かにならないよう更に周知徹底する。
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新越ノ滝を過ぎたら、OFFだった緊張スイッチをONにする。
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別山谷で雨が強くなり、レインウェアを着用して、下ノ廊下の核心部を着実に行動する。
 
危険箇所は早く脱することが基本だが、この辺りはいくら時間が掛かっても良いと伝えている。
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十字峡はルートのハイライトであり、ここにしかない景色でもある。
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一生に一度は見て欲しい。
 
おそらく人生を彩る想い出の一コマとなることでしょう。
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黄金に染まる廊下を延々と歩く。
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仙人谷ダムの上部も綺麗だった。
雨に濡れて更に光る黄金の山々。
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歴史と浪漫が詰まった路。
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阿曽原温泉小屋に到着。
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富山の岳人を代表する御大と共にする温泉は最高だった。
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時間内食べ放題の名物カレーライス。
 
実は私が阿曽原温泉小屋に泊まる時は、空いている日が多く、カレーライスに当たるのはコロナ禍前以来だったので、懐かしい味が大変嬉しかった。
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秋はトロッコ列車が混むので、朝弁当にして、暗いうちに出発する。
 
阿曽原温泉小屋の弁当は派手さはないが、私が最も好きな山小屋弁当だ。
富山の新米と揚げ焼売が絶妙に合うのだ。
 
これを毎回必ず、折尾大滝を眺めながら食べる。
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折尾大滝前で同宿した原ガイドと。
 
彼も同時期に奥鐘山西壁や丸山東壁を登ってきた数少ない山岳ガイドだ。
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高さのある水平歩道を延々と歩く。
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欅平に到達。
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トロッコ列車に乗って、寒いに震えながら下界へ帰る。
 
今回は立山駅に置いてきたクルマを回収するためローカル線の旅は続く。
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乗り継ぎが悪く、宇奈月から立山駅へ3時間近く掛かった。
 
東京へ帰ったお客様がもう到着しても、まだ着かない。 
 
たまにはこういう時間も贅沢と思うことにしよう。
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最後のカボチャ電車で立山駅へ。
 
これも下ノ廊下という山旅の一部なのだ。